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特集 グラマン猫一族

 Grumman F9F-8T Cougar (Kitty Hawk 1/48)

by 翔バナイカイ 大山 盛幹



 Grumman F9F-6~F9F-8 Cougarは、直線翼の艦上戦闘機としてGrumman社が開発し、朝鮮戦争で活躍したGrumman F9F Pantherを後退翼とした機体です。Pantherと比べ総合的に性能が向上したことから、F3Hと共に1960年代のアメリカ海軍航空部隊における戦力となりました。その中でも、F9F-8 CougarはPantherから続くF9Fシリーズの集大成ともいえる機体で、前形式のF9F-7 Cougarからエンジンの換装、胴体の43.2㎝の延長、主翼は前縁自動スラットを廃止してキャンバの設置、後縁は翼弦長を15%増加させると同時に翼内タンクを増積し、速度、航続性能を向上させています。
 Grumman F9F-8T Cougarは、戦闘機型のF9F-8 Cougarの前部胴体を86㎝延長して複座とした練習機型で、1956年4月に初飛行、1959年12月に生産が停止されるまで399機が生産されています(生産機数は、400機あるいは401機とした資料もあります)。ベースとなった戦闘機型から、4門から2門に減ったものの20mm機関砲が残され、対空、対地の武装が可能で実戦にも使用することができました。このため、1960年代初めに戦闘機型が退役した後も、ベトナム戦争で、1965年から1967年頃までFAC(前線航空管制任務)機として使われていました。なお、1962年にアメリカ陸海空軍機の機種記号が統一され、F9FはF9になったため、 F9F-8Tは TF-9Jと改称されています。



 1/48のGrumman F9F-8T Cougarのキットとしては、レジンキットのCollect-Aire Modelsに続くもので、初めてのインジェクション・キットとしてKitty Hawk から2014年に発売されました。2015年にはバリエーションとしてF9F-8 & F9F-8P "Cougarが発売されていました。今ではメーカーが廃業してしまいましたので、いずれのキットの入手は難しいと思われます。箱を開けた際の印象は、単調ではあるもののきれいなスジボリで、シートベルト、バックミラー等のエッチングパーツがセットされていて最近のキットだと感じます。
 さて、組み立てのポイントは次の通りです。

  ① 2種類の座席パーツが入っていますが、パーツ№D14(A7)、D15(A6)、D15(A6)、D25(A16)の
座席パーツを使用します。Naval Fighters №68「Grumman F9F -8T/TF-9J Two-Seat Cougars
(1998年)」に写真、イラストが掲載されています。また、後部シートはキットのままではやや潜った
ようになりますので、2.0mm程度嵩上げして取り付けます。



  ② 後部胴体パーツは、下面(パーツ№E22)、左右の上面(パーツ№B3、B4)、中央部(パーツ№A32)の
4パーツからなっており、下面に左右の上面パーツを接着、さらにその上に中央部を接着するように
なっています。しかしながら、下面と左右の上面パーツ、胴体側の主翼折りたたみ部のパーツ(パーツ№E23、E24)との接着だけでは全く強度不足のため、左右の上面(パーツ№B3、B4)内側にランナーを
利用した支柱を立ててあります。



  ③ 主翼は折りたたみ状態ができるようにパーツ分割されていましたが、展張状態にするにはパーツ
強度が不足で、きちんとした展張状態にするのは難しいと考えられましたので、折りたたんだ状態に
しました。しかし、少し開き気味に折りたたむのが、垂直に近い状態になってしまっています。Naval
Fighters №68「Grumman F9F -8T/TF-9J Two-Seat Cougars (1998年)」では、翼を展張した状態と
折りたたんだ状態との角度は80度とのことでした。



  ④ 胴体側の主翼折りたたみ部のパーツ(パーツ№E23、E24)の丸いモールドは、実機では開口していますので、モールドにそって開口しました。



  ⑤ 水平尾翼の取り付け穴に Hasegawa 1/48 F-8Eキットのポリキャップを埋め込み、水平尾翼を差し込み式にしました。

  ⑥ 左側の機首パーツ(パーツ№A1)には、ステップのモールドがありませんので、3か所に四角くスジボリを行いました。塗装図には左右にステップがあるように描かれていますが、Naval Fighters №68「Grumman F9F -8T/TF-9J Two-Seat Cougars (1998年)」によるとステップがあるのは左側だけです。

  ⑦ キットの主脚収納庫は左右が一体になっていますが、実機主脚収納庫の中央に仕切りがあります。
主脚収納庫扉を開状態にする場合には、この部分を自作する必要があります。駐機状態では主脚収納庫
扉は閉じられていますので、今回は閉状態としました。

 ⑧ 主脚のブレーキコードは、左右に各2本あります。

 ⑨ 練習機としましたので、増槽、ミサイルは取り付けていません。



  ⑩ 胴体上面のコリジョンライトはレトロフイットされたもので、初期の機体にはついていませんので
製作する機体によっては注意が必要です。



  ⑪ 今回使用したVT-10所属機用の付属デカールには誤りがあり、「NAVY」の直下の「VT-10」の文字が「N」の下の左の端からとなっていますが、正しくは「NAVY」の文字の中央にあります。このため、「NAVY」と「VT-10」は一連のデカールになっていますので切り離して使用しています。

  ⑫ VT-10所属機の塗装図にも誤りがあって、機首、主翼端及び垂直尾翼はRedが指定されていますが、正しくはInternational Orengeです。



  マーキングは、アメリカ海軍第10練習飛行隊(VT-10)「Wildcats」所属機で、全面がGloss Insignia white(FS17875) 、と機首、主翼端及び垂直尾翼がInternational Orenge(FS12197)という練習機塗装です。アンチグレア、ウォークウェイはFlat Black、主翼、水平尾翼、垂直尾翼前縁はSilverです。Gloss Insignia white はMrカラー316番、International OrengeはFinisher’sのルミレッドを使用しました。
資料としては、和書では、新版世界の傑作機№10「グラマンF9Fパンサー/クーガー(1988年)」、同№161「グラマンF9Fパンサー/クーガー(2014年)」、航空情報臨時増刊「世界のジェット戦闘機アメリカ・日本及び諸国編(1968年)」、航空情報別冊「練習機の世界(1981年)」、航空ジャーナル臨時増刊「グラマン戦闘機(1976年)」、洋書ではReplica in Scale「Vol.3 №3(1976年)」、旧版in detail & scale vol.16「F9F Cougar (1983年)」、新版in detail & scale vol.2「F9F Cougar (2019年)」、colors & marking series vol.2「F9F Cougar (2020年)」、Naval Fighters №68「Grumman F9F -8T/TF-9J Two-Seat Cougars (1998年)」、を参考にしました。Replica in Scale「Vol.3 №3(1976年)」はモノクロながら16頁に亘っての95機の側面塗装図が圧巻です。Naval Fighters №68 Grumman F9F -8T/TF-9J Two-Seat Cougars (1998年)は複座のCougarに特化しており、カラー写真は表紙、裏表紙のみで他はすべてモノクロ写真ですが、アメリカ海軍、海兵隊のCougar運用飛行隊の写真が網羅されていると思われ、マニュアルからと思われるイラストや写真もあり、一番役に立ちました。



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