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RA-5C ビジランティ (ハセガワ 1/72)

  by 加藤 寛之

 ビジランティは、その後の軍用機デザインに大きな影響を与えた名機だ。構想初期には双垂直尾翼も考えたそうで、いま見ても形に古さを感じない。でも実機が偵察機になってしまったためか、プラモデルとしては種類が少ないように思う。



 ハセガワ1/72ビジランティの発売は1968年秋ころ。『航空ファン』1968年11月号のハセガワ広告に「好評発売中」とあって、同号「プラモ診断室」にペンネーム橋 機一(橋本喜久男氏)の名前で製作記事が載っている。「ハセガワの1/72シリーズ中で最も正確なプロポーションで、ほとんど欠点のない仕上がり」と評している。一方で「胴体や翼の接合部のほとんどに段と隙間ができ、結合パーツの誤算によるくい違いも相当にあるようだ」とも書いている。今回に作ってみた印象もその通りで、私が最近に作った飛行機プラモのなかで、削りとパテ使用量はトップクラスだった。その原因の一つはパーツ分割にあって、だれがどう考えても胴体背部と主翼上面を一体にすればきれいに出来るのに、これが一般的な胴体左右分割と主翼差込みになっている。金型費用やシリーズ箱共通化の問題があったのだろうか。それでも新発売時の価格は350円と、ビゲンの250円やブロンコの200円に比べ格段に高額である。低価格の重要性は昨今のプラモ新製品でイヤというほど分かるから、価格を抑えるためならば賢明な選択だったのかもしれない。新発売当時は白色成形で、記事に「このビジランティの白色はそのまま利用できてありがたい」とある。橋本喜久男氏でさえも、プラモ成形色の活用を普通にとらえていたとわかり、これも興味深い。



 この時代のキットなので、細かいパーツはない。だが前述のようにパーツ間の不整合はかなりあり、面の繋がりが美しい飛行機だけに大きなパーツ間の段差調整や面を整える作業に多くの時間を費やした。
 コックピットはほとんど見えないので、テキト~に終わらせる。後席は省略。後席用の小さな窓は、胴体と窓パーツ共に厚み部分を薄く黒で塗り、厚み感をごまかした。胴体左右の合わせでは背部~後部に注力したが、限界を感じた。尾部パーツもそれほど合っていないのだが、どうでもよい場所なので、ガリガリ削って整えるだけで済ませた。胴体背部と主翼のつながり整形は、隙間と段差調整では解消できないズレがあったので削って整えたが、まあイイや程度でOKとした。エアインテークと胴体側面の不整合も相当なモノ。ガリガリと削り、ここもまあイイやで済ませた。
実機が平面的な構成なので、金型のつなぎ目や周辺の小さな歪みは僅かでも、ごまかすためには大面積を削ることになる。結果、表面のモールドはかなり消えてしまった。幸いに細い凸線なので、カッターの刃でそれらしく線を引いて代替した。
 水平尾翼と着艦フックが可動だが、これは固定した。
 脚の取り付けは堅牢。細かいことをいえば主脚の取り付けを「ハ」の字にしたいが、主翼に隠れて見えないし、丈夫がなによりなので、キットの真っ直ぐなままに接着した。



 塗装はビジランティの基本を守ったうえで、架空塗装。理由は簡単で、デカールが使えそうで使えなかったから。見たところ変色の少なく割れもなかったのだが、お湯に入れても全く剥がれなかった。製造から長年を経過したのだから、ハセガワに罪はない。諦めて、そのあたりに余っていたデカールを貼って、それっぽくした。「イイカゲンすぎる、酷いな」と思われる方もあろう(これが普通か)が、私は完成すれば合格なのだ。完成して3日もすれば次に作るキットに関心が移ってしまうから、テキト~でかまわない。
凸線モールドは、塗装後に表面を2000番のサンドペーパーで頂部を軽く削ってプラの地色を露出させ、凹モールドの墨入れ風にした。この擦りキズは、最後に光沢スプレーをプ~~~とかけると消える。

 これで完成。エンジンを後方に搭載したためのバランスで前へ長く伸びた機首、軽く曲げた首筋、こう設計するのさと言いたげな四角いエアインテーク、クリップドデルタ風の大面積主翼、白く塗った高い垂直尾翼、どこを観てもカッコいい。
 同時代のキットであるコルセアⅡやイントルーダーはいまも継続販売しており入手しやすいのだが、ビジランティはしばらく市場に出ていない。妥当な価格(これが重要)で、ハセガワがビジランティを再販売する日はくるのだろうか。大人でも泣きたいくらいに作るのがタイヘンだとしても、「限定再生産」とか言われたら買ってしまいそうだ。ビジランティはカッコいいから(成形色は白がいいな)。


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