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(Photo) Bofors 40mm L/60 and Flak28
by コルディッツ
博物館実機写真
第二次世界大戦に於ける最優秀対空機関砲は、ボフォース40mmと言われます。1933年にボフォース社が完成させた60口径40mm機関砲は、スウェーデン海軍が艦船の防空を目的に開発の依頼をしたものです。実際の砲身長は56.25口径ですが、ボフォース社では1の位を切り上げて「60口径」と呼称していました。
対空防御は高角砲と機関銃が担当していましたが、高角砲は3,000m以下の高さでは無効で、機関銃も750mまでが限界のため、 このギャップを埋める機関砲の登場は各国の関心を集めます。
最初の発注は1934年にネーデルランド海軍からで、軽巡洋艦デ・ロイテルに搭載する連装機関砲5基でした。ボフォース社は陸上用40mm機関砲も開発、ベルギー、ポーランド、ノルウェー、フィンランドから発注されました。1936年にスウェーデン陸海軍も発注、イギリスはやや遅れて1937年に発注し、ライセンス生産権も取得しました、1941年にアメリカもライセンス生産権を取得して、ボフォース60口径40mm機関砲が世界中で運用される展開になりました。
※本稿は博物館の標示、「電撃戦」レイ・デントン著 ハヤカワ文庫、Wikipediaを参照しています。
Bofors L60/40mm M/1936 2014年6月撮影
スウェーデン空軍博物館(リンショーピン)にて
M1936は博物館の標示通りで、1936は年を表しています。Mは
海軍の、小文字のmは陸軍の所属を示すとされているので、悩み
ます。
ボフォース 60口径40mm機関砲の性能は、初速850m/sで最大
発射速度120発/分、最大射程4,950mとなっています。
L-62 Anti Ⅱ
パロラ戦車博物館(パロラ)にて 2018年7月撮影
アンティⅡはスウェーデンのランズベルク社が開発したL-60
軽戦車を母体に開発された対空自走砲で、ボフォース 60口径
40mm機関砲1門をオープントップの砲塔に設置します。
スウェーデン軍では不採用でしたが、フィンランドは6輌輸入
し、ハンガリーはライセンス生産権を取得して、小改造を施し、
40Mニムロッドとして135輌生産しました。ハンガリーはボフォ
ース60口径40mm機関砲のライセンス生産権も取得していました。
フィンランドは無武装状態の車体6輌を購入し、ハンガリーで
ライセンス生産されていたボフォース 60口径40mm機関砲を購入
して搭載しました。6輌中1輌はスウェーデン国内で搭載、残り
の5輌はユバスキュラの砲工廠で搭載したようです。
Bofors L60/40mm
陸軍博物館(チェルシー、ロンドン)にて 2024年4月撮影
展示の40mm機関砲は、1943年にロイヤル・オードナンス工場
で生産されました。レイ・デントンの著作「電撃戦」に「両軍
ともにスウェーデンから購入していた四センチ・ボフォース砲
でさえ、イギリス版はドイツ版の、二倍の重量があった」と
記述されています。(「電撃戦」レイ・デントン著 ハヤカワ
文庫より)
HMAS Diamantina (K377)
2019年2月撮影
クイーンズランド海事博物館(ブリスベン)にて
4cm/56 Flak 28
イスタンブール航空博物館にて 2019年3月撮影
レイ・デントンはドイツもボフォース 60口径40mm機関砲を
購入と記述していますが、これは大戦後半にハンガリーがライ
センス生産していたボフォース 60口径40mm機関砲を、自国の
75mm対戦車砲と4対1位の比率で交換していた事を指すのかも
しれません。但し大戦初期から40mm/56 Flak28として運用して
いました。ボフォース社の「60口径」ではなく「56口径」と、
より精密にしているのがドイツ人らしいです。
ドイツのボフォース入手経路は、ポーランド占領により同軍
装備のボフォース 40mm機関砲を鹵獲した物、1940年のフランス
侵攻でイギリス軍をダンケルクに追い詰めて鹵獲した物、また
ノルウェーでも鹵獲し、ドイツ軍仕様に調整して運用していま
した。ノルウェーからの鹵獲品はUボートに搭載されています。
ドイツの4cm/56 Flak28がトルコにある理由を説明する資料
は見つけられませんでした。しかし英独共にトルコを自陣営
に引き込む計画で、軍事援助合戦を行っていたので、Flak28は
ドイツからの援助兵器と思われます。
イギリスのライセンス生産品と比べると防盾がなく、レイ・
デントンの記述のように、ドイツは軽量化に熱心で、たぶん
機動力の向上を重視しているのが窺えるかと。
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