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特集 もしも、架空

妄想6:もう一つの航空自衛隊「FSX日英共同開発、トーネードADV母機 F-2T1」 
(ドラゴン 1/144 トーネードADV改造)

  by 望月 清光 



 「1989年7月、F-16を母機とするFSX日米共同開発に制限を設ける米国議会修正法案に対して、ブッシュ大統領は拒否権を発動したが、その後の松永駐米大使等による懸命なロビー活動も功を奏せず、同年9月、上院における大統領拒否権阻止投票に1票差で破れた。これにより、ブッシュ政権はFSX日米共同開発合意を見直しせざるを得ない事態に追い込まれた。上院のバード決議案発効により、FSX搭載予定のP&W社製F100 戦闘機用ターボファンENGのハイテク情報提供拒否、ライセンス生産拒否となり、日本にFSX国内開発への転換理由を与えてしまうとブッシュ政権は危惧したが、上院の決定には従わざるを得なかった。
この機を見計らってか、英国政府から再度MRCA トーネードADVを母機としたFSX日英共同開発の提案が出された。今回の提案では、FBW機であるトーネードのフライト・ソースコードを含む、トーネードADV型搭載フォックスハンター・レーダー及びECM装置等を含む全てのアビオニクスのソースコードを公開するという。この時期、海外における米国企業が関与する新型機開発は、米国が支援していたイスラエルの戦闘機『ラビ』は、1987年に開発費高騰を理由に米政府が支援停止を決め、開発がストップしていた。
スウェーデン自主開発の『FAS39グリペン』は1987年2月に試作機が墜落したが、FBW開発担当の米国企業リア・シグラー社はフライト・ソースコード公表を拒否して原因究明が滞り、また同社のフライト・ソースコードを搭載する台湾自主開発戦闘機の『経国』も、そのあおりを受けて開発が停滞していた。
今回、ゼロからの見直しとなったF-16母機FSX日米共同開発の交渉中にも、徳川幕府時代の不平等条約再現の如きフライト・ソースコード提供拒否、搭載ENGのホットセクション・ライセンス生産拒否、米国の生産分担40%要求などがあり米国への不満と、前述した米国企業との共同開発に不安が高まるなかでの英国政府提案は、日本政府に好意的に受け止められた。
トーネードを母機とした日英共同開発機となれば、米軍とのインターオペラビリティに影響が出るとの懸念も出たが、米国議会の動きから予想すると、将来のFX(空自主力機F-15後継機)に米空軍主力機のライセンス生産を希望しても、許可が下りず完成機の購入を強要されそうであり、いずれ、米国議会からNO!を出されるならば、この機会にヨーロッパ勢と組んで国内戦闘機開発能力を高めておく方が、将来、米国との交渉に有利に働くだろうとの通産省及び航空産業界の思惑もあり、日本政府はFSX日米共同開発を諦め、英国政府提案を受け入れた。FSX日英共同開発が決定された1990年、航空自衛隊は現行F-1の用廃時期を考慮して開発はPhase 1及びPhase 2の2段階で進めることを決定とした。

 Phase 1開発では、FSXの『ASM 4発装備しての戦闘行動半径450NM』、及び『要撃戦闘機としても使用可能』との基本要求を満たすために、英空軍向けの迎撃機トーネードADVをベースとするが、①要撃戦闘を考慮して360°バブル・キャノピー装備、②フォックスハンター・レーダーは残すが、先進アビオニクス装備によるグラスコックピット化として単座とする。③航空自衛隊国内基地での運用を前提として、スラスト・リバーサーを取り卸し、代わりにドラッグ・シュート及びアレスティング・フック装備による機体軽量化を図る。④27mmマウザー砲は、M61 20mmバルカン砲に変更する等の改造に留めて早期の運用開始を目指すことになった。また、米空軍とのインターオペラビリティを考慮し、空対空ミサイルは英国製を採用せず、米国製のサイドワインダー、スパロー及び開発中のAMRAAMを採用することになった。トーネードADVの胴体下面半埋め込み式ミサイルランチャーは前方の2基のみとし、後方にはトーネードIDSのショルダー・パイロンを装備し、ASM装着可能とする。対艦攻撃ASM 4発装備の場合は、ショルダー・パイロンに2発、翼下パイロンに2発の計4発装備とし、要撃戦闘の場合は、スパロー(or AMRAAM)を胴体下面に2発、翼下パイロン・ダブルランチャーの左右でスパロー(or AMRAAM)4発、更に増加燃料タンクパイロンにサイドワインダー装備を可能とし、BVR戦闘機能に目視空戦機能も付加した。 また機首左側のプローブ・ドローグ式の空中受油装置を廃止し、代わりに単座型への変更により余裕ができた前部胴体上面にフライングブーム式燃料受油装置と燃料タンクを追加した。、搭載ENGは、ロールス・ロイス製RB199の推力向上型を製造者のロールスロイス社とライセンス国産を許可されたIHIが共同開発することに決まった。また機体塗装は、北海での対艦攻撃を主任務とするドイツ海軍トーネードIDSに準じた上面ダークシーグレー、下面オフホワイトとして、高緯度地方特有の冬季の暗い海面における低視認性を図るこにとなった。トーネードADV母機のFSX Phase 1は試作機は早くも1993年に初飛行したが、航空自衛隊初の可変後退翼戦闘機ということもあり、航空実験団における実用研究・開発に時間をかけたため、3年後の1996年にF-2T1として制式採用され、部隊運用が始まった。」

 という設定で製作した1/144 トーネードADV母機の空自F-2です。ドラゴン製トーネードADVに、カフェレオ製F-2のキャノピーを接着して単座型としましたが、トーネードADVの複座型キャノピーにつながるドーサルスパインへの接続をスムーズにするために、キャノピー位置が高くなり、デブな印象を与える機影になってしまいました。ドラゴン製トーネードにはパイロットがいませんので、Mach 3製の3DプリンターのF-2パイロット及び座席を使用しています。胴体後部のExhaustノズルをスラストリバーサーごと切取り、同じくMach 3製のJ-79 ENGのExhaustノズルを取付けました。RB199より少し直径が大きいですが、推力向上型ENGの雰囲気優先です。

垂直尾翼の下部後端を切取って、余剰のカフェレオ製F-2垂直尾翼からドラッグシュートを移設し、胴体後部下面に伸ばしランナーから自作したアレスティング・フックを接着します。兵装は、プラッツの1/144航空自衛隊用ウェポンセットから、スパロー、サイドワインダー、ASM-1等を調達して装備します。スパローは胴体下面に、ドラゴン・トーネードの翼下パイロンにASM-1とサイドワインダーを装着します。トーネードIDSから転用した想定のショルダーパイロンはプラ板から自作して胴体下面に接着し、プラッツのウェポンセットからパイロンとASM-1を調達して接着しました。おまけに、F-Toys製トーネードIDSからスカイシャドウECMポッドを調達して左翼外側パイロンに装備、右翼外側パイロンにはプラッツ製スパローを装備しました。こんな重装備で離陸できるのかと疑念が湧きますが、実機のトーネードIDSでも両翼内側パイロンに2,250L増槽、外側パイロンにスカイシャドウECMポッドとチャフ・フレアー・ディスペンサー、ショルダーパイロンにストームシャドウASM 2発装備という過重状態で急バンクの飛行をしている写真がありますので、F-2T1は軽燃料で離陸し空中給油を受けて対艦攻撃に向かう雄姿と理屈付けして、外観優先で製作してみました。塗装は、機体上面はMr.Colorの608番ダークシーグレー、下面は311番ホワイトを使用し、MYK Designのドイツ海軍トーネードデカールを使用、日の丸及び機番は同じくMYK DesignのF-2から転用しました。Phase-2のF-2T2はもっとカッコ良くしたいと思いますが、こんな架空機は如何でしょうか。

 F-2T1写真













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