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特集 艦載機

SBD ドーントレス (モノグラム 1/48)

by 小山新一



(実機について)
 ボックスは完成したキットの写真を地図上に、飛行状態で配置したもの。地図はソロモン諸島周辺のもので、有名な激戦地ガダルカナル島がある海域だ。サブ・タイプは記されていないが、塗装などからみてSBD-3であろう。国籍マークは星中央に赤丸がある大戦初期のものだ。太平洋戦争の転機となったミッドウェイ海戦時になると、中央の赤丸がない白い星になる。
 機体のアレンジはしごくまっとうな形態で、後継のSB2Cヘルダイバーのような凄みはない。その分、安定性、操縦性とも良好で、乗員からの信頼が高かったという。同時期の日本機のライバルとなると、九九艦爆だろうが、速度、後続距離、爆弾搭載量ともにドーントレスがまさっている。この優越はさらに言えば、乗員を守る装甲板、燃料タンクへの被弾対策などを施した上でのものであった。この点、特記しておかねばなるまい。
 ボックスの地図にからむエピソードを追記しておきたい。1942(昭和17)年4月に、ラバウルに移動していた坂井三郎は、同年8月にガダルカナル攻撃に参加する。任務を終えての帰路、F4Fの編隊を発見、後上方から接近し、何と機銃の集中砲火を浴びる。F4Fと誤認したのは本機SBDドーントレスであり、後部旋回銃(7.7mm)の斉射を浴びたのであった。右前頭部挫傷、右眼の視力を失う重傷を負う。坂井は自ら止血を行い、意識喪失を繰り返しながら約4時間を飛びつづけ、かろうじてラバウルに生還するのだ。

ボックス


(模型の制作)
 モノグラムの初期の名キットで、可動部満載の艦爆、雷撃機トリオ(アヴェンジャー、ヘルダイバー、ドーントレス)の1機である。
 本機の可動部は、後部キャノピー、主脚、フラップ&ダイブ・ブレーキ、爆弾投下装置、着艦フックなどだ。可動のための凸部があったりするが、そう目立たず、作動は確実で精度が高い。1960年代でこのクオリティを実現していたことに、改めて驚かされる。

右側面


 可動部をきちんと作れば、モデラーはこのドーントレスを手に持ち、一人遊びが楽しめる。

 発艦→目標発見→爆撃進路に入る→投弾→退避→母艦発見→着艦

 以上のプロセスを、可動部を動かして(手動ですが)再現できるのだ。発艦の折はフラップを下げ、離艦したら脚を引き込む。着艦時はフラップをさげ、脚を出すのはもちろんだが、着艦フックを忘れずに下げねばならない。プロペラが回らぬのは残念だが、息を吹きかければ幾らか回転させることは出来る。 

付属のフィギュアとアクセサリー


 パーツの合いがいいので、組立てはスムーズに進む。一つ誤算だったのはプラが固いこと。もともとのプラの質なのか経年劣化なのか、フラップとダイブ・ブレーキ合わせて四か所も折れてしまった。凹モールドの丸穴を、ピンバイスでみな貫通させる工作にも原因があったのだろうが。 

左側面


 デカールはみな貼れて助かった。デカールが使えるありがたみをしみじみ味わい、完成となった。デカールと取説に1988の西暦が記してあった。36年前の製造・販売のキットであったのだ。

 右側面


タミヤ製海軍パイロット2名と




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