Home  >  North American F-86F “Sabre” 製作記 (Hasegawa 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2025年5月号


 North American F-86F “Sabre” 製作記
(Hasegawa 1/72)

by Kiyoshi Iwama(ひやめし会)


North American Rockwell F-86F “Sabre” (1/72) Hasegawa Box Artより

 長らくストック棚に埋もれていた古のキット、長谷川製作所(現在のハセガワ)のF-86F”Sabre”(1/72) が漸く陽の目を見ました。1960年代、まだ日本のプラモが黎明期にある頃、当時としては新興メーカであった長谷川製作所が1/72シリーズとして発売を開始した、そのシリーズ5作目に当たるキットです。現在のレベルから見ると敬遠したくなるかもしれませんが、当時としては貴重なキットでした。価格が100円というのも、子供が手の届く価格だったように思います。



  そんなキットを作ることにしたのは、本誌でも何度か取り上げられたこともあり、記事を読んで挑戦意欲が湧いたからかもしれません。しかしどのように作ればいいのか、もう一度考えることになりました。そして次のように進めることにしたのです。

 ①太くて出っ張ったパネルラインやリベットは極力削り落とし、軽くスジボリを入れる。
 ②機銃口のあるパネルを平滑にする。
 ③機首の、形状を可能な範囲で修正する。またインテイクから排気口迄筒抜けなので修正する。
 ④キャノピーと胴体の接続部を修正する。
 ⑤キットには脚収納部が無いので、脚注取付穴を埋め、飛行姿勢で完成させる。
 ⑥コクピットはキットのまま使用するが計器盤だけを付ける。
 ⑦飛行姿勢にするのでパイロットに防眩バイザーを取り付ける。
 ⑧エアーブレーキは収納状態とし、隙間を埋める。
 ⑨主翼下面の貼り合わせ部の隙間は見えないので修正しない。
 ⑩ドロップタンクの安定板の垂直翼は切り取り、タンクの振れ止めを追加する。
 ⑪右翼のピトー管をキットの曲がったピトー管から直線状のピトー管へ変更する。
 ⑫尾部に燃料放出パイプを追加する。

以下に工作の過程を簡単に紹介します。



製作

1. 胴体
  まずは胴体と翼のパネルラインのモールドを落とし、簡単にスジボリを入れました。次にコクピットを組み込むのですが、その前に、胴体内側および、コクピットをエアークラフトグレイで塗装しておきます。(写真1)
機首のエアーインテイクの塞ぎ方ですが、直後に板を貼ってもいいのですが、それでは奥行きが無くなってしまうため、余ったキットのドロップタンクの先端を切り取り、キットのインテイク・リップ部に後方から貼り付け、整形しました。(写真2)
こうすれば何とかエアーインテイクの奥行きが確保され、筒抜けも防止できます。

(写真1) コクピット部

  (写真2)  エアーインテイク・リップ部

 次に、左右の胴体パーツにエアーブレーキを嵌め込み、隙間を修正して整形します。その後胴体の左右のパーツを貼り付けました。(写真4)が組みあがった胴体ですが、エアーブレーキの周辺に白く見えるのが、隙間に埋め込んだプラ板です。

胴体の貼り合わせが終われば、問題のキャノピーと胴体の接合部の修正です。これはほぼ現合作業に近く、キャノピーを載せて隙間を確認して調整する作業の繰り返しでした。そしてウィンドシールドの土台に当たる胴体部分もウィンドシールドと面一になるよう整形しました。(写真4)のコクピット周りを拡大した前胴部の(写真3)を見ると良く分かるかと思います。白いプラ板が覗いているのが見えますが、キャノピーとの隙間調整用に貼り付けたものです。また、計器盤を取り付けるため、防眩パネル部を薄く削っています。最後にエアーインテイク・リップ部を接着し整形すれば胴体部が完成です。(写真4)

(写真3) 前胴部


(写真4) 組み上がった胴体部


 次にキャノピーを被せるのですが、その前に計器盤とパイロットをコクピットに納めます。計器盤はデカールを貼ったものですが、取り付けると(写真5)の様になります。取り付けは計器盤のデカールを貼ったプラ板をコクピット前方の壁に接着しただけです。キャノピーを通して見えるかと思って取り付けました。

(写真5) コクピットに納めた計器盤


パイロットの方は、キット付属のパーツがあまり出来が良くないためシートだけを切り離して使い、パイロットフィギュアは他の1/72のキットから流用しています。(写真6)が塗装をしてコクピットに納めたパイロットフィギュアの状態です。

(写真6) コクピットに納めたパイロットフィギュア


2. 主翼
 次に主翼ですが、主翼下面部に開いている脚注の取付穴を塞ぎます。(写真7)の白い部分が穴埋めに使用したプラ板です。そして主翼の上下のパーツを貼り合わせました。このはめ合わせの隙間も目立ちますが、下面で見えにくいことや動翼の隙間部でもあり、埋めたのは翼端の接合部分だけです。

(写真7) 上下貼り合わせた主翼(上が下面側)


3. 3. 機体の組み立てと塗装
 ここまでくれば、もう一息。主翼、水平尾翼、キャノピーを胴体に接着すれば機体は完成です。キャノピーは接着前にマスキングしておきます。そして下塗りです。垂直尾翼先端のアンテナカバーと同じ色のエアクラフトグレーで機体全面を塗装します。塗り終わった状態が(写真8)です。 

(写真8) 下塗りが終わった状態


 乾燥後#2000のサンドペーパーを軽く表面にかけ、塗装時に付着したごみなどを落とします。そして垂直尾翼のアンテナカバー部をマスキングして、機体全面をMr.Color C8のシルバーで吹きました。その後ジェット排気口周りの金属部をファインシルバーや焼き鉄色で塗り分けました。また機銃口部のパネルは黒鉄色で塗っています。(写真9)、(写真10)が銀塗装後の機体上下面です。

(写真9) 銀塗装後の機体上面


(写真10) 銀塗装後の機体下面


4. その他取り付け部品
 その他の取付部品は、ドロップタンク、サイドワインダーとパイロン、ピトー管、ドロップタンクの振れ止め、燃料排出パイプ、エンジン排気口です。サイドワインダーとパイロンは整形のみでそのまま使用しています。ピトー管、燃料排出パイプはプラ棒から、ドロップタンクの振れ止めはプラ板から作りました。エンジン排気口は写真が無いですが、ストックしていた部品を流用して作りました。ここではドロップタンクのみ紹介しておきます。残りは完成品の写真を参照ください。

 ドロップタンクは水平安定板のところを改修しました。(写真11)が改修前、(写真12)が改修後です。改修前の部品では水平安定板の端に小翼が付いているのですが、このタンクを搭載しているF型は見たことがありません。D型や米軍の機体が搭載している写真は見たことがあります。新しいタンクにするには手間がかかるので、この小翼を切り離し、三角形の水平安定板を付けたタンクに変更しました。


(写真11) コクピット部

  (写真12)  エアーインテイク・リップ部

5. 最終組み立てと仕上げ
 デカールは以前製作したFujimiのキットのデカールが残っていたので、それを使用しました。いくつかの飛行隊のマーキングが付属していましたが、小松基地に配備されていた第6航空団第4飛行隊所属機にしています。デカールは少し硬めでしたが軟化剤を使って貼り付けました。但し、胴体のタービン線が黒で印刷されていたため、手持ちのデカールを使用し、赤色に変更しています。デカールを貼り終えたあと、機体や翼のパネルラインに軽く墨入れをし、デカール保護のための半艶クリアーをオーバーコートしました。乾燥後、主翼の翼端灯をクリアレッドとクリアブルーで塗り、ドロップタンクやサイドワインダーなど、4項に書いた部品を取り付けて、機体は完成です。そして最後にスタンドに取り付けました。スタンドに載せると、飛んでる感じがします。スタンドはハセガワの1/200の旅客機のものを流用し、表面の凹凸を消した後、艶消しの黒で塗装しています。(写真13~15)が完成したF-86Fです。

(写真13) 完成したF-86F


(写真14)  完成したF-86F


(写真15)  完成したF-86F



 古いキットでしたが、何とか見れる形になりました。まだこの時代のキットがいくつか残っているのですが、どうするか思案中です。


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