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零戦32型 (タミヤ 1/48)

  by 加藤 寛之



 Webモデラーズの特集に「タミヤ」があったので、入手したこのキットを組んでみた。せっかくの機会なので、私がいままで塗ったことのない、現地塗装といわれるものにした。

 キットの発売は数十年前。細かいパーツ分割による再現よりも、組みやすさを重視した一体化を選択していることがよく分かる。パーツの勘合は今日の最新製品と比べれば甘いが、プラモデルとしては充分で問題ない。表面のパネルラインは凹凸を使い分け、リベット表現は限定的。動翼の羽布張り部分は、凸のリブ表現を軽く施して、布部分は弛ませずパンパンに張った表現にしている。組み立て順も、後からポン的な配慮があり好ましい。塗り分け塗装が必要なところはやや強く凹凸をつけてあって、塗りやすくしてある。デカールは4種選択で、灰色2つに、現地塗装、緑と灰色が用意してある。どこを見ても、作って楽しむ時代の製品だ。これで価格が抑えてあるのだから嬉しい。



  コックピットは、胴体内壁にモールドすることでパーツ数を減らしている。その結果、指で持てるサイズの7パーツだけになっている。そのパーツには厚みもあるので扱いやすい。風防は開閉位置を選択できるので、私は閉じて作る。よって機内塗装はイイカゲンに指定色と違う暗い色で塗っておいた。暗けりゃ、見えないのだ。
 風防パーツを合わせてみると第3風防の下辺の造形が甘く、このキットの難点になっている。この整形は大仕事だから、私はそのままOKとした。
 コックピットの組み物は、左右胴体パーツを接着後に下から挿入して取り付ける。とても便利だ。この組み物は胴体内にキュっと入れたくらいで胴体を必要以上に絞らず、内壁と堅牢に接着する。ここを硬くしておけば、主翼の上反角がしっかりつけられる。
 主翼は一体の下面と左右分割の上面という、極めて簡潔な分割。後縁が翼端に向かってダレないように留意して接着すればよい。32型の翼端は前下がりの「への字」のように見えるので、下面をちょっと削ってそれらしくする。キットの翼端は左右で厚みがちょっと違うけれども、まあそれらしくってことで。



 主翼と胴体の接着は、まず下面の後ろを瞬間接着剤でとめる。次に下面の前をとめる。この順で接着すれば、主翼の上反角をつけたときに下面が出てしまう事故が起こらない。その後で、上反角をつけるように主翼と胴体を合わせて上面フィレット部分に瞬間接着剤を流してとめる・・・のだが、後半にちょっと隙間があるじゃないか。ここは熱で延ばして糸状にしたランナーを上半分が出るように挿入して瞬間接着剤で固定、これを軽く削ってOKとした。
 エンジンは簡素。あれ?と思うところもあったが、大丈夫。簡素なパーツ構成を補うように、組み図に追加工作の手引きがある。これはやりたい人がやればいいので、私はもちろん、やらない。主脚柱にもブレーキパイプの案内があるが、これもしなかった。そうだ、カウリング上部にある機銃溝の奥に穴を開けた。ここは完成したときに見えやすいから。
 主脚は、挿しただけではちょっとグラつく。まあ、たいしたことでない。
とか何とかしていると、形になる。
 そうだ、思い出した。アンテナ柱を後挿しにするには、風防穴をちょっと大きくする必要がある。私はそれも面倒だったので風防接着時に取り付けたが、気がつくと折れてしまっていた。数秒考え、風防のところで切り取り、アンテナ柱を除外した状態にした。アンテナ柱ナシは32型に多く見られるので、これでOK。 



 塗装。プラの灰色の成形色を活用した。上側面はその上に濃緑色と明るい灰色を混ぜた色を筆で叩くように塗り、さらに溶剤で部分的に叩いてボカシた。下地色を塗っていないので混色することがないから、緑のまま塗れる。左水平尾翼の前にある機体データを書き込んだところは、溶剤を含ませた綿棒で色を拭き取ってプラの地色を露出させた。下面はプラ色のままなので、軽く汚しをしておいた。
デカールを貼って、完成。

 プラモデルの塗らない工夫も作り方の一つ。猛烈工作や華麗な塗装術もアリ、自分勝手に作るのもアリ。好きなように作ればよいのだと思う。  


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