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誌上個展

<日本航空史>
学のあるモデラーを判定する カーチスP-1Aホーク

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 昭和2年に陸軍が1機輸入して試用した飛行機。なんでこの輸入機を本記事の対象にするのかというと、それはずいぶん前に佐貫亦男『続・飛べヒコーキ』(光人社NF文庫)を読んだことが理由。このヒコーキは「カーチス・ホーク戦闘機 軽い翼のホーク」で紹介されており、その文中に「P-1のほかにP-1A、P-1B、P-1C、P-1D、P-1E、P-1Fまであり、モデラーの学のあるところを示す根元になっている」と書いてあったのだ。これで私は、確実に「学のない」モデラーに該当する。そのナンとも言えない敗北感が染みついていたのだ。「このヒコーキ、知らないよ!」なので、下田信夫氏描く同機のイラストも強く印象に残った。

カーチス・ホーク


  そのイラストの元になったのであろう写真が、今回掲載したもの。当時の絵葉書にも同じ写真のものがあるのだが入手できずにいた。先日、たまたま一括購入した資料写真のなかにこれがあった。本「日本航空史」は自分で何かを持っていることを条件にしているので、これでやっと書けるようになったのだ。
 『続・飛べヒコーキ』の文中には気になる一言もあって、これも同機の印象を深めた。それは甲式四型戦闘機(ニューポール・ドラージュ29型)とホークを比較しているなかで翼面荷重に差があることを指摘した後で「翼面荷重が大きければ、速く飛ぶよりほかに(もし飛べたら)手段はない」と書いてあることだ。しばしば翼面荷重の大きいヒコーキは高速だみたいに単純に書いてあるが、それならば爆弾や魚雷を積んで重くなったらすごく早く飛べそうだ。そんなことはない。
 『続・飛べヒコーキ』によれば、「パイロットたちは、甲式四型戦闘機に比べて性能と操縦性が抜群で、余裕馬力により楽に背面上昇などが可能であることを操縦して肌で感じた」「これほど曲芸飛行が気持ちよく行えた機体は当時まで存在しなかった」とあり、『日本航空機総集 輸入機篇』(出版協同社)によれば「新しい国産戦闘機の出現を促進させる原動力となった」という。 

甲式四型


 掲載写真は『日本航空機総集 輸入機篇』のグラビアページに載っているものと同じで、同書には本文ページに別角度の写真もある。比較された甲式四型戦闘機(ニューポール・ドラージュ29型)は飛行中の写真を載せておく。一目見ただけで、カーチス・ホークの方がキビキビと飛びそうである。


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