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F-4EJ ファントムⅡ (ハセガワ(C1) 1/72)
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| by 加藤 寛之 |

ハセガワは、大雑把にいうと72ファントムⅡの基本型を3回造っていると思う。今回のF-4EJは1972年春頃に発売の2回目の造形で、当時のお値段は350円。航空自衛隊導入の初号機と2号機のデカールがついていた。今なら模型誌で大いに話題となるだろうが、この時代のハセガワは毎月のように新製品を出していて、旧版の72零戦シリーズや72ネプチューン、32ヘルキャットもちょうどこの頃。新金型のファントムⅡは軽い扱いだった。第1作に比べて飛躍的に品質向上したにもかかわらず、だ。
ハセガワは1990年ころにファントムⅡで第3回目となる新シリーズを展開して更新したが、このキットは現在も「C1」のシリーズ番号で継続して販売している。飛行隊4種のデカールがついていて、価格は1000円ほど。私はこのキットでE型を作ったことはあったが、EJで作るのは今回が初めて。ごく最近に購入したのだが、さすがに金型に経年の疲れは隠せず、小さな突起は甘い形になっているし、表面のあちらこちらに歪みも生じている。表面の極細凸線のパネルラインは消えかかり、動翼類の凹線もダルい。でも、大丈夫。軽く表面を整え、ちょっと角をたてれば若返ってくれる、ということで作り始めた。
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最初に、表面の歪みを軽く削って整え、バリや金型の境目を整形、接着面もきれいにしておく。削って消えた凸は、カッターの刃で線を引けば、ほぼ同じ(?)になる。
コックピットは、5パーツとお人形さん2人だけ。計器盤類は線彫りだけでデカールはない。椅子はあとから載せるとして、灰色系の機内はプラ色でOKとして塗らず、計器盤類の黒と凸線の銀のドライブラシだけで組んだ。おかげで、短時間で胴体左右を接着できた。
キットは垂直尾翼の前端下部にある吸気口が省略してある。これは三角形に切り取って中央にプラ板を接着すれば、それらしく新造できる。
垂直尾翼というか、キットのラダー後縁は垂直になっている。軽く後退角があるのが正しい形のようなので、ごく僅かだけ下方へと切り落としてみた。切りすぎて垂直尾翼のイメージが変わってしまうといけないので、ごく僅かだけ。結果、ほとんど変わらず。
主翼下面パーツの前部は、高さ、幅ともに胴体とうまく合わない。以前にE型で作ったときもそうだったから、キット側の問題だと思う。あちらこちらを切削して、それらしく整形した。実機と相違しているかもしれないが、まとまればOKだ。
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風防パーツは、前端の形や後端での胴体との合いにちょっと難がある。前端は塗装でごまかし、後ろ側はマトモに整形すると胴体の印象に影響がでそうなので、テキトウにごまかした。ごまかしきれないのだが、まあいいや。
脚周りは、特に脚カバーの造形や接着方法、脚庫の造形には、時代を感じる。「あとはヨロシクお願いします」とか、「これでどうですか」「見えないですよね」みたいなユルさがある。このキットを選んだ時点でこれは許容範囲になっているので、「大雑把だなァ」とは思っても問題ではない。組んでしまえば、ほぼ「見えません」。
塗装も、ほぼキット指示のまま。細かいことは見ない・考えないことにした。パーツ整形で消えたところを塗装で代替したり、実物ではありえない縁どりをしてメリハリをつけたり、凸部分の周囲を薄黒くして凸部分は明るくしたりと、いろいろと塗装でごまかした。デカールはキット指示のように貼って、最後に光沢スプレーをぷ~~~としておいた。
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完成した。ファントムⅡってこんな形ですよね、ってくらいか。全体の印象は何かが違うようにも感じるし、細部表現も甘い。ツルッとスッキリした表面はいかにもこの時代のプラモデルで、現代の濃厚な表現とは全然ちがう。でも、どうみてもファントムⅡ。大きくとらえてことさらに追及しない姿勢は、この時代のプラモデルのあり方だ。このキットに加工をして現代風にするくらいならば、最初から現代のキットを作ればいい。現代とは異なる価値観の時代の製品は、それを尊重して作ればよいのだと思う。
こういうプラモデルが今でも入手できることがうれしい。 |
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