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T-2 (ハセガワ 1/72)
by
加藤 寛之
フジミの1/48 T-2を作ったらハセガワの1/72キットが気になって購入した。スケールは異なるが同時代の製品なので、「こっちはどんな工夫をしているのかな」と思ったからだ。フジミで作ったT-2のことをいろいろ覚えているうちに、ハセガワ1/72のT-2を開封した。
新発売時の記事でハセガワ1/72のキット評を確かめると、『航空ファン』1979年2月号にあった。F-1と同時紹介で、「細部まで忠実に再現されている」「良い点をあげてゆけばキリがない」「各部のはめ合わせも近頃のキットにないほどピタリと決まる」と絶賛。「難をいえば、コクピット内部が簡単すぎるような感じがする」「デカールには主翼上のウォークウェイ指示線がないので、書きこむ必要がある」の指摘程度。私が今回のキットを購入したのは2024年の終りで、これにはウォークウェイ指示線があった。キットは最近に製造されたものだが組み図をみると「1985.8」とあるので、新発売から数年後にはデカールの改善をしたのだろう。
さすがに発売から45年くらい経過しており、キットに多少のバリと傷みがある。長年のご奉公を考えれば当然で、これを欠点といったらバチがあたる。軽く削ったり薄くパテを塗って均したりする程度で済むから、普通に組み進めればよい。
キットはF-1との共用だからT-2特別仕様機のように作ってあり、一般的な形にするには主翼端や垂直尾翼端などを切除する必要がある。切り取ればよいのだし、T-2特別仕様機も作れるのだから良い工夫だ(子供はミサイルが付いた方が嬉しい)。キットは一体化と簡易化を大切にした時代の製品だから、小さな吸排気口などの造形は簡単に済ませている。これは当時のプラモデルの一般的な考え方だ。当然のように、前期・後期の細部相違にもこだわっていない。細部は、気になる人が自分で加工する時代だったのだ。私なんて今でも、プラモデルはそれで充分だと思っている。
作るにあたって、主翼の前縁フラップを一旦切り離し、駐機状態らしく少し下向きになるように加工して再接着した。1枚翼なので切り離しは簡単で、再接着は上面重視で済ませた。
下面側にあるパイロンの取付け穴は埋めた。T-2は何も搭載しないのが似合っている。
駐機状態の場合、前縁フラップが下がるだけでなく、大きな脚カバー類も閉じられるのだが、パーツは開状態を想定して内側も造形してあり、発売時の作例をみると開状態にしてある。入手した製品になると閉状態で組む指示になっていたが、パーツは閉状態に取付けると面が合わず、接着の工夫も不十分だった。ま、下面側のことなので、これでイイか、くらいの整形でOKとした。
開閉選択式の4分割風防パーツは、うまく収まらなかった。私は後ろから組み進めたが、前端が入らなくなって、少し削って収めた。発売時の作例は、前席を開状態にして回避してあった。今回のキットの組み図にある写真は、閉状態に組んできれいに収まっているから、ちょっと削ったんじゃないかなぁ・・・。要するに、中央の固定部分を先に接着して整形を済ませ、前後席ともに開状態にするのが手軽そうだ。その際、細かなことをいえば前後席の仕切り風防を設置するとホンモノっぽいが、まあイイか。
主脚は適切な省略と一体化で組みやすく、かつしっかりと取り付けられた。タイヤとホイールは、塗りやすい段差がつけてあり、これも嬉しかった。
塗装は特別仕様機を含めて3種から選べる。塗装嫌いの私は、いつものように最も簡便なものを選んでいる。デカールは主要なものに限ってあり、微細なものはない。楽でいいし、雑誌写真でみる程度のスッキリさに収まるので、これもいい。主翼上面の黒線と後胴の赤線はやや太いと思ったが、おかげで貼りやすい。これも作る人への配慮なのかと分かり、感心した。キット開封から数日で完成した。
この製品は初めて作ったのだが、皆がプラモデルをどんどん作っていた時代らしい配慮が随所にある。そして、この時代のキットとして充分な製品だという気持ちと、現代的なキットを求める人の気持ちも、共に理解できた。キット選択は好みですね、ってところか。
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