(Photo) CMP FAT-4
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| by コルディッツ |
| 博物館実機写真 |
CMP FATとは,第二次世界大戦に備えて、カナダが英軍の標準規格に合わせて大量生産したCMPトラックから派生した、野砲牽引車です。Canadian
Military Pattern Field Artillery Tractorの頭文字を並べてCMP FATとしたものです。日本語にすると「カナダ軍仕様
野砲トラクター」になるかと。我が国ではタミヤ模型がキット化した「25ポンド砲とクォード・ガン トラクター」で有名になっていると思います。
カナダ戦争博物館を拝観した際に、CMP FATを撮影する機会がありましたので、ご報告させて頂きます。
※ 本稿は博物館の標示、タミヤ模型の説明書、Wikipediaを参照しました。
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CMP FAT-4 CH4207395 2024年10月撮影
カナダ戦争博物館(オタワ)にて
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CMT トラックの中で、ホイールベースを2.57mと短くしたシャーシをベースに開発されました。トラックの生産台数は50万台以上、野砲牽引車の生産台数は22,891台とあり、カナダの生産力の大きさに圧倒されます。
車長の短いシャーシに大径のタイヤを組み合せたスタイルは、なかなかユーモラスで、プラモデルでも良いので、コレクションをしたくなる魅力があります。
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開発と生産を担ったのはフォード・カナダとゼネラル・モーターズ・シボレー・カナダで、製品は会社により若干の差があります。
識別で役立つのはフロントグリルで、タミヤが製品化したフォードは正方形の編目ですが、シボレーは菱型の網目です。と言う訳で、展示車両はシボレー製と判断しました。
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タミヤが模型化したフォード版は排気量3,900cc、出力95hpのV8エンジン搭載です。
シボレー社は排気量3,500cc、出力85hpの直列6気筒エンジンを搭載します。
母体のCMPトラックがキャブのデザイン変更をしたので、FTAもキャブが3種類。
2社の違いもあり、合計6個のタイプが製造されます。FTAの後に1~6の数字を置いて 区分、1~3はフォード製、4~6はシボレー製に割り付けられました。 |

FAT-4はキャブと後部兵員室が分離され、後部兵員室の屋根が、砲架を乗せるため傾斜しています。
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FTAの直後、25ポンド砲との間に牽引されるトレーラー。
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25ポンド砲は1935年に完成し、第二次世界大戦、朝鮮戦争でも使用されました。口径は88mm。対戦車砲としても運用可能な万能砲で、360度回転する円形の操作台に乗せられます。
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CMP FAT-4 31899 2015年7月撮影
軍事博物館(スーステルブルク)にて
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第二次世界大戦後のネーデルランド陸軍もCMP FATを運用していました。
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