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A-6E イントルーダー (ハセガワ 1/72)

  by 加藤 寛之



 このキットの最初の発売はいつかと調べたら1968年の初夏ころだ。『航空ファン』の広告では、ハセガワ・フロッグのサザンクロスやブラックウイドー、ヴァイミー(※今日とは表記が違うな)と並んでいる。A-6Aイントルーダーは300円だった。発売から50年以上経過し、型式も「E」に改修してあった。
 ランナーに囲まれたパーツで見るかぎり、金型に大きな荒れはない。大きさのわりに簡潔な構成は、いかにもこの時代の製品。組み立てやすさを重視する考え方は、この時代の特徴だ。ゆえに精密感は最新キットと比べられないが、誠意をもって作られていることはすぐに分かる。この時代の製品だからパネルラインは凸線で、太さにも多少のゆれがある。それも場所によっては消えかかっている。小さな部分の角は多少甘くもなっている。これも50年以上前に作られ、それからずっと奉公をしてきた証。完成すれば、それも味わいだ。



  組む。古いキットだから、擦りあわせや削り合わせ、パテも少しは必要だが、大きな問題はなかった。むしろ大きなパーツに必要充分な厚みがあるので歪まず、組みやすかった。
コックピットはまるみえなのに、超々簡素。床板と一体の椅子は階段みたいだし、やや後ろにあるはずの右席も並んでいる。パイロットを載せないと操縦桿もない。計器類はデカールで必要最小限以下。座席背部には箱状の出っ張りがあるだけ。新発売のキット評でも寂しさ感を述べているが、不足ならば自分で加工するのがこの時代。プラモデルは単純であることが大切だったのだ。故に、欠点ではない。私はキットのままで、操縦桿も付けなかった。覗きこまなければ分かりゃしないし、キットの通りでいいじゃないか。

 胴体は大雑把にいうと、左右と下面中央の3パーツ。挟み込むものは着艦フック周り1パーツと椅子と一体の床板1パーツのみで、しかも前述のようにパーツに厚みがあるから難なく胴体を1本に組める。3点姿勢のための錘は、胴体を組んでからペッと接着できるレドーム内に入れればよい。ホントに有り難いパーツ割りだ。胴体側面のエアブレーキはキット開発時の都合で別パーツだが、閉状態で接着する指示になっている。

 主翼は単純な上下割り。金型の加工をしたのか翼端の造形にやや甘さがあるが、問題にするほどでもない。境界層隔板が厚くて、翼折畳みヒンジ部分の造形も物足りない。でも、まあいい。

 主脚は太めで堅固な取り付け方法。だが、差し込みが甘かったのか、脚柱の長さが違うのか、少し右に傾いてしまった。タイヤの接地面を切ったり、反対側のタイヤ接地面にプラ片を接着したりして、何とか誤魔化して平らにした。次回は注意しよう。脚へのタイヤ接着はガタがあったが、軸を切って何とか取り付けた。ついでにタイヤを脚柱の一部とも接着して頑丈にしておいた。
 風防は、左右分割の2パーツ。形状再現はこの時代ならば上出来。合わせ目のズレは左右接着後に窓枠の幅内で整形し、ガラス面にあった線状の傷は見なかったことにした。胴体との整合はこの時代なりの隙間があるので、水性ボンドで膜を作って塗り、目立たなくした。
今回は翼下等に何も吊るさないので、パイロンだけを切り取って接着した。これは私の好みの問題。



  塗装は2種からの選択で、少しでも派手な方にした。下面は、白の塗装後に2000番のサンドペーパーで凸線部分を擦り、線のプラ色を見せた。上下面ともに軽い汚し塗装をした。境界層隔板や突出部分の角には、上面ならば上面色に白を加えた色、下面は濁っていない白をスッと塗り、凹凸感を強調した。脚のオレオ部分は、黒を塗ったところに銀を線状に入れてみた。塗装後、表面を滑らかにする目的で光沢スプレーをかけてからデカールを貼付。その後に再度光沢スプレーをかけた。

  完成。特徴ある機首周りを大きめにとらえている。全体の印象と模型的な面白さを大切にする造形感がこの時代らしい。最新キットのような正確さとカチッとした造形とは違った、手作りのような、絵画的な感触だ。これはこれで、イイカンジだ。
 発売時の記事を読んでいたら、成形色は白だったと分かった。これは塗装に便利だったと思う。当時のプラモデルには、優しい配慮があったのだ。


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