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<ジョリー・ロジャースのご先祖様>
F4Uヴォート・コルセア (AFVクラブ 1/144 )
by
Windy Wing 2013
以前からF-4NやF-14A、あるいはF/A-18Fについてアメリカ海軍の超人気部隊「ジョリー・ロジャース」にこだわって1/144で製作を重ねてきましたので、今回は原点に立ち返って、そのご先祖様を探ってみることにいたしました。
<AFVクラブ 1/144 F4U-1 ヴォート・コルセア「VF-17ジョリー・ロジャース」>
私の調べえた限りでは、米海軍飛行隊「ジョリー・ロジャース」所属機体の最古と思われる写真は、空母バンカー・ヒルから発艦する第17戦闘飛行隊(VF-17)のF4U-1バード・ケージ・コルセア(1943年1月:機体番号17-F-26)の三色迷彩機でした。したがって、このころのF4Uが現「ジョリー・ロジャース」のいちばんのご先祖様ではないかと想像するのですが、そのシンボルたる「スカル&ボーン」は機首に小さな黒旗として描かれているだけで、他部隊のシルクハットやスペードのエース同様、当時としてはあくまでもおしゃれなワンポイントに過ぎなかったようです。
なお、この三色迷彩の前に、ノーフォーク海軍航空基地での引き渡しの際の二色迷彩の機体が存在するはずなのですが、今回は当該の写真を見つけることはできませんでした。カラー図などの資料によると、この時点ではまだ「スカル&ボーン」のアイコンはペイントされておらず、本部隊の編成後、ジョン・T・ブラックバーン初代飛行隊長がこの「コルセア」という機名に相応しい隊章をパイロットにデザインさせた、という経緯から推測するに、「スカル&ボーン」が戦闘機に初めて描かれたのは空母バンカー・ヒル艦上においてだったのではないかと考えられます。
キットは<AFVクラブ>という台湾新興メーカーの2018年の製品ですが、梱包されているキャラメル・ボックスや箱絵のイラスト感などは、同構成で先行する我が国のSWEET社のパクリそのものでしょう。さらにそのパーツは「ビッグ・ワン・ガム」のおまけとも勘違いしてしまいそうな粗末な素材で、主翼、尾翼、さらには胴体部品でさえも、光にかざすと向こうが透けて見えるような安っぽさです。材質的にも模型用接着剤への反応が著しく鈍く、基本的にはスナップ・フィットを前提として企画されているものと思われます。
<AFVクラブ 1/144 F4U-1Aヴォート・コルセア「VF-17ジョリー・ロジャース」
こちらはマルコム・フードに進化したF4U-1Aで、1944年2月のブーゲンビル島におけるVF-17「ジョリー・ロジャース」の所属機。レベル1/32キットの迫力ある箱絵が記憶に残るアイラ・C・ケプフォード中尉の搭乗機ですが、このように本機を真横から眺めると、コックピット先端が主翼後縁まで後退している本機の特異なシルエットにはあらためて驚かされます。
巨大発動機と燃料タンクを配置するための苦肉の設計とはいえ、この前方視界の悪そうな機体では、いかにも空母運用から降ろされて東南アジア諸島の飛行場配備に廻されたのもむべなるかな、です。しかも、それでもこのケプフォード機は配属先のブ島で着陸に失敗していて、その際の機首を地面に乗り上げた時の写真は編隊飛行の時のものよりもむしろ有名かもしれません。
ところが、かかる<AFVクラブ>のキットもいざ実際に組み立ててみると、こんなヤワな素材にはとうてい刻印不能とも思えるような細緻なモールドと的確な造型に圧倒されながら、いつの間にか、大柄な逆ガル翼の特徴を余すところなく表現したF4Uが完成してしまいます。さらにこのキットはワンセット2機入りで、折り畳み主翼・動翼・カウルフラップなどが高い精度の開閉パーツでオプション展開されているため、各部に複雑な機構をもつ本機を様々な動きのある状態で組み上げることのできる楽しさは格別です。
もちろんスケール的に、左へオフセットした垂直尾翼や微細な脚柱・着艦フックの造作などは期待すべくもありませんが、やはりプラモデルというものは実際に作ってみないと評価は難しい、と感慨を深めさせられたキットではありました。
以上、米海軍飛行隊「ジョリー・ロジャース」をその源流と思われるところまで遡ってみましたが、ベトナム戦争が始まるまでのこの部隊名は兵隊さんの結束力と誇りに満ちた密やかなニックネーム、という印象で、後世、巷の模型会社が大戦機にまで黒旗を謳って行う販促は当時の雰囲気とは齟齬している、と感づけただけでも、今回のリサーチにはそれなりの収穫があった、とひとり喜ぶところです。
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