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四式戦闘機 疾風 (ハセガワ 1/72)

  by 加藤 寛之
 月刊「モデルアート」2024年9月号の「A帯で行こう!」は衝撃的だった。「ボクも作ろう」と思い、家の在庫から選んだ。ハセガワA帯のキットの金型は古く、パネルラインは凸モールド。今日的な型式の正確さ・精密さや表面モールドよりも、プラモデルとしての作りやすさ・塗りやすさや、飛行機全体の形の表現に力を置いていた時代の作品だ。私はいままでに何回作ったか分からない好きなキットで、価格は最近の新金型製品の数分の1で嬉しい。今回も手抜きをしながら製作した。



 コックピットは平らな床板に、椅子と操縦桿を接着するだけ。側面は何もない。計器盤は凹凸がない透明プラにデカールを貼ってオシマイ。とても簡単だが、風防パーツ越しにみるならば充分。これを胴体内のプラモデル的な突起に載せて取り付ける。キット組み図では、エンジン関係もあらかじめ胴体に組み込むようになっているが、これは胴体内壁を少し切り落としておけば胴体接着後に前から接着できる。尾輪も後付けなので、要するにコックピットの組み物と計器盤をいれるだけで左右胴体を接着できる。このとき、コックピットの床板と左右胴体の突起をガッチリと接着すると、主翼上反角を決めやすい。
 エンジンカウリングは、前部と上部の一部が別パーツで、大体は胴体側にある。そのことで、排気管やカウルフラップと胴体の境目が美しく、カウリングと胴体の軸線が捩れることもなく、胴全体の姿が整って組める。後胴がやや下膨れの断面形になっているのも72サイズとして上手に表現している。どこを見ても、お見事と言いたい。銃口からの溝がやや浅いと思うが、どうせ黒塗り部分なので気にならない。私は溝を深くせず、穴だけ開けておいた。



 主翼は、左右の上面と一体の下面の3パーツ。脚庫は下面パーツに作りこんである。動翼は上面パーツにあり、このことで後縁が薄く出来ている。上面の後縁付近にもダルさがない。組んだ主翼の厚みをみると、根元から脚柱部分まではやや厚め、そこから先端までの薄さ変化が作ってある。翼端の造形も端整だ。動翼の羽布表現は、布がピ~ンと張っていて好ましい。ちょうど傘を広げたときの布と骨の感じに近く、模型的な誇張を加えたうえで72サイズに適切な表現にしている。主翼下面パーツは胴体部分の前方に厚い壁をおくことで上反角を固めてある。そのうえで、胴体の組みモノと隙間なく組める。もう、どこをみても素晴らしい。「凸線キットだから」「コックピットが出来ていないから」なんてことは、作るのを避ける理由にならない。

 なぜかこの時代のハセガワ製品に共通しているのだが、主脚と主翼の取り付けに甘さがある。それでも疾風は根元を四角にしてあるので方向のズレはなく、僅かな注意で接着できる。タイヤの取り付けも秀逸で、ちゃんと位置が決まり、かつ強固に組める。発売当時は子供(今はベテランモデラーになった人たち)だって作っていたのだから、脚がちゃんと出来ることは重要なのだ。
 プロペラの捻った感じや薄さは、プラモデルであり強度も考えると、文句なし。私は付け根に近いところの厚みを少々削ったが、それは好みの問題程度だ。スピンナーとは、テキトウに接着する。これは、この時代のキットにはよくある。プロペラを取り付けたときの、カウリングとの間隔をみてもらいたい。いかにも疾風、という隙間を残している。恐ろしい再現力だ。 



 塗装は、岩波新書『占領期 カラー写真を読む』(2023年)に掲載の疾風を意識してみたが、色はテキトウだ。使った色は、上側面がMr.カラーの23番ダークグリーン(2)に13番ニュートラルグレーを加えた色、下面は11番ガルグレー。白帯はガンダムカラー01番のMsホワイト、スピンナーは5番ブルー。風防前は14番ネービーブルー、主翼前縁のオレンジは58番に赤を加えてある。プロペラは上側面色と下面色を混色、燃料タンクはさらに青を加えてみた。白帯は塗装後に2000番のサンドペーパーで凸線を擦って、プラ色を見せている。左主翼前縁の着陸燈はモールドだけだから、塗装でそれっぽくしてみた。色もライトもそんなことでイイのか、と問われても困るが、結果は観たとおりだ。
私は作るキットごとにテキトウに色を選んでいるので、同一機種でもまったく違うものが出来てしまう。個々にみてそれっぽければそれでいい、と思っている。今回の本Web誌への投稿は、タミヤの古い72疾風と一緒なので、そのあたりも楽しいと思う。


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