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Fw190 F-8 タンクバスター (ハセガワ旧版 1/32)

  by 加藤 寛之



 ハセガワ旧版の1/32フォッケに、武装パーツを新たに追加した特別バージョン。つい最近に友人から譲っていただいたモノなのだが、こんな製品があったとは知らなかった。組み図をみると2001年8月の商品らしいから、もう20年以上前の商品になる。膨らんだタイプのキャノピーも入っているので、出来上がった印象は元のキットとはだいぶ雰囲気が変わってくるはず。
 その本体は1970年の発売。ハセガワ1/32シリーズの第1弾作品で、充分な意欲作といえる。エンジン、コックピットは当時の水準を越える造りこみをし、外観ではレベルの3つの名キットに対抗するように全面を凸リベットと凸パネルライで覆っている。一方、当時ゆえに各パーツの精度は充分でなく、翼断面形といったところは拙い。目に付く脚柱やタイヤ周りでさえも、今日の72スケールキットに及ばないかも。しかも第1弾作品だからだろうか、強度や組みやすさ、事後変形への予防的配慮といったプラモデルとしての要素も充分でない。あらゆる意味で、時代感がある。



 組み順は、コックピットから。現在の目でみると簡易そのもので、お人形さんを乗せないと僅かに5パーツ。ドイツ機は黒っぽく塗っておけばOKなので、気楽。それよりも、コックピットの前隔壁を台座として全13パーツのエンジン周りを組みこまないとプロペラが取り付けられないのが厳しい。接着面を整えながら組み進めたが、最初は強制冷却ファンが中心からずれてしまった。組みなおして整えたが、かなり面倒だった。実機の排気管は側面からは見えないのが本当だが、今回は承知で1mmくらい外に出して見えるようにした。ゴツさ強調の小さなイタズラだ。
 胴体は、コックピットパーツの裏側からランナー片を使って幅をガッチリと固めた。これは主翼パーツの上反角が弱めなためで、上反角をつけて接着するときに胴体が弱いと広がってしまうからだ。その主翼だが、下面パーツで脚庫をつないでいる壁を切り離し、さらに内側中央に溝を入れて上反角をつけやすくした。
 主翼パーツは変形してひどく垂れ下がっていた。内面に厚いプラ板を貼って矯正しても負けてしまい、垂れ下がりが残った。そこで、下面前縁から中ほどまでの切れ込みをノコで右翼1本・左翼2本入れてプラ板を挟んで矯正し、まあOKか、くらいに直した。さらに、前縁の厚みが歪んでいたので上下から削って改善。ほか、いろいろやって、何とか見られるようにした。それでも、付け根から翼端への翼厚の減少が不自然なのはガマン。最後の手段は塗装で、前縁が真っ直ぐに見えるように塗ってみた。捻り下げ?そんなの、ムリ。
 この主翼を胴体に接着するのだが、上面フィレット部分に大きな隙間ある。そこで薄いプラ板を接着して大雑把に隙間を埋め、なるべく望ましい上反角で接着した。それでも不自然な厚み変化や僅かに残った垂れ下がりで、上反角不足に見える。・・・もう、イイや。
 エンジンカウリングは、上部を外してエンジンを観られる構造だが、私はもちろん固定。キットはちょっと上に膨らんでいるので、ガリガリと削って改善。その後方の機銃カバーのパーツは、形が異様だとは思うがそのまま使った。ある種の個性だし、この形でないとハセガワ旧版らしくない。
 主脚、尾輪は共に付け根を加工して、塗装後に取り付けできるようにした。プロペラはちょっと削って、カッコよく見えるようにした。
それ以外は、キットパーツを調整しながら組んだ。私としては、キットが目指した形に向けて素直に組んだ、といえる範囲だが、どんなものだろうか。



  塗装は、さすがに現代的な色指定だった。元キットの発売当時は、上面がダークグリーンとブラックグリーンで、もしかしたら明るい色はRLM02かも知れない・・・くらいの時代だった。この旧い考証で塗ると時代感があるが、今回はキット指定の現代的な色で塗った。塗料は、プラ色の下地がかすかに感じられる程度に薄く塗り、その後に2000番のサンドペーパーで軽く擦って凸モールドを強調した。デカールは劣化が始まっていたので一部は塗装で補正し、小さな文字はチョボチョボ描きで代替した。
 完成。旧版らしいゴツさが面白い。似ているとか似ていないとか関係なく、存在感がある。でも、次に32フォッケを作るときは、新金型版で作ってみるだろうな。


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