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特集 タミヤ

プリンス・オブ・ウェールズ (タミヤ 1/700)

  by 寿



 一人マレー沖海戦を際限してみようと、先ず作って見ましたプリンスオブウェールズ。東洋艦隊Z部隊旗艦、フィリップス提督の座乗艦であります。 



 史実の方は語り尽くされているので置いといて、模型で同艦を再現するとなればコレがまためんどいことこの上ない。
 色合いが諸説紛々なうえ、ややこしい英艦船の迷彩を見事に体現したモデラー泣かせの船と言っても良いでしょう。初期の頃はほぼベタ塗り一辺倒なのでソッチの方を作るのもアリですが、大抵のヒトは最終状態であるマレー沖海戦バージョンの方なんじゃないですかね。展示会でも時折見かけますが、殆どこのうねうね迷彩ばかりで、ベタ塗りのプリンスオブウェールズはまだお目に掛かったことがありません。



  まぁ一歩間違えばネームシップのキングジョージⅤ世になっちまうので(つーか見る側が先ず間違えると思う)、そーとーコアなヒトじゃないと作らないんじゃないかなぁ。
 因みに今年の静岡ホビーショウの合同展示会では同型艦のハウやデュークオブヨーク、アンソンなんかが展示してありました。確かに同型艦そろい踏みっていうのは誰しもやってみたいネタではありますが、正直どれがドレなのか。



  キングジョージⅤ世やプリンスオブウェールズは日本でも知名度は高い方だと思うけど、他の三隻はちょっと分かんない。大戦中いったいドコで何やってたんだろ的な感じで、もう印象薄いのなんの。作ったご当人は「どうだ~」的な意気込みなんだろうけれど・・・・ねぇ?
 ハッキリ言ってわたくしめにはサッパリ見分けがつきませんでした。作ったモデラーの方、申し訳ない。 



 でもコレは間違いなく氷山の一角。そしてどのジャンルでも似たような事はアチコチで頻発しているんだろうなぁ。
 そもそもモデラーなんて人種は「どうだ、このバージョン違いが分かるか。分かんねぇだろうな、分かったら大したものだぞ。気付くヤツは果たして居るのかな?」などと、怪しい期待を漲らせながら手ぐすねを引いているモノなんじゃないかしらん。 



 確かにウルトラどマイナーなアイテムを作って、ドヤ顔で謎の優越感に浸るのも一つの愉悦。
 でもまぁ、わたしはまだソコまで行かなくても良いかな。お手軽お気楽で分かり易い完成品を目指して行きますよ。
 何しろ、船は初心者だし。



 え、それじゃあヒコーキの方はどうなんだって?んー、その、なんだ。
「どーだ、このバージョン違いはどうだ。完成品は中々見ないでしょう、え、見た?ざーんねーん、ソレは別のバージョンなんだよ。ふふ~ん」的な感じですかね。
 まぁ、モデラーなんて皆似たようなものですよ。ねえ? 



製作の詳細

(写真1)タミヤのキットの中でも古参のブツです。パーツの刻印を見たら1975年って打ってあった。半世紀も前のキットですか。ほぼ骨頂品状態ですね。
 でもパーツは抜けも良くてバリや傷も見当たらず、パーツ精度も実に高い優秀なキットです。組みやすさもモールドも文句なし。流石タミヤ。
「もう最新の超絶キットなんて要らないんじゃね?何だかどいつもコイツもバカ高いしさぁ」
 この優秀キットをまじまじと見れば、そんな気分にもなろうというものです。
 でもインストにはチマチマとしたミスが散見されるので、プリンスオブウェールズの最終状態を目指すのならご注意のほどを。このボックスアートが実に良い資料となっています。
 しかし何でインストはこのボックスアートと突き合せて書いてくれなかったのかなぁ。インストはキングジョージⅤ世の仕様が混在してるんですよね。

(写真2) またしても仕込んでしまいましたネオジム磁石。今回は台座を作らないので別に要らないんだけど、もしかしてひょっとして鉄製のドアとか、クルマ(もちろんホンモノだ)の屋根とかに貼り付けて飾ることがあるかも知れない。備えあれば憂いなし、転ばぬ先の杖ってヤツですよ。


(写真3) ガラの大きなパーツはこんだけ。ココまで来るのはあっと言う間なんだかけど、フネはここからが長いんだよなぁ。

(写真4) 特徴を良く捉えてエッジも効いた良い艦橋パーツです。ダルさなんで微塵も在りません。プロポーションも文句なし。


(写真5) エントツはちょっとしたデキゴコロで穴を開けてみました。裏側からリューターでゴリゴリ削って、紙よりも薄くなったメクラ部分をデザインナイフでチマチマと。

(写真6) 船体色はこんな顔ぶれです。迷彩は色数が多くて面倒くさいのう。


(写真7) 明るいグレーを塗った後に各色合いを面相筆でペタペタ。

(写真8) マストの先端部分のみ真ちゅう線に変えます。これはハンダ付け様に養生している場面ですな。実はココに付くのは、対空警戒用八木アンテナ4×2セットなんだけど気にしない。どーせパーペキには再現出来ないし誰も気付かないよ。見えないパーツは無いパーツ、ってコトで。



(写真9) 舷側が塗り終わったら次は甲板。全面木甲板なのでマスキングした後、下地にサンドイエローをぷーと吹く。おお、なんか美味しそうな色合いじゃのう。

(写真10) 上面構造物をぱぱっと配置。ほほう、こんなシルエットな訳じゃね。直ぐにでも完成しそうな気がするけれど、もちろんソレは錯覚だ。


(写真11) ボートや内火艇をチマチマと塗って行きましょうかね。ランナーからは完全に切り離さないのがミソ。

(写真12) 以前、衝動買いしちゃったファインモールドのナノドレッドシリーズ。この通り、もちろんポンポン砲もストックしてる。折角持ってるんだから使っちゃおう、ってコトで。



(写真13) おお、なんて巨大な爪楊枝。ぢゃなくて、ナノドレッドのパーツが小さ過ぎるのだ。この大きさを塗るのは一苦労だよ。
 ボート類と同様に、ランナーにくっつけたまま塗るのが吉。ピンセットでつまんで塗るのは大変危険です。「ぴん」とかいって飛んだらもう探せません。
 床の上なら兎も角、服のポケットに入ったり、塗料瓶の中にダイブしたり、作業机の電気スタンドの笠の中に潜伏したり・・・・あああっ、もう!

(写真14) チマチマパーツをちまちまくっつけて、ちまちまリタッチして細部も塗ってトップコートを吹いたら出来上がり。ああ、今回も長い闘いであったのう。しかしこうして完成品を見ると感慨深いものがありますなぁ。
 取敢えずコレで東洋艦隊Z部隊の一隻が完成。バンザイ三唱であります。







(写真15) と浮かれて次の日になったら旗付けるの忘れていた。アオシマの駆逐艦ジャービスからパクってきたデカールでちょちょいと付けてみました。やっぱフネは旗が在ると無いとじゃ全然違う。「ホワイトエンサインの誇りよ、ここに」って感じですかね。





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