
<日本航空史>
英国のハリアーと自衛隊への売り込み
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by 加藤 寛之 |
プラモデル コラム |
日本で見られたハリアーといえば米軍機だったが、英国のハリアーだって来日したことがある。それは1971年10月のことで、名古屋空港(小牧)にて開催の名古屋国際航空宇宙ショーで来日した。写真でわかるように、F-4のブルーエンジェルスが来日したときだ。同ショーを報じた『航空ファン』1972年1月号をみると、このハリアーは量産67号機(シリアルWX616)。英国での実戦部隊配備は1969年4月だったらしいからそれからまだ2年半、まだまだピカピカの新鋭機だったとわかる。
アメリカ海兵隊の採用が決まったこともあってか、記事中に「わが自衛隊にもただいま売り込み中であるが、1機の値段は大体のところ250万ドル(約7億2千万円)くらい」とある。日本ではT-2/F-1を開発していた時期だから、まあ、購入の可能性はなかったと思うが。
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この写真は、この国際航空宇宙ショーに行く機会があった人にお願いして撮ってもらった写真にあった。現物は経年変化で色が悪くなっていたので、自分で補正してみた。
ハリアーといえば、ホバリングで観客に機首を向け、ゆっくりと頭を下げる「こんにちは!」の演技が記憶にある。小牧の国際航空宇宙ショーで披露してくれたと聞いて羨ましかったが、これは私も航空自衛隊入間基地で米軍機によって見る事が出来た。それから数十年後には横田基地のオスプレイも似たご挨拶してくれて、ハリアーのホバリングを思い出すことができた。
この頃が飛行機プラモデルではどの時代かというと、『航空ファン』1972年1月号のタミヤの広告は、「ハリアーGR.Mk.1」の新発売で500円。ベストなタイミングの発売ですね。ハセガワは1/32「零戦52型」。「整型指導 堀越二郎」とうたって、お値段700円(このキットは今でも入手しやすい)。グンゼ産業はレベル1/72の「屠龍」300円と「月光」350円を、1月発売と広告している。
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さて、「なんで、この写真で英国のハリアー? F-4のブルーエンジェルスを取り上げるべきでしょ!」と言いたいのが普通だと思う。そうですよねェ…。でも私、ハリアーの独創性の方が好きなんです。
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追記:この記事を書いた後で、ハセガワ1/72 AV-8Aハリアーを購入した。英国のハリアーで作るべきだが、売り込みだけに終わった自衛隊仕様を想定して作ってみた。黒い機首はレーダー装備の欺瞞塗装のつもり。ベテランキットゆえに現在でも1コ1000円もしないので、こんな遊びもしやすい。
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