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(Photo) F-104 複座型

by  コルディッツ
博物館実機写真

 後に「究極の有人戦闘機」と呼ばれるロッキードF-104の原型機は、70年前の1954年3月4日に初飛行しました。ピッチアップに悩みながら、実用化にこぎ着きますが、搭載量や航続力の不足、全天候性の欠如から、アメリカ空軍では少数運用で終わります。
 しかし1959年秋に西ドイツ政府がロッキード社に改造設計契約を申し入れ、翌年1月に日本政府がライセンス契約を締結する等、西側諸国への輸出には成功し、合計2,578機が生産され、初飛行から半世紀後の2004年まで運用されました。
 F-104は西側世界を代表する機体なので、既に何回か紹介させて頂きましたが、複座型を残したことに気づき、70周年を祝してご紹介させて頂きます。
※ 本稿は博物館の標示、「星の戦闘機」(佐貫亦男著 「ヒコーキの心」収録 光人社NF文庫)、「世界の軍用機図鑑」(コスミック出版)、Wikipedeiaを参照しました。

Lockheed F-104 D 4166/57-1326
 航空教育展示館(岡山、高雄郊外)にて   2018年12月撮影


 D型は、核爆弾搭載可能な戦闘爆撃機型F-104Cの、複座練習機
型で21機製造されました。エンジンはJ79-GE-7A 。
 今回改めてF-104のバリエーションを確認しましたが、A型は
単座迎撃機で、その複座練習機型がB型。C型は単座の戦闘爆撃型
で、その複座練習機型がD型という規則性があったのに、G型の
複座練習機型からTF-104Gになるのが面白かったです。




 中華民国空軍のF-104Dは「阿里山Ⅷ」のコードネームで、1975
年に6機が引き渡されました。同空軍に於けるF-104全体の運用は
1988年に終了しました。展示機(4166号機)は1978年にラスト・
フライトを行い、1998年に航空教育館に移されたものです。


 Lockheed F-104 F 29+03 2000年代
 ドイツ博物館航空機分館(オーバーシュトラスハイム)にて


 F型は、D型をベースに開発された複座練習機型で、エンジンは
G型と同じJ79-GE-11Aに強化されています。レーダーを搭載せず、
戦闘能力はありません。西ドイツ空軍のための暫定的な練習機と
して30機製造されて、1972年にTF-104Gと交代し、退役しました。
 以下2枚は2011年5月に撮影しました。




Lockheed TF-104 G 469 2012年8月撮影
 ノルウェー空軍博物館(ガーデモエン、オスロ郊外)にて


 TF-104Gは、単座の戦闘爆撃機型のF-104Gの戦闘能力を残した、
複座練習機型です。ただし機関砲搭載はなく、核爆弾搭載可能な
胴体下面中央のパイロンを外し、機体内の燃料搭載量を減らした
ので、戦闘能力は限定的です。ロッキード社で220機生産されま
した。ノルウェー空軍は4機のTF-104Gを運用しました。




Lockheed TF-104 G 28+27
 技術博物館(シュパイアー)にて      2008年12月撮影 


 西ドイツ空軍は916機のF-104を運用しましたが、TF-104Gは
そのうちの137機でした。西ドイツ空軍はF-104に低空侵攻用の
戦闘爆撃機の役割を振りました。その任務を彷彿されるような
展示です。低空侵攻用途も相まって、西ドイツ空軍は292機の
F-104を墜落事故等で喪い、116名のパイロットが死亡しました。
そのため「未亡人製造機」と悪名が高くなりました。


同博物館に2020年2月に再訪したところ、TF-104Gは屋外展示
になっていました。





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