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スピットファイアMk.Ⅵ (ハセガワ 1/32)

  by 加藤 寛之

 このキットの本体は1977年夏に発売のMk.Ⅴb。『航空ファン』1977年9月号によれば、通常タイプの翼と切断翼が選べ、キャノピー、プロペラ、スピナー、機首下面のパーツ、胴体下面の増槽が選べるそうだ。およそ半世紀前の『航空ファン』1977年8月号の広告によれば、ハセガワが開発した飛行機キットの100機種目だそうだ。可動やパネル開閉で発展した1/32から脱却して、アウトラインを追及した製品だった。当時の値段は1200円。
Mk.Ⅵはバリエーションキットで、同年秋の発売だったようだ。今回の製作に使ったキットは友人からの頂き物で、箱の印刷で1300円と分かった。



  キット全体のパーツ分割は可動機構がないので、とても分かりやすい。コックピットは当時としては精巧で、それを無理のない分割で表現している。表面は繊細な凸線で、それが少なめに再現されて滑らかに感じる。ゴチャゴチャしていないのだ。一方で凸部分は明快な表現にして、見栄えを作りだしている。動翼の羽布表現は、ピーンと張った感じと模型栄えのギリギリで再現している。楕円翼に胴体が載った平面形と、後ろから見るとW型になる主翼後縁と胴体との接続は、共にやや軽いかなとは思うが忘れていない。主翼は主桁の位置と最も高い部分が少し違っているように、ちゃんと表現している。もちろん、半世紀前のキットだから、今日のキットと違うが、半世紀前でこの水準に達していたことは感動的だ。
工作は、コックピットから始まる。32キットなので小パーツでもそれなりの大きさがあるので、楽に組める。床パーツを胴体に挟むと、胴体幅がしっかりと決まる。背部の胴枠は、胴体の左右接着後に、下から挿入した方が楽だ。エンジンパーツがなく組み込みはコックピットだけなので、どんどん組み進められる。



 主翼は、着陸灯を開状態にも組めるが、私はしなかった。冷却器カバー周りの内側に蓋を追加したり、削りあわせたりはあるが、大した手間ではない。翼端パーツは、軽く整形は要するものの難しいところはない。ちょっと残念なのは、主翼上面の後縁附近に、パーツの厚みが原因で軽いが広範囲のヒケがあったこと。表面モールドが少ないので、ちょっと削れば改善するが、私はホドホドでやめた。キットのままでも、ツヤを落とした塗装にすれば、気にならないだろう。
  主脚のタイヤは固定なので、角度がちゃんと決まる。とはいえこの時代だから、主脚柱の固定にちょっとガタがある。丁寧に工作すれば、問題ない。
 全体として難しいところはなく、隙間も現代で通用する程度に収まる。だから、工作で書きたいことが少ない。
 さて、キットは高高度タイプだから、実機のキャノピーは後方スライドでなく、横開きか?・・・と気付いたのは、塗装後。該当機がどうかは知らないが、スライドの溝を埋めることにした。熱で伸ばしたランナーを多めの瞬間接着剤で固定、それを削ってオシマイ。塗装後のやっつけ仕事だったので粗いが、まあOK。



  キットの塗装指示にそって、今なら入手できる配合色を購入、そのまま工夫なく塗った。上側面は、緑色→灰色の順。ともに“もう1回塗ろうかな”で止めて、残ったムラを味わいにしている。凸線あたりの軽い汚しは、灰色部分だけ。全体を一様にすると、面白くないから。凸部分にやや明るい色をのせたり、微妙に銀を塗ったりと、メリハリを加えてある。
 デカールはキットのモノを使用、古さが原因でちょっとちぎれた所は補修した。
 最後に光沢スプレーを軽くかけて完成とした。光沢スプレーでなければ、上記の主翼上面のヒケは目立たないだろう。

 ハセガワは、この時代の32キットの数種を現在でも廉価で発売している。それならば、このスピットファイアも充分に商品価値がある。昔のままの塗装とデカール、昔のままの箱絵(むしろその方が)でいい、こんなに作りやすくて、しかも素晴らしい出来のキットを販売していないなんて、もったいない。Mk.Ⅴbだけでも、ぜひ再販を!


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