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バブルトップのP-51B(タミヤ P-51B & P-51D 1/48)
by 平針みなみ HIRABARI Minami
第2次世界大戦の最優秀戦闘機と呼ばれるノースアメリカンP-51ですが、アリソン・マスタングについてはいくつもの課題が指摘されていました。それらに対して、高空性能の問題についてはエンジンを換装したP-51Bで改善されましたが、後方視界と武装についてはその段階では達成できていませんでした。
ノースアメリカン社は視界問題に対する回答として、P-51Bの10機目の機体(P-51B-1NA、シリアルナンバー43-12102)にバブルキャノピーを搭載するという改造を施しました。これが今回作成したものです。これによって視界については良好な結果が得られたことから、続いて2機のP-51Bを改造したXP-51Dへとつながっていくことになりました。
組み立て・改造
タミヤから1/48のP-51BとP-51Dが出ていますので、ニコイチでバブルトップのP-51Bを作りました。胴体はP-51Dのキットのものを使い、主翼・水平尾翼などはP-51Bのパーツを使います。
次の写真は、下がP-51Dのパーツで、上にのっているのがP-51Bのものです。パーツの先端部分がP-51DのものよりP-51Bのものの方が2ミリほど短くなっていますので、先端の延長が必要になります。
また、P-51Dの胴体パーツについては主翼前縁の付け根の張り出しに続く部分があるため、そこに接着するP-51Bの主翼パーツとの間に2ミリほどの段差ができてしまいます。そこで、それぞれのパーツの該当する箇所の内側にプラ棒やパテで裏打ちしておき、スムーズに繋がるように削ります。
次の写真の手前がP-51D、奥がP-51Bの胴体パーツです。
今回作る機体の外見上の特徴のひとつが、垂直尾翼の前のドーサルフィンがないことです。そのため、P-51Dのキットのドーサルフィンを切り取って開いた穴を埋めるか、P-51Bの尾部を移植するかということになりますが、今回はP-51Dの尾翼をドーサルフィンの直前のラインで切断し、P-51Bの尾部をとりつけることにしました。(そうすればドーサルフィン付きのP-51B/P-51Cの胴体も作れるので。)ところが、胴体の幅がP-51Bのキットの方がP-51Dのそれより少し太くなっているため、接合した部分の前後で胴体表面を面一にするのに苦労しました。
機首のエンジンカウリング上部は別パーツになっています。P-51のキットというとこの部分の形状についてあれこれ言われ続けてきました。今回は、後から出て形状が改善されているというP-51Bのキットの方を使ってみました。ところが、このパーツは後ろの方にいくと、P-51Dの胴体からわずかばかり横にはみ出てしまいます。P-51DよりP-51Bの胴体パーツの方が幅広になっているためで、削る必要があります。
タミヤのP-51BとP-51Dのキットの胴体は、機首先端・スピンナーの直径と垂直尾翼はそれぞれ同じサイズですが、その間の胴体がP-51Bの方が少しばかり太くなっているということです。
排気管のパーツはカバーの有無の選択ができるようになっていますが、カバー付きの方を使います。
この機体は、機首横下側の32個の細かい穴、フィルター付きキャブレター空気取り入れ口、が無いタイプなのでキットのモールドはパテで埋めます。
また、機首右側にあるエンジンスターターのクランク挿入孔の位置がキットのものより後方にあることが写真で確認できましたので、1cmほど後ろにずらしています。
次の写真の奥がP-51Bのパーツ、手前がP-51Dのもの。3分割して中央のみP-51Bのものを使います。
コックピットの床は、P-51Bから平らな床になっているとのことです。
コックピット後方の無線機の台はP-51Bのパーツを用い、その上に載せる機器パーツの位置決め用のでっぱり2本を削り落としました。ただ、左右合わせて1mmほどカットしないとP-51Dの胴体に収まりません。
キャノピーフレームのパーツに付いている円弧型のフレームは、穴が開いていないので7つ開けました。
この機は、武装を搭載していないとのことで、実機写真を見ると機銃口のまわりの窪みを埋めてあることがわかります。そのためパテで埋めました。
主翼の機銃の点検ハッチ・アクセスパネルラインがP-51Dのものと同じになっているので、幅を短く修正しました。
ピトー管はキットのような柄の部分が板状のものではなく棒状になっていますので、真鍮線をL字に折り曲げて作りました。
水平尾翼のエレベーターは羽布張りなので、P-51Bのパーツを使いました。
アンテナ支柱はP-51Bのキットに入っている細い棒状の方を使いましたが、写真を見るともっと細くてもよさそうです。
塗装とマーキング
機体は標準迷彩の上側面オリーブドラブ、下面ニュートラルグレーで、スピンナーはイエロー。
実機の写真を見ると、左水平尾翼のエレベーターが明るい色で塗られていて、付け根から翼端に向かって4本の細い線が引かれているように見えます。白黒写真で色がわからないので、エレベーターをライトグレー、細い線はレッドとしてみました。また、右側のエレベーターのタブも明るい色に見えるので同じくライトグレーにしています。
この機体は、左の主翼上面の国籍マークの左側の白帯の部分を中心に前縁から後縁にかけてかなりの汚れが見られます。右翼の対称な位置にも同じような汚れが見られます。どうしてここが、こんなに汚れているのかわかりません。
垂直尾翼のシリアルナンバー「312102」はサイズが大きいので、タミヤのP-47D レイザーバックのデカールのシリアルナンバーに含まれている数字の1と2はそのまま使用し、それに含まれていない0と3は、流用できそうな数字を適当に切り張りしたり手書きしたりして作成しました。
撮影時期によるマーキングのバリエーションとして、機首にシリアルナンバーの末尾3桁の「102」を記入している写真がありました。白黒写真のため色は判然としませんが、シリアルナンバー同様イエローか。このことについて、1970年代に「バブルトップのP-51B」の塗装をP-51Dに再現した機体がありましたが、それでは「102」をイエローにしていました。(ただ、スピンナーは赤と白の塗り分けになっていましたが。)
また、機首に小さな白い正方形のマークが記入されている写真もありました。この正方形は、地上姿勢のとき正方形の底辺が地面に平行になるような角度になっており、機軸とは角度がついています。
今回作ったP-51B-1NA、43-12102は、見た目はP-51Dの初期型とそう変わらないのですが、あちこち手を入れないといけないところが多くて苦労しました。しかし、P-51マスタングとしては、ひとつのマイルストーンとなった機体だと思います。
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