Nakajima Falcon
|
by コルディッツ |
悲しいことに、今のところプラモデル製作は「積みプラ」対策
に追われています。しかしプラモデル以外にも「成仏」を心掛け
なくてはならない物もあります。その一つはデカールです。特に
ESCIなどの別売りデカールが、未使用のまま黄ばみ、朽ち果てて
行くのを傍観しているのは辛いです。そこで本特集を活かせば、
キットとデカールの成仏が出来、一挙両得と思い立ちました。
しかし架空ネタとは言え、やはりそれなりのリアリティを感じ
させるシナリオは必要なので、その妄想展開に苦しみ、案外時間
を取られました。
【シナリオ】1941年6月、ナチスドイツはソ連に奇襲攻撃を行い、
世界大戦が始まりました。ナチスの同盟国である日本は世界大戦
への対応を迫られる中、7月上旬にソ連のスパイ「ゾルゲ団」が
摘発されます。ドイツ人ゾルゲを首領とするスパイチームは、
近衛内閣や陸軍上層部にも食い込んでいたため、近衛と陸軍の
政治的権威は失墜します。前年のノモンハン事件の大損害も陸軍
上層部からゾルゲを通じ、軍事情報が赤軍に流れていたからとも
考えられ、また当時準備中だった対米英戦の軍事情報もゾルゲ→
ソ連→イギリス→アメリカと流れている事が予想され、一気に
アメリカとの妥協を選択します。そして特に米英に警戒された
陸軍は軍縮を余儀なくされ、シンガポール侵攻に編制した加藤
戦闘機隊に配備された隼戦闘機は、海外への売却が決まります。
その売却先は空軍戦力構築に懸命な中立国スウェーデンでした。
米英の厳重な監視の下、イラクまで隼は貨物船で運ばれ、陸路
トルコを経てスウェーデンまで運ばれました。ドイツ領内通過中
に、日本の「裏切り」に不満なナチスは、数機の隼を接収します
が、禄にテストもせずに2級品と決めつけて、スウェーデンへの
通過を認めました。
(と言う訳で、スウェーデン空軍所属の隼です。筒型照準器は
ドイツ製の光学照準器に換えられたと考え、カットしました。)
|
【シナリオ】スウェーデンでは隼は歓迎されました。
大柄な北欧人には狭い操縦席ですが、隼のエンジンの
ハ25系はP&WのR-1830ツインワスプを基にしていたので、
同エンジンを違法コピーして量産していたスウェーデン
には、エンジンの整備や交換等に全く支障がなかった
からです。並んでいるFFVS J22も違法コピーのR-1830
を搭載していました。
|
【シナリオ】また加藤戦闘機隊配備の隼は、機首武装は
ホ103で、基はブローニングAN/M2航空機機関銃です。
このブローニングはスウェーデンでライセンス生産され
ていて、口径こそ13.2mmに拡大されていますが、隼にも
搭載可能でした。意外にスウェーデン空軍の軍備体系に
にジャスト・フィットする隼が、好感を持たれたのも
当然でした。
さらに隼の長い航続力は、国土の広いスウェーデンの
白夜の季節のパトロールには最適でした。この特性を
活かして、イギリス軍の風船爆弾(アウトワード作戦)
を破壊し、1944年2月のロシア機によるストックホルム
空爆の迎撃戦でも活躍しました。
世界大戦後も運用され、冷戦期にはイギリスから輸入
したスピットファイア偵察機によるソ連領土内強行偵察
飛行の長距離護衛機として最後の任務を果たしました。
|
というシナリオになりました。かくてESCIデカールの
スウェーデンマークとARIIの1/72隼を成仏させることが
出来ました!
|
(おまけ)R-1830搭載の復元隼戦闘機。航空博物館
(シアトル)にて 2009年10月撮影
|
|