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特集 定番シリーズ ハセガワA帯

97式3号艦上攻撃機 (ハセガワ 1/72 A7)

  by 加藤 寛之



 ハセガワの97式艦上攻撃機の金型はマニア社が昭和48年ころに開発したもの。同社が営業をやめた後に、昭和52年ころにハセガワから一部改良のうえで再発売されたのが現製品。マニア社が開発した当時はWWⅡの日本機が少なかった時代で、発売時には優秀な製品として評価は高かった。評価も高いが値段も高くて、私も欲しかったが普通の気持ちでは買えなかった記憶がある。1年半ほど遅れて発売された機首換えの1号は3号との2機セット販売のみだったはずで、ますます買えなかった。
現在、3号はハセガワA帯の廉価製品となって流通している。同スケールはエアフィックスからも発売されて、これは20年ちょっと前に発売されたハセガワ48スケールを縮めたかのようなつくりで、さらに現代的に濃厚な表面モールドを施したキットである(本Web誌2021年12月号参照)。だが、ハセガワのキットには入手しやすさや低価格というプラモデルの重要条件を満たしており、しかも非常に優れたキットなのだから、今日でも充分に存在価値がある。個人の好みではあるが、私はハセガワのキットでいい。

あらためてA帯特集にあわせて作ってみた。ほぼキットのままで、特別な工作はしていない。開封から3~4日で完成した。もとがマニア社の金型なので、ハセガワが開発したA帯キットよりも部品点数は多めだが、それでも現代的な同クラス製品よりははるかに少ない。金型精度はいまひとつレベルとはいえ、組み立ては易しい。一方、プロペラや主翼形態へのこだわりは相当なもの。動翼類に凹凸の窪みモールドはなく、リブを線状に表現して実機のような平滑感を再現している。全体に姿は流麗で、いかにも日本機のイメージ。実感ってこれだよね、と主張しているようだ。現代のキットとは魅せる場所が違うのだ。



コックピット周り、特に床板は意外なほどしっかりと胴体内におさまる。念のため、見えない場所へ接着剤を流し込み、胴体の太さを固定する。胴体側面と下面にある窓パーツはすき間だらけだが、厚み部分を黒っぽく塗っておけば、それも目立たない。
1号とのパーツ換えのために胴体前部は別パーツ。精度は最新キットに及ばないものの、サンドペーパーで軽く擦る程度で均せる。
エンジン内にいれるプロペラ接着用の軸はオソマツだから、事前に整形と長さ調整をしておくこと。クルクル回して遊ぶ必要がないならば、接着してしまえば簡単。
脚カバーは金型に難があってクチャクチャしている。実機は三角部分と折れ曲がり位置が異なっているので、パーツ整形が難しい。私は「こんな小さなパーツはどうでもイイや」でテキトウに整形した。それでも、何がどうテキトウなのかが瞬時に分かる人は少ないと思う。
主脚は、前傾なく真っ直ぐに下がるイメージで接着する。
風防パーツは胴体とやや合いにくい。軽く押さえれば接着できる範囲だが、キットの説明書にあるように後席部分を切除して開放状態にするのも一方法。細かいことをいえば、その際に窓ワクをどうするのかが課題だが、「72だから、まあイイや」が正解だと思う。
今回は排気管の出し方を変更してみたが、これは後述する。 



 キットは3種の塗装から選べる。今回は淵田機にしてみた。淵田機の塗装考証だって、旧版№74(昭和51年)「世界の傑作機」と、新版№32(平成4年)「世界の傑作機」、さらにハセガワのキット指定で、バラバラ。検討(?)の結果、自分の好きなように塗りましょう、で決着。キット指定が基本で、上側面は銀地に緑を散らし、下面は灰色にした。脚庫の窪みは下面色に、カウリング周辺は黒すぎないようにネービーブルー。機首は曲線的な塗り分けだが、これは操縦者から見てナナメにまっすぐで、両端だけ曲線でカッコよくしたようだ。そうは思ったが、模型的に感じがいい線で塗り分けた。細部は、これでイイか、こうだとイイな、でテキトウに塗っておいた。あとはデカールを貼って、完成。
思うことはあるが、充分な出来上がり。ほぼキットのままでこれだから嬉しい。

  私はまた迷いました 排気管はどこにある?
それは97式艦攻の排気管は、左右で同じ位置にあるのか、左右でズレているのかということ。ハセガワ48を発売時に作った記憶では、排気管の位置が左右対称でなくて驚いたように思う。排気管のズレは『航空ファン』1956年4月号付録図面でもみられるから、結構古くからある話題ではあるのだが。
 今回、ハセガワ72で実験してみるまでは、「左右でズレている」でOKと思っていた。正直に言います、私はまた迷ってしまった。
左右にある排気管の位置をうまく比較できる写真は少ないのだが、新版№32(平成4年)「世界の傑作機」のp.48-49の写真とp.61下の写真と、カウルフラップの開閉状態が違うものの、カウリングから出てくる位置は同じではないか。でも、出ている向きや長さは違うように見える。これが左右でズレてみえる原因かもしれない。
今回、再確認しようと思い、左は長めでやや下向きに、右はカウルフラップ1枚分上にあげて短めにやや横向きに取り付けてみた。結果は、左右で別にみると「これでイイんじゃないかな」と思えるのだが、両方が見える位置からみるとズレすぎだった。
次につくる機会があれば、排気管が出る位置をやや上に移したうえで、左右同じ位置から出る向きと長さだけを左右で変えてみようかと思う。決定的な資料を見たらそれで終了の話題なのだが、まあ、そんな迷いがプラモデルの面白いところではある。そして私は迷い続けている。


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