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webmodelers発行人からご挨拶

月刊 webモデラーズ  創刊16周年によせて

webmodelers発行人 田口 博通

「無塗装、素組から フルスクラッチまで」、そして「時空を超えたプラモデル作りの楽しさ」を
次の世代のできるだけ多くの人達に プラモデルの楽しさのたすきをつなぎたい


 Internet無料模型誌 月刊「webモデラーズ」は本2025年2月号で 創刊16周年を迎えました。
 2009年2月創刊号から通巻198号を数える本号まで おかげさまで休むことなく毎月続けてこられたのも 読者の皆様と御寄稿いただいているボランティアライターの皆様のご支援の賜物と 心より御礼申し上げます。
また、プラモデルメーカー、輸入商社、出版社の皆様のご支援に御礼申し上げます。

 さて、弊誌月刊「WEBモデラーズ」は、2009年2月から無料購読 かつ黎明期のプラモデルからニューキットまで幅広く掲載するプラモデル専門のweb雑誌として 発行を続けてきました。
 このスタイルのきっかけは、米ワイアード誌の編集長であったクリス・アンダーソンが2006年に刊行した「ロングテール」と、2009年に刊行した「フリー」を読んで感銘を受け、その理論をプラモデル専門のweb雑誌の形で実践してみたいと思い立ったことによります。
 
 インターネットは極めて低コストで多数のものを管理して、多数に届ける仕組みを可能としました。アマゾン通販の本を例にとると、現在の流行本(ヒット、ヘッド)だけでなく、極めて多数の古書、古本を含めたあらゆる本(非ヒット商品、テール)が通販されていることがわかります。そして、ヒット本とテールの総和の利益が比肩するとされています。アマゾンは世界最大の古書、古本売り場でもあるわけです。
 このような恐竜の頭と長いしっぽのような形状のビジネス形態を指す「ロングテール(長いしっぽ)」は 現在では主要なマーケティング用語となっています。


早川書房文庫版ロングテール表紙より引用
 
 同様にプラモデルの世界では、日本国内最大のプラモデル売り場(プラモデル市場と言った方がよいかもしれません)は、なんとインターネットのヤフーオークションであり、1960年代から現在までのあらゆるジャンルの極めて多数のプラモデルがそのサイトで売られているのを実感できることと思います。
 
 模型誌に関しますと、紙の形で発行する月刊模型誌は 広告費が収入の多くを占めるため、ニューキットや流行りごとしか、掲載できません。1970年代はニューキットが多かったのでそれでよかったものの、年1つか2つしかニューキットがリリースされない2000年代では、精密工作、塗装テクニックの毎号同じような内容が誌面を多く占めるようになっているわけです。
 対して、弊誌「webモデラーズ」のようなインターネット媒体は黎明期のプラモデルからニューキットまで幅広く掲載し、無料購読での発行が 工夫次第で可能となります。
 弊誌「webモデラーズ」では定期的にページアクセス数をカウンター測定していますが、毎月発行号のページアクセス数よりも、バックナンバーページのアクセス数総和の方が多くなっています。まさにロングテール理論の通りとなっています。
 
 先ほどの「ロングテール」の著者クリス・アンダーソンは2012年刊行の「MAKERS」で 3Dプリンティングなどのデジタル工作機の低価格化による普及による生産者側のロングテール化を予言しましたが、確かに、最近3Dプリンターを利用するモデラーが着実に増加しつつあります。また、私のプラモ所属クラブといった身近な世界においても 3Dプリンターを使ったガレージメーカーを志向する人が出現はじめました。

 もっとも、このような話は世界が平和であることを前提としたお話で、戦争でインターネットを含んだインフラが破壊されると根底から覆り 我々の生活も一変いたします。弊誌「webモデラーズ」を発行開始した2009年と今年2025年では既に平和環境が激変しました。2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、最近では 世界中で海底通信ケーブルの破壊工作やサイバー攻撃、エネルギーラインの破壊工作といった次の戦争のための準備活動がロシア、中国などにより多く行われるようになりました。
 皆さまご存じの通り、2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、今日現在も、ロシア軍の無差別攻撃によりウクライナの市民に多くの犠牲者が出続けており、心が痛むばかりです。
 このため、弊誌月刊webmodelers では、無用なプロパガンダの誤解を避けるためもあり、旧ソ連軍と 現ロシアの国旗、マーキングなどのついた作品、及びロシア関連記事を出入り禁止とさせていただき、掲載を一切中止とさせていただきました。
また、昨年から北朝鮮軍もロシア応援で参戦するようになり、戦争が拡大し続けています。北朝鮮のマークのついた作品も出入り禁止とさせていただき掲載を一切中止とさせていただきます。
 皆様の中でお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、2022年5月号より、表紙上部の色が ブルーとイエローの ウクライナの「青の空と黄の麦畑」国旗色となっています。
 現在の世界は戦間期であると言われております。次に起こるであろう戦争前夜のような情勢の中で まだ、日本に存在する平和を いつまで続くかわかりませんが享受できる我々は幸せだと実感しております。
 
 インディーズの無料模型誌として出発した月刊「webモデラーズ」は、商業誌とは違う立ち位置を変えずに、これからもさまざまなジャンルの多様なプラモデルを掲載し、
「無塗装、素組から フルスクラッチまで」をキャッチフレーズに、
新製品から黎明期のプラモデルまで「時空を超えたプラモデル作りの楽しさ」を
幅広く掲載する方針を続けてまいります。

今後とも 皆様のご支援をお願い申し上げます。
                         2025年2月1日

       月刊 webモデラーズ [webmodelers] 発行人   田口 博通
                                


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Vol.198  2025 February..     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /Prohibited without permission
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 / lolipop/無断転載を禁ず/リンクフリー

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