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3Dプリント

M41(タミヤ1/35 MM)をリモコンに改造する

 by  田口博通 Hiromichi Taguchi



 タミヤから小型の「ミニモーター薄型ギヤボックス」が発売になってから、これを2個使って戦車などのリモコン化に使えないかと考えておりました。
1/35MM のM41ウォーカーブルドックを 足りない部品は3Dプリントで作ることにして リモコン化してみました。M41はM42ダスターとシャーシーが共通ですので、ダスターをリモコン化するのにも応用できます。



製作
 M41は72mm砲を搭載したコンパクトなスタイルのため、車体が小さく、下の写真のように「ミニモーター薄型ギヤボックス」がぎりぎり載りました。しかし、ギヤハウジング下部が車体後部と干渉し、ギヤの駆動軸が後駆動輪位置まで届きません。結局No239工作ギヤセット (42T/12T)を2セット使い、ギヤを介して駆動輪を回すことになりました。


赤丸が使用したNo239工作ギヤセット (42T/12T) の部品



 ギヤボックスを車体に固定するスペースもないため、現物合わせで 上写真のオレンジ色のギヤボックス固定部品を3Dプリントで作り、ビス止めしてあります。
ギヤボックス固定部品


 追加したギヤ1段は 下のようなシャフト受け部品を作りました。
3mm穴に40mm長の3mm角シャフトを両側から入れます。
板のように伸びている部分に ギヤボックスを乗せて、ギヤボックス固定部品で共締めします。


 古くから知られていることですが、タミヤの工作ギヤボックスセットに共通する最大の欠点は、ギヤの駆動軸から外部に動力を伝える部品がセット内に無いということで、全くドマヌケなことだと思います。
 古から知られている一般的な解決方法は ツインモーターギヤボックスを一つ潰し、下写真の真鍮6角ボスだけを流用する方法です。
それで、リモコン工作で戦車1台作るために ツインモーターギヤボックスが2セット必要なため、タミヤ共喰いギヤボックスとも言われて参りました。

 真鍮6角ボス
 
   ツインモーターギヤボックスを一つ潰し、
6角ボスだけを流用する。

  

 ここで更に間の悪いことに、タミヤの戦車キットの駆動輪は下のように6mmの6角ボスで駆動するように設計されているので、
上の7mm真鍮6角ボスから 金属ヤスリでしこしこと1mm削り、6mmボスにして、使ってきたわけです。ヤスリで2個同じものを 削る必要があるので 結構疲れる作業でした。

 戦車キットの駆動輪  
    やすりで削って 7mm幅から 6mm幅にする


 毎回これでは、共喰いされたギヤボックスの不要な残骸が溜まっていくので、今回は3Dプリンタで6mm六角ボスを作ってみました。
ただし、プラスチックゆえ 真鍮ほどの強度はないので、シャフト固定用イモネジのタップ穴は開けられません。それゆえ 6角シャフト形状の穴を空けて、駆動力を伝えることになります。自作3Dプラスチック製6角ボスは耐久性は乏しいですが、時々遊ぶリモコン戦車程度ならば しばらく使えるようでした。
3Dプリンタの材料は収縮もあるので6角シャフトの入る穴径は数種 試作して、3.2mm径に落ち着きました。


 
オレンジ色の6角ボスが 今回 3Dプリンタで作成したもの。




リモコン部
 リモコンボックスは、先月号の電動リモコンホイルローダ同様、アオシマの48タンクの2chリモコンボックスからの流用です。
 下写真のように戦車側のUSB-microBメスコネクターは車体裏に両面テープで取付けました。スペースがないのでコネクターが使えず、モーターコードをハンダで直付けしてあります。



完成


 なんとか完成しました。快調にリモコンで動きます。
なるほどなるほど、こんなものも3Dプリンタで出来るんだ。
これで 一つ自信につながりました。

不足する部品を3Dプリンタで補いながら改造するというスタイルは、ある意味 プラモデラーにとって 正しい3Dプリンタの使用法と言えるのかもしれません。


3Dプリンターについて
 ところで、どんな3Dプリンターを使っているのか、紹介してほしいという要望をいただいていますので、ご参考にご紹介します。
 私が3月に購入したのは、液体の化学薬品を扱う必要のないフィラメント方式(熱溶着型 FDM)のバンブーラボP1S(下写真)です。縦横高さ25cm x 25cm x 25cmまで造形できます。
 標準のノズル径が0.4mmなので、解像度は一般の光造形式3Dプリンター(最小解像度0.025mmくらい)の10倍くらい悪いため、精密小部品はちょっと作れません。
その代わり、造形速度は10倍くらい速く、7月号掲載のルータンロングイージーの機体ならば1時間くらいで出力できました。積層は0.8mm設定で使っています。 一般工作用ならばこの程度の精度で充分かなと感じております。
 アマゾンでも購入できるようですが、私はアフターサービス時も考慮して、池袋のサンステラという代理店から購入しました。3月の購入時にはAMSを付けて140,000円でしたが、現在は119,000円で販売されているようです。
 フィラメント材料は、主にPLAを使っています。
1巻(1Kg)3000円前後です。

カタログから引用


3Dプリンターの使用目的による選択
 3Dプリンターを使った実感は 強度の必要な実用品でなく、模型であれば 確かに「何でも作れる魔法の箱」です。使えるようになると、かなり はまってしまえます。

 どんな3Dプリンターを選択するかは その使用目的によると思います。
 私の場合は 少年時代に お金、技術力、材料が無く、作れなかった鉄道模型や「模型とラジオ」などに掲載された工作記事を、現在の 大人の技術力とちょっぴりの財力(しれていますねー、、、)と時間余裕で叶えたいと思っていました。それで、解像度は低いけれども一般工作に向くフィラメント方式(熱溶着型FDM)を選択しました。匂いも無く、取り扱いが容易な点も選択理由でした。
 もし、精密コクピットを作りたい、精密部品に置き換えたい、AFVの部品を精密化したいというモデラーは、解像度が高い光造形式3Dプリンターの選択が良いでしょう。ただし、こちらは化学薬品の匂い、取り扱いの煩雑さは覚悟が必要です。


3D CADソフトの選択
 3Dモデル化には3D CADソフトも必要となりますが、これには無料の「FUSION」がお薦めです。使用は簡単で、3か月くらいで、一応 使えるようになりました。書店には 参考本もたくさん 並んでいますので、独学で充分可能です。


 20年くらい前に想像していた老後は 「時間ができたら、プラモデル三昧」と思っていたのですが、プラモデルの新製品がバカ高くなり、もうおいそれとは買えなくなりまして、想像していた老後とはかなり違った未来状況になりました。
時間だけはたっぷりできた現在ですが、実の所、プラモデルはこの数年 ほとんど購入出来ていません。
 我々にとってプラモデルは既に逝ってしまった鉄道模型のように 手の届かない世界に行きつつあると感じています。

 積みプラモデルはたくさんあるので、プラモデラーから転向するつもりはありませんが、プラモデルをさわる時間が減ってきているのも事実。
 いずれ あの世に召される前に、叶えたかった夢を3Dプリントで少しでも、、というのが偽りのない心境です。



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