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(Photo) Vickers F.B.5 (Replica)

by  コルディッツ
博物館実機写真

 1914年7月17日に初飛行に成功したヴィッカース F.B.5は、世界で最初に設計段階から機関銃を搭載していたので、世界初の戦闘機とされることもある、推進式の複座複葉の戦闘機です。Gunbus(ガンバス)の名前で呼ばれることもあります。
F.B.5 は Fighting Biplane 5 の略で、5番目の複葉戦闘機の意味かと。
(1912年から1、2、3と製作されています)
 前後二人乗りのナセルの先端に、1挺の7.7mmルイス機関銃を旋回式に取り付けて、前席に座る観測手が操作します。
対戦闘機戦は想定外で、敵偵察機の駆逐が目的でした。
※本稿は博物館の標示、「世界の軍用機図鑑」(コスミック出版)、Wikipediaを参照しました。

Vickers F.B.5  (Replica)        2019年9月撮影
 王室空軍博物館ヘンドン(ロンドン郊外)にて




 1914年11月に第一次世界大戦が勃発すると、同月にF.B.5は陸軍航空隊第6飛行隊に配備されました。1914年12月25日に最初の空戦が発生し、この時はタウベ単葉機を撃破しました。
このタウベ機は喪失と推測されていますが、空戦中にF.B.5のルイス機関銃が故障したため、機内に持ち込んだカービン銃で損傷を与えたものです。

 Taube monoplane
 技術博物館(ウイーン)にて        2016年12月撮影
 最初の戦果。


 Vickers F.B.5  (Replica)        2016年4月撮影




 1915年2月に第2飛行隊が西部戦線に展開し、以降11個の飛行隊が編制されました。このうち第11飛行隊はF.B.5のみで構成され、世界最初の戦闘機部隊になりました。
 1915年11月7日の空戦では、ドイツ機を破壊したF.B.5の操縦士に対して、ビクトリア・クロスが授与されます。

 後方下面より見たナセルと主脚




 第一次世界大戦の進行と共に、ドイツ軍側にも新鋭戦闘機が出現します。単葉の牽引式単座戦闘機でプロペラ同調装置を付けたフォッカー・アインデッカーは、1915年7月に戦線に投入されています。
 対戦闘機戦を想定してないF.B.5は、性能不足が指摘され、1915年中に同じく推進式のF.E.2やDH.2と交代し、練習機として運用されるようになります。

 真下からと左前方から




 Vickers F.B.5  (Replica)        2024年4月撮影


 発動機はノーム・モノスパープ 9気筒ロータリーエンジンで100hp。


 主輪をスキッド(橇)に巻き付けているのが興味深かったです。


 1915年に前線を退きましたが、これを知らないドイツ軍は、F.E.2やDH.2をF.B.5と誤認し、1917年7月6日にレッド・バロンが空戦で負傷した際に、彼はヴィッカース機に攻撃されたと報告しています。
 ヴィッカース F.B.5 ガンバスは英国陸軍航空隊用に119機が製作され、フランス陸軍航空隊に99機が製作されています。
またデンマーク陸軍航空隊も本機を12機ライセンス生産し、1916年から1924年まで運用していました。
 ガンバスは我が国では知名度が低いようです。大戦序盤に後方に下がったため、知名度の低さはやむを得ないとして、 世界で最初の戦闘機にして、英国陸軍航空隊最初の戦果を挙げ、ビクトリア・クロスをもたらした爪痕から、もっとリスペクトされて良い機体ではないかと思います。
 展示のレプリカ機は1966年に完成し、1968年まで飛行していました。流石は英国人、当方が嫉妬を覚えるくらい、やることがチート過ぎますね。




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