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> (Photo) Avro Canada CF-100 Canack <博物館実機写真<2024年12月号
(Photo) Avro Canada CF-100 Canack
by コルディッツ
博物館実機写真
20年振りにオタワにあるカナダ航空宇宙博物館を拝観して参りました。20年前は円高故に、また簡単に再拝観できると強気に思い込んでいましたが、その後の北米方面の航空券の価格高騰、COVID-19と円安の展開に、20年の刻を要しました。
本誌の読者様なら、オタワに期待するのは航空宇宙博物館と戦争博物館の参拝かと。観光ツアーに便乗だと、オタワに割くのは1日が限界。航空宇宙博物館は市内北東部に、戦争博物館は市内西部で、車を使わないと1日で2館参拝は困難です。しかしバス便は少なく、海外レンタカーは敷居が高い場合はどうしたら良いのか? 前回はレンタサイクルで廻りましたが、戦争博物館の開館時間に間に合いませんでした。日本語ガイドブックではタクシー利用を勧めています。
しかしケチな私は、個人旅行のくせに、オタワ市内の観光バスツアー(グレイ・ライン・ツアー)のHPにアップされていたルートマップを見て、市内中央を出発する観光バスが航空宇宙博物館と戦争博物館を廻ることに気づき、利用可能性ありと判断しました。
現地確認では観光バス第1便の出発は10:00、博物館の開館時間と同じです。10:00出発で、航空宇宙博物館着は10:27、以降毎時27分にバスが着き、ツアー参加者を乗降させます。
航空博物館を出たバスは30分後に戦争博物館に着く時刻表。これ幸いと観光バス乗り場で参加申し込みすると、参加者を示すリストバンドを渡されます。バスはダブルデッカーで、脳天気に無天蓋の2階席に着座、出発するや寒風が吹き寄せ、震え上がる羽目になりました。
定刻に航空博物館玄関前で下車し、3時間後の第4便に乗る積りでしたが、実際の乗車は4時間後。それでも参拝時間が不十分な気分がしていました。
カナダ航空宇宙博物館エントランス前。乗ってきたツアーバス。背後の別館は1日2回ある博物館の無料ツアーに参加して入館します。ツアーは約1時間で仏語と英語の説明。
航空宇宙博物館のコレクションは膨大で、かつユニークな機体が多いので、本誌でコレクションの紹介させて頂きたく、よろしくお願い致します。
最初はカナダで設計され、生産されたカナダを代表するアブロ・カナダCF-100カナック(カナダ人の意味)です。※ 本稿は博物館の標示、「世界の軍用機図鑑」(コズミック出版)、Wikipediaを参照しました。
Avro Canada CF-100 Mk5D Canuck 100757
カナダ航空宇宙博物館(オタワ)にて 2024年10月撮影
1946年、アヴロ カナダ社は巨大なレーダー搭載の全天候型長距離要撃ジェット戦闘機の設計をカナダ空軍に提案するも、 良い反応はなく、そこで会社は急いで製作に入り、1950年1月19日に試作機の初飛行に至ります。ターボジェットエンジン2基を胴体の外側に左右並べ、操縦士と航法士が前後に配置されたタンデム複座の直線翼機でした。試作機のエンジンは予定していたオレンダの開発が間に合わず、エイボンで対応しました。
CF-100はMk3、Mk4、Mk5が生産され実戦配備されました。
Mk3の武装は写真の腹部に取付けるガンポットで、ポット内に8挺の12.7mmブローニング M3 機関銃を装備します。
Mk4からはマイティ マウス ロケット弾29発装備のポットを翼端に追加して武装強化しました。
展示機のMk5からはガンパックは取り外され、武装は翼端のポットのみで、軽量化を図り上昇限度を高めています。
Mk5はヒューズARG-40 レーダーとMS-2 火器管制システムを装備。脇にガンパック展示中なので、紛らわしいのですが、Mk5では機関銃武装は廃止されています。
Mk5は全長16.5m、全幅17.4m、全高4.4m、アヴロカナダのオレンダ11ターボジェット(推力3,400kg)2基を装備。
最高速度888km/h、航続距離3,200km で332機生産です。
カナックの生産数は692機(一説には690機)で、1952年から1981年までカナダ空軍(三軍統合により1975年以降はカナダ軍航空兵力部門)で運用されました。
北極を挟んでソ連と対峙するカナダは、長大な空域の防空には、航続距離が大で、最新のレーダーと火器管制システム,全天候及び夜間にパトロール飛行の出来る機体が必要としていましたが、その任務にCF-100は適切な機体でした。
後継機として開発されたCF-105(背後に機種のみ展示)がキャンセルされ、代替機はマクドネルF-101ヴードゥーとなります。
翼端には増槽の装着も可能です。展示機の翼端に装着されていた赤いポットは、ロケット弾入りなのか増槽なのか、は個人的見解はありますが、博物館でリサーチに至らず、不明とさせて頂きます。申し訳ございません。
カナダ空軍のCF-100は西欧にも配置され、この場合は英国空軍流の塗装を施しました。戦争博物館ダックスフォードの英国機館で飛行姿勢で吊されていますが、遠方から撮影した物しかなく、流石に公開できる代物ではありませんでした。
展示機のD型はMk5から電子戦機に改造された少数の機体の
1機です。1958年に生産され、1970年代初期に電子戦練習機
に改造され、オンタリオ州ノーズベイの部隊に配属、1979年
に航空宇宙博物館に寄贈されました。
脚は簡素にして堅牢さを感じさせます。
Mk5では水平尾翼も大型化し、高空性能を高めています。
Avro Canada CF-100 Mk5D Canuck 100785
カナダ 軍用機遺産博物館(マウントホープ)にて
オタワの展示機は後方が壁で、撮影しずらい状況でした。
幸いオンタリオ州ハミルトン郊外の展示機は、後方の撮影
が出来ましたので、紹介させて頂きます。 2006年4月撮影
Avro Canada CF-100 Mk5 Canuck 18534
王室軍事博物館(ブリュッセル)にて 2009年12月撮影
カナダ空軍以外ではベルギー空軍が53機のMk5を購入し、
1957年から1964まで運用していました。
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>(Photo) Avro Canada CF-100 Canack <博物館実機写真
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