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Do28 スカイサーバント (マッチボックス 1/72)

  by 加藤 寛之



 実用性の高そうな飛行機。航空情報『世界航空機年鑑 1970』によれば、D型は最大13名の乗客か8㎥の貨物が搭載できる。水平尾翼はエレベーターのないスタビレーター。ピストンエンジン装備で、燃料タンクはナセルにあるそうだ。
 作ったキットはマッチボックス製の3色成形品。塗らないで作っても楽しい完成品になるが、今回は塗装してある。精密キットとは対極にある製品で、驚いたことに表面にパネルラインのモールドがない。ツルツルなのだ。

“上司がさァ、この予算で作れってさ”
“え?本気?”
後日。
“これ、見てよ。脚のスパッツとか、水平尾翼の羽布とかさ、主翼のスロットなんかも、ちゃんとやっておいたよ。これは金型屋の意地だな。”
“おお、いいじゃないかぁ・・・、表面工作はこれからかい?”
“それ?これでオワリ。この予算だもの、形があるだけで上出来ですよ。プラモデルはね、基本の形さえ出来ていれば、表面は買った人が好きなようにやれるからね”

みたいなヤリトリがあった(?)んじゃないかなァ、みたいなキットだ。全体は角が丸いようなユルい金型なのに、ここぞというパーツにはキレがある。



  キットパーツの精度は甘いから大きな接合部分の角もダルく、ちゃんと整形すると大変。ゆえに、テキトウに済ませた。整形しにくい場所の大きな窪みには、瞬間接着剤をタップリと流し込んでだいたい埋めた。まあ、これで大丈夫。
当然、接合精度も甘いので、胴体と主翼、水平尾翼、エンジンナセル、脚スパッツを捩れないように組むことに注意が必要だった。
胴体側面の窓は、個々の透明パーツ。胴体側と窓の金型の抜き勾配に齟齬があるので、胴体側の内側を軽くさらっておく。窓パーツの接着前に、胴体パーツの厚み部分と窓パーツの厚み部分に黒を塗っておくと、厚みの乱反射が抑えられてスッキリする・・・が、精度が低いのでスッキリ感には限界がある。まあ、イイや。
主脚スパッツはタイヤを入れずに接着。タイヤは1個だけ塗って半月形に切断、これを挿入して接着した。私にタイヤをクルクル回す趣味はないので、この工作でよい。
実機写真をみると小突起類等々あるのだが、キットのままでOKとする。そんな追加工作は、全体のホワ~~ンとした造形に似合わない。



  塗装は箱の裏面のカラー図と詳細を組み図に描いてある。白い機体に赤十字の塗装も選択できるが、キットの3色地色を考えると濃い色が無難。塗装説明は箱の表の絵と一致しないが、そこはテキトウに解釈する。色分割の分からないところは、テキトウに塗る。他人が作ったプラモデルを世界の誰も気にしないし、作った私も気にしないので、それでOK。
塗装も終わってデカールを貼って・・・で頓挫した。マッチボックスのデカールは大抵の場合、変色はあるものの何とか使えるのだが、今回はダメ。熱湯に入れても剥がれなかった。諦めて、いつもの模型店へ行き、似たデカールを調達した。当然ながらスカイサーバントのものではないが、どうせ誰も気にしないので大丈夫。
これで無事に完成。



 なんだか面白い、ユルユルの完成品である。ポヨ~~ンとしたキットの造形が、実機の雰囲気によく似合っている。それなのに、ここぞという場所ではキレがいい。いい感じだ。キットを設計した人・金型を造った人の、遊び心が形になっている。プラモデルの面白さって、これだよね、と思っちゃう逸品だ。


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