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VF-17のバードケージ コルセア(タミヤ 1/72)
by 平針みなみ HIRABARI Minami
F4U-1、-1Aコルセアのプラモデルというと、ジョリーロジャーのマークすぐに思い浮かびますが、とくにF4U-1Aは南太平洋戦域で日本軍機と死闘を繰り広げました。今回はそのVF-17が実戦配備される前のF4U-1バードケージ コルセアをタミヤの1/72キットで作ってみました。
タミヤからはバードケージ コルセアのキットが3つのスケールで出ています。まず1996年7月に1/48のF4U-1/2が出て、次に1/72が2006年9月、そして2013年7月は1/32が出て3スケールが揃いました。
これら3スケールともデカールにVF-17の機体(17-F-13)が含まれています。1/72ではさらに17-F-12も含まれています。箱絵の方も、1/48と1/32が17-F-13、1/72では17-F-12が選ばれています。
タミヤのキットそのものについては、あちこちで取り上げられていますし、なかなかの好キットですので、ここではVF-17のバードケージ コルセアについて調べてわかったことや、気になっている点について記していきます。
VF-17ジョリーロジャースとCV-17バンカー・ヒル
VF-17は1943年1月にF4U-1バードケージ コルセアをもって新設されました。このときの機体塗装は、上面ブルーグレー、下面ライトグレーの2色迷彩でした。国籍マークはインシグニアブルーの円に白い星のマークで、まだ横棒が突き出ていないタイプのものでした。
VF-17の母艦になる航空母艦CV-17 バンカー・ヒルは、エセックス級の航空母艦で1943年5月に就役した最新鋭空母。
バンカー・ヒルは6月末にノーフォークで飛行隊を載せ、シェイクダウン・クルーズのため7月15日にトリニダードに向けて出港。各種訓練を重ねて、3週間後にノーフォークに帰還しました。この時のF4U-1は、シーブルー、インターミディエイトブルー、インシグニアホワイトのトライカラー迷彩になっていました。(以後、2色迷彩、3色迷彩と表記します。)
なお、国籍マークについては、1943年6月に横棒が突き出し赤縁で囲んだものに変更されていますが、国籍マークがそのようになっていることを確認できたのは、タミヤのキットにデカールが入っている17-F-12だけです。
VF-17は訓練の甲斐あって空母飛行隊としての資格をVF-12に次いで得ることができ、実戦配備のため9月4日にパナマ運河を経由して太平洋戦線に移動。その時にはVF-17はF4U-1Aに機種改編していました。サンディエゴからハールハーバーに向かう途次、海軍がコルセアを空母で運用しないことを決定したためVF-17は陸上基地からコルセアを運用することになり、バンカー・ヒルにはF6F装備のVF-18が移ってきました。なお、VF-12もF4UからF6Fに変更しています。
パナマ運河を通過中のバンカー・ヒル甲板上のF4U-1Aの写真を見ると、胴体の国籍マークには赤縁がありますが、折りたたんだ主翼下面の国籍マークには赤縁が付いていません。主翼上面は写真に写っていません。
なお、F4U-1Aに改編した後のF4U-1の少なくとも1機は、VMF-121がモハーベの海兵隊訓練基地で使用されていました。エンジンカウリングにジョリーロジャーのマークが写っている写真が残っています。
VF-17のバードケージ コルセア製作の留意点など
今回は2色迷彩の機体として17-F-6を、3色迷彩のものは17-F-8と17-F-18を作ってみました。また、タミヤのデカールを貼った旧作のハセガワのバードケージ コルセア2機、17-F-12と17-F-13も引っ張り出してきて一緒に並べてみました。下の写真の手前左から17-F-6、17-F-8、17-F-18。奥がハセガワのもので、左が17-F-12、右が17-F-13です。
・カウルフラップは全周にわたっている初期のタイプなので、キットの機首上面のカウルフラップがない部分にカウルフラップ3枚分をスジボリします。その際、カウルフラップの直後になる機首上部を、ほかのカウルフラップがある部分の直後の胴体と同じように整形します。
・カウルフラップ直後の迷彩色は退色が激しくなっています。ここの内側を高温の排気の通り道があるためでしょうか。
・小型の爆弾架を装備していたようなので、プラ板等から加工して取り付けます。
・キャノピーは、2色迷彩では膨らみ無し、3色迷彩では膨らみ有りのパーツを使用します。
バードケージ コルセアでは、右翼のフラップに足掛け用ステップの穴はありません。(タミヤの1/48キットでVF-17の機体を作る場合は、この穴を埋める必要があります。)これは-1Aの途中から設けられたようです。
タミヤの1/32キットならとくに手を加えることなくVF-17のバードケージ コルセアを再現できます。
なお、主翼上面にある黒いラインは省略しています。また、アンテナ線を張るのも省略しました。
17-F-12と17-F-13はキットをそのまま作ったので、VF-17の機体としては不正確なものとなっていますが、それぞれの特徴などを次に記します。
17-F-12
・国籍マークが新制定のものになっています。
・17-F-12の「2」の字体が、「2」がつく他機、たとえば17-F-25などの「2」と異なっています。17-F-12の方の「2」は普通にみられる「2」の形ですが、他機の「2」はちょっと変わっています。「2」の付く機番の写真をつらつら眺めていて気が付いたのですが、「5」のステンシルプレートをひっくり返し「2」として塗ったのではないかと。写真で確認できた17-F-21、17-F-22、17-F-24、17-F-25、17-F-26の「2」はすべてこの字体でした。
17-F-13
・VF-17のバードケージ コルセアで撃墜マークが描いてある唯一の機体。この段階ではVF-17は実戦に参加していないので、この機のパイロットであるジェイムズ・ハルフォード中尉が以前F4Fであげた3.5機撃墜によるもの。撃墜マークがついているためか、バードケージ コルセアのプラモデルでデカールや箱絵に取り上げられることが多い機体です。
今回製作した3機についてのメモ
17-F-6
・「17-F-」は黒字、「6」のみ白字。2色迷彩ではこのパターンのようですが、3色迷彩になっても17-F-10では「10」のみ白字となっていました。
「17-F-」が黒字になっているデカールが、手元にはKAGEROから出ていた『VF 17 “Jolly Rogers”』に付属のデカールの「17-F-8」しかなく、かなりオーバースケールですが「17-F-8」の「8」を加工して「6」としました。この本のカラー図の17-F-8は3色迷彩ですが、今回作った17-F-8は、私が見た写真では文字はすべて白になっていました。時期による違いなのか。
・機首のジョリーロジャーのマークは記入されていません。他の2色迷彩の機体でもジョリーロジャーのマークが入っていませんでしたので、3色迷彩になった段階で記入されるようになったのでしょうか。3色迷彩の機体でも、17-F-10にはジョリーロジャーのマークがありません。
・アンテナマストは機首のみ。
・スピンナーはシルバー。(2色迷彩ではシルバー、3色迷彩ではブラックが標準か。)
・主翼の国籍マークは左右にあります。主翼上下で位置が異なっていて、下面は内側に寄っています。
・主翼の国籍マークのところの白線(タミヤ1/32のデカール参照)は無いようです。同じ写真の手前に写っている17-F-25には有ります。
17-F-8
・カウルフラップ直後に白帯を巻いているのが珍しいです。
・ホイールハブ:シルバー
・リーディングエッジは下面色が上にオーバーラップしているのか、それとも胴体のインターミディエイトブルーがリーディングエッジにのびているのか、いずれにせよ明るい色になっています。
・アンテナマストは前後両方あります。
17-F-18
・補助翼の左右が明色になっています。なぜこのようになっているのかわかりませんが、17-F-10(左右)、17-F-18(左右)、17-F-21(右翼未確認)、17-F-22(左翼未確認)、17-F-26(右翼のみ)、17-F-31(写真不鮮明だがたぶん左右)も同じようになっています。
これが果たして何色なのかということですが、最初これらの写真を見たとき、以前の2色迷彩のときの補助翼が予備として残っていて交換したのかと思いましたが、着艦時のトラブルで倒立状態になった機体や、主翼を折りたたんだ状態で駐機している写真が見つかり、主翼下面の補助翼はインターミディエイトブルーより濃い色になっていました。そこで、主翼上面の補助翼はインターミディエイトブルー、主翼下面の補助翼はシーブルーに塗ってみました。
・この機体もリーディングエッジが明るい色になっています。
・アンテナマストは前後両方あります。
細部塗装について
資料等を参考に、原則として次のようにしてみました。
コックピット内は、ダルダークグリーンで塗りました。かなり黒っぽい色のようです。
コックピット後方窓の内側:機体色のようですが、ニュートラルグレーで塗ってしまいました。
カウリング内側:下面色(ライトグレー・白)
主脚収容部、主脚ドア内側、尾脚ドア内側、主脚柱、尾脚柱、主車輪ホイル内側:下面色(ライトグレー・白)
主車輪ホイル外側:シルバーあるいは白
後部胴体内側等:機内色=サーモン(ジンクロイエロー+赤)
なお、銃口は白いテープで塞いであるケースが多いので、今回作った3機は白いデカールをカットしたものを貼っています。
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