Home  > M4A1シャーマン カリオペ (モノグラム 1/32)> AFVプラモデル製作>2025年2月号


M4A1シャーマン カリオペ (モノグラム 1/32)

  by Takafumi



  久しぶりに投稿させていただきます。昨年の2月号に投稿した「パンターG 後期型」以来です。
 本項で取り上げるモノグラム製のM4A1シャーマンは、「カリオペ」と呼ばれたロケットランチャーを装備した仕様が作れるように構成されています。モノグラムがなくなった後、レベルから発売されたことがありますが、現在は生産休止中みたいです。キットが最初に発売されたのは、調べてみたら50年ほど前です。現代の精密に再現されたキットと違い、省略されている箇所がいくつかあります。私自身はシャーマン戦車に大した見識はありませんが、私見として、プロポーションが好印象です。



  キットはシャーシの部品が同社製品のM3リー、M3グラント、M4シャーマンと共通らしく、いわゆるシリーズ商品の内の一つです。シリーズ共通の部品はリベット接合の車体下部、旧式の垂直懸架サスペンション、「ペッパーポット」と呼ばれているタイプの排気管(実車の排気管と比べると細部が省略されています)などです。これらの特徴に適合するということで、M4A1のなかでも初期に生産された、車体前面に乗員用の直視バイザーを装備したタイプが製品化されたと推測できます。
 砲塔は、装填手用ハッチが未装備で、後部上面の傾斜が急になっている初期に生産されたタイプが再現されています。しかし、主砲の防楯は、M4A1初期型生産時にまだ標準装備ではない、幅が広いM34A1型防楯が再現されています。車体と砲塔は別物と割り切り、製作を進めました。後述しますが幅が広い防楯の部品が付属するのには理由があることを、製作を進めるうちに知ることとなりました。
 ロケットランチャーの部品はこのキットの目玉ともいえるので装備させました。車体前面に直視バイザーがあるM4A1初期型に、カリオペ ロケットランチャーを装備している個体を確認できませんでしたが、「シャーマン戦車は何でもあり」という私の勝手なイメージ(真面目にシャーマン戦車の研究をしている方々が聞いたら怒りそうですね)から、いつにも増して考証がなおざりになってしまいました。



   先述したように、車体と砲塔は別々にリサーチして製作しました。
 戦時中に撮影されたM4A1 初期型の写真の内、リベット接合のシャーシで、サスペンションと排気管が先述したタイプを装備していた車輌を探し、参考にしました。
 資料写真を参考に、車体上部後端付近にモールドされていた通気口を削り落とし、その跡をプラ板で作った小判型の板で塞ぎ、板の真ん中にウェーブの「R・リベット 角」から作った六角ボルトを接着しました。キットの通気口は良い感じの形状だったので、考証にこだわらず残すべきだったと、この製作記を書きながら後悔しています。
 尾灯にモールドされているライトガードを削り落とし、尾灯後端から伸びているパイプを細いプラ丸棒材で再現しました。
 車外装備品の取り付け位置は、資料写真を参考にしました。一部を組み立て説明書の指定と違う場所に着けています。また、装着しなかったものもあります。
 本誌2022年7月号に掲載された同社の製品である「M3 グラント」の製作記でも触れましたが、履帯の両端にあるエンドコネクターの位置が間違っています。本作はそのまま使いました。また、履帯には塗装する前にタミヤのナイロン・PP用プライマーを塗りました。



   砲塔とロケットランチャーについて記します。
 ロケット砲の部品は、砲身がブロック毎に束ねられて群になった形で再現されています。砲身群の部品は肉厚で、上下に分割されています。また、砲身群の部品には、砲身が収まるフレームも併せてモールドされています。
 上下に分割されたロケット砲身の部品同士を接着した際、合わせ目にすき間が生じます。合わせ目のすき間は瞬間接着剤で埋めました。ボール紙の切れ端などに接着剤をたらし、虫ピンの先に点け、すき間に接着剤を盛り付けるように塗布しました。ゼリー状のものを使った方がおそらく作業が楽でしたね。瞬間接着剤が硬化した後、金属ヤスリや紙ヤスリで削って成形しました。また、ロケット砲の砲身前端と後端の内側を削りこみ、縁を薄くしました。ロケットランチャーの部品は実物と比べると省略された部分があり、プラ板やプラ帯材などで一部を作り直しました。
 ロケットランチャーから車内に引き込まれているケーブルは、細い銅線で再現しました。ケーブルの配線は資料を参考にしつつ、一部推測しています。ケーブルが、砲塔にある装填手用ペリスコープを装着する開口部に引き込まれている状態を再現すべく、手を加えました。キットの開口部はペリスコープが挿入されていない、蓋が閉じた状態でモールドされているため、その部分を開口しました。開口する時に削り落とした蓋をプラ板で新たに作り、蓋が開いている状態に作り直しました。
 ロケットランチャーは完成すると重く、そのまま砲塔に接着して大丈夫か危惧しましたが、案の定、接着してしばらく後、砲塔側面に差し込んだ取り付け用のダボ軸の片方が折れました。一旦、ロケットランチャーを砲塔から剥がし、折れた軸の断面にピンバイスで穴を空け、金属線でつなぎ合わせ、エポキシ系接着剤で固定しました。折れてない方の軸にも金属線を埋め込み、補強しました。エポキシ系接着剤が硬化後、再度砲塔に接着しました。
 主砲防楯の裏側と、砲塔側にある防楯に接する面、双方の所々に小さい突起があります。砲身を上下に動かす際に突起同士がぶつかりスムーズに動かせませんが、突起同士が噛み合ってストッパーの役割をするので、砲身を仰角にしても、連動するロケットランチャーの重さに負けて伏角になることはありません。キットに付属する防楯の部品が初期型車体にそぐわない幅が広い仕様なのは、ストッパーを設けるためだったみたいです。
 アンテナをロケットランチャーの邪魔にならない砲塔脇に立てるための、棒状のサポートの部品が付属しますが、使用していません。部品の形状が実物に似てないのと、装備していなかった車輌も存在していたのを確認できたからです。 



 塗装は、まず国籍マークを表示する砲塔両側面につや消しの白を吹き付けました。吹き付けた白が乾燥した後、国籍マークを表示する部分に星型のシールを貼り、全体にオリーブドラブを吹き付けました。オリーブドラブは手元にあったMr.カラーとガイアカラーを混色して作りました。市販されているオリーブドラブが不満なのではなく、手元にグリーン系やブラウン系、カーキなどの塗料が中途半端な量で余っていたので、この機会にそれらを混ぜて使用した次第です。オリーブドラブが乾燥した後、砲塔両側面に貼った星型のシールを剥がすと国籍マークが現れます。
 ウェザリングは主にエナメル塗料と粉状にしたパステルを使い、車体と砲塔に重点的に施しました。
 対して、ロケットランチャーは増設した装備であることを強調したかったので、ウェザリングは控えめにしました。

 戦車兵はキットに付属しているものに少し手を加えました。
 右手にM1カービンを持っていますが削り落とし、トンプソンサブマシンガンを持たせました。トンプソンは、縮尺が同じ1/32であるエアフィックスのマルチポーズフィギュア「イギリス第8軍」付属のものです。トンプソンに付いているスリングはワインのビンの口に巻きついている薄い金属板で作りました。トンプソンを持つ右手は手元にある人形の部品のなかから、キットに付属する戦車兵の左手と同じ程度の大きさのものを選んで着けました。


  Home>M4A1シャーマン カリオペ (モノグラム 1/32)> AFVプラモデル製作>2025年2月号

Vol.198 2025 February.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
 editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作記事

2月号 TOTAL PAGE view