|
Home > North American P-51B “Mustang” 製作記 (Academy 1/72)>特集 世界の名機コレクションシリーズ No4
ノースアメリカンP-51ムスタング>2025年2月号
|
North American P-51B “Mustang” 製作記
(Academy 1/72)
|
by Kiyoshi Iwama(ひやめし会) |
North American P-51B/C “Mustang” Academy (1/72) Box Artより

P-51 ムスタングも人気機種ということもあり、各社からいろんなスケールでキットが販売されています。筆者も1/72から1/32まで数社のキットを抱えた状態です。以前本誌でもP-51D(モノグラム
1/48)の製作記事を投稿したことがありますが(North American P-51D”Mustang”製作記 (Monogram 1/48))、今月号のP-51の特集にあたり1/72の小品を作ってみました。アカデミーのキットの箱にはP-51Cと書かれていますが、デカールにはP-51Bのものも入っており、今回はP-51Bとして完成させました。もともとB型とC型は同じ機体ですが、生産された場所によって別個の呼称が与えられました。B型はカリフォルニア州のイングルウッドの工場で、C型はテキサス州ダラスの工場で生産されたものです。
今回組み立ててみて、アカデミーのキットは細部までよくできたキットだと思いました。B/C型では、主翼前縁付け根部の朱車輪収納部の前方への膨らみがD型より少ないのですが、その辺も正確に再現されていました。
|
実機紹介
P-51ムスタングというとあまりにも有名な機体でここで改めて紹介するまでもありませんが、航空史にその名を残したムスタング誕生の話だけを紹介しておきます。
P-51を開発したノースアメリカン社(当時の呼称はNorth American Aviation:NAA)は創業が1934年の振興航空機メーカで、主に汎用航空機を製造し、戦闘機の製造経験はありませんでした。そのため米陸軍からも重視されない存在でした。しかし、英国の調達委員会(BPC)から英国空軍向けのP-40用練習機製造の打診があった際、陸軍はNAAを紹介します。そしてBPCとNAAの打ち合わせが始まったのですが、NAAの設計チームはP-40と同じエンジン(Allison V-170-39)を装備する新しい戦闘機(社内モデルNA-50B)を提案します。これに対し、BPCは120日以内に試作機を製造することを条件に開発を認めたのです。ノースアメリカン社の設計チームは試作機の設計を進め、1940年4月11日に設計結果をBPCに提示し、製造許可を得ます。設計結果を見たBPCは5月29日にまだ飛んでもいないNA-50Bを320機、NAAに発注したのです。NAAは機体の製造に励み、エンジンンの遅れで完成は120日を僅かに過ぎますが、見事機体を作り上げたのです。この機体はロールアウト時にMA-73Xに呼称変更され、1940年10月26日、見事に初飛行に成功しました。
そして翌年1941年11月にはRAF向けのMustang Mk.1が2機、英国に到着しています。この時米陸軍の関心はP-38とP-47にしか向いていませんでした。もし英国調達委員会がNA-73を発注していなければムスタングは誕生していなかったかもしれません。そうなっていたら第二次大戦の結果も変わっていたことでしょう。
|
USAAF P-51B “Mustang” Academy(1/72)

製作
アカデミーのキットは最初に書きましたように、デカールでB型1種とC型2種とが選択できるようになっています。またC型でも垂直尾翼のフィンの有無の2種が選択でき、尾翼のパーツが2種類入っているという親切さです。リベットも適度に打たれており、1/72では十分です。またキャノピーも開閉状態の2種類のパーツが入っています。今回の作品はキット付属のデカールを使用し、1944年にイタリアに配置されていた米陸軍航空隊第15空軍、第52戦闘群、第5戦闘飛行隊所属機に仕上げています。
|
まずはコクピットから始めます。コクピットは床とパイロット後方の構造物とが一体になったパーツ、主計器盤、操縦桿、座席から成っています。また胴体左右パーツにはコクピット側面の機器が彫刻されています。内部はインテリアグリーンで、主計器盤は艶消しの黒で塗装し、機器や計器、配線を黒や銀の塗料で塗って、適度にドライブラシやウォッシングをしています。(写真1)がコクピットの床、(写真2)が主計器盤、(写真3、4)が左右の側壁、(写真5)が座席です。
|
(写真1) コクピットの床

|
|
(写真2) 主計器盤
 |
(写真3) コクピット内左側壁

|
|
(写真4) コクピット内右側壁
 |
また座席には紙製のシートベルトを塗装して取り付けました。(写真5) この紙製のシートベルトは結構使い勝手がいいものです。少し前になりますが、静岡ホビーショーで有限会社 ”和巧”というメーカが出品していたのを目にして、日米英独機の1/72と1/48用のものを購入しました。手持ちが少なくなり、ネットで探してみると下記のサイトで購入できることがわかりました。本題からは外れますが、参考までに紹介しておきます。 航空機 - 紙創りネットショップ
|
(写真5) 座席

|
そしてコクピットを組み立てた状態が(写真6)です。
|
(写真6) 組みあがったコクピット

|
コクピットが完成すれば、これを組み込んで左右胴体パーツを一体化します。このとき尾部のパーツも一緒に組み立てました。段差ができないように注意して接着します。こうして胴体を組み立てた状態が(写真7)です。(写真8)が組み立て後に外から見たコクピットです。
|
(写真7) 組みあがった胴体

(写真8) 胴体に収まったコクピット

そして接着後接合面を整えます。その後主翼と尾翼を取り付けます。小さな機体ですので、塗装はすべて組み立ててから行いました。(写真9)が主翼と水平尾翼を取り付けた状態です。エンジンの排気管部分がへこんだ状態になっていますが、このキットは組み立て後に排気管を取り付けられるのでモデラーにとっては助かります。これで機体の組み立ては完了です。
|
(写真9) 主翼と水平尾翼を取り付けた状態

接合部の段差を修正し、最後に#1200の紙やすりで全体を磨きました。その後全体を銀塗装(Mr.Colorの8番)します。そして少しアクセントをつけるためにいくつかのパネルをマスキングしてトーンの異なる銀塗料を吹付ましたが、写真ではあまり見分けがつきません。その後主翼端と尾部を黄色で、そして主翼の黒のストライプをセミグロスのブラックで塗りました。このストライプはデカールが付いていましたが、塗装に変更しています。最後に機首先端を赤で、機首上面のアンチグレア塗装をオリーブドラブで、また下面の主脚収納部をインテリアグリーンで塗りました。(写真10)が塗装後の機体上面、(写真11)が塗装後の機体下面です。 |
(写真10) 塗装後の胴体上面

(写真11) 塗装後の胴体下面

細かなステンシルはなく、膜厚も厚くなかったのでデカール貼りは比較的容易でした。(写真12)がデカールを貼り終えた状態の機体、(写真13)がプロペラです。
|
(写真12) デカールを貼り終えた機体

(写真13) プロペラ

部品を機体に取り付ける前にデカールの保護も兼ね全体に半艶のクリアーを吹き付け、パネルラインや動翼の隙間に軽く墨入れをしました。そして乾燥後、個別に塗装しておいた、主脚、風防、開状態のキャノピーなどを取り付け、プロペラには赤く塗ったスピナーを取り付け機首に装着しました。最後に翼下にロケットランチャーと増槽を取り付け完成です。
(写真14~19)が完成したP-51Bムスタングです
|
(写真14) 完成したP-51B “Mustang”

(写真15) 完成したP-51B “Mustang”

(写真16) 完成したP-51B “Mustang”

(写真17) 完成したP-51B “Mustang”

(写真18) 完成したP-51B “Mustang”

(写真19) 完成したP-51B “Mustang”

やはりムスタングは精悍ですね。小さなキットですが見て楽しめます。
|
|
Home>North American P-51B “Mustang” 製作記 (Academy 1/72)>特集 世界の名機コレクションシリーズ No4
ノースアメリカンP-51ムスタング>2025年2月号 |