Home  >  <続・ジョリー・ロジャースのご先祖様>グラマン F6F-5 ヘルキャット(プラッツ&バンダイ 1/144)>特集 世界の名機コレクションシリーズ No.13 グラマン F6F-5 ヘルキャット>2025年11月号

世界の名機コレクションシリーズ No.13  グラマンF-6ヘルキャット

<続・ジョリー・ロジャースのご先祖様>
グラマン F6F-5 ヘルキャット(プラッツ&バンダイ 1/144)

  by  Windy Wing 2013

前回はアメリカ海軍の超人気部隊「ジョリー・ロジャース」の始祖にあたる<チャンスヴォート F4U コルセア>を1/144で製作しましたので、今回はその次の世代となる<グラマン F6F ヘルキャット>を同じスケールで追いかけてみることにいたしました。

<プラッツ 1/144 グラマン F6F-5 ヘルキャット「VF-17空母ホーネット搭載」>

 米海軍第17戦闘飛行隊(VF-17)「ジョリー・ロジャース」は1943年1月から1944年4月までの期間、<チャンスヴォート F4U-1/-1A コルセア>を空母CV-17バンカー・ヒル艦上で、後にブーゲンビル等の東南アジア諸島で運用し、1944年5月からは<グラマン F6F-3/-5 ヘルキャット>を受領して、再び空母戦闘部隊(CV-12ホーネット艦載)へとシフトしました。私の調べえた限り、一般に<F6F-3>は三色迷彩、<F6F-5>は単色塗装というのが標準だったようですが、この空母ホーネットへの艦載がちょうど<F6F-3>から<F6F-5>への交替の端境期にあたるため、VF-17では1945年初旬でなお<F6F-5>に三色迷彩を施した機体が複数存在しており、今回の「白の59番」(T.プール大佐乗機)もその中の一機です。


キットは元々「有限会社プラッツ」が2010年に金型を起こした<F6F-3>を2020年ごろにカルトグラフ社製デカールを付けて<F6F-5>にマイナーチェンジして発売された製品で、操縦席後方の小窓はブラインドになっており、カウリングも専用金型で用意されていますが、水平尾翼やキャノピー前部枠などの差異は無視されています。特にエフトイズのフィギュアの原型になったようなものではないので、モールドや小部品などは一般的な「プラモデル」の品質を確保していますが、造型においてはコックピットから前方機首のライン取りに失敗しているため、本機の「ブサイクなかっこよさ」が充分に再現できているとは申せません。さらに、動翼や主翼折り畳みなどに一切の外連味がないために、<AFVクラブ 1/144 F4U-1/-1A ヴォート・コルセア>を製作した後ではなおさら、「プラッツ」自身が「1/144なんてこんなもの」と勝手にタガをはめてしまったような物足りなさを感じます。

<バンダイ ウイングクラブ コレクションL part2 1/144 グラマン F6F-5 ヘルキャット>

そして終戦間近となってからは、もはや日本機からの視認などまったく歯牙にもかけない完全単色塗装となり、むしろ同士討ちを避けるための大きなGシンボル(本来は所属空母特定用)が各翼端に堂々と描かれるようになったのはいかにも憎たらしいことです。また、この「白の35番」(乗員不明)では「スカル&ボーン」は操縦席前方両脇というのが定説のようですが、他の機体ではこのアイコンが修整・消去されているように見える写真があったり、またあるカラー図ではカウリング下方に描かれているかと思えば、別の図ではどこにもなかったり、と、各種資料が豊富な割にはやや考証の難しい塗装となりました。大戦中の米国飛行隊は陸・海軍ともにこの「スカル&ボーン」などのアイコンを機体に描くことを公式には禁止していましたので、公然の秘密とはいいながら、あるいは「こんな写真を本部に見られてはまずい」という事情があったのかもしれません(それにしては修整が雑ですが)。


<バンダイ ウイングクラブ コレクションL>シリーズについては毎度申し上げていることながら、特に本機の造形の正確さは高く評価されてしかるべきで、コラボした「株式会社ウイング・クラブ」の矜持と執念がひしひしと伝わってまいります。今回はそんな本フィギュアに最大限の敬意を表する意味で、本体は完全素組みとしましたが、このように優れた製品がどこの街のどんな小さなコンビニでも豊富に安価に並んでいた古き良き時代が今は懐かしく思い出されます。


<グラマン F6F ヘルキャット>のプラモデルを製作するのは子供のころに作ったフジミの1/70キット以来ということで、あらためてその全景を眺むるに、アメリカの国是たる「質より量」の思想を物理的に実感させられました。戦後、こんなものに負けたのか、という日本の戦闘機乗りたちの心中や推して知るべし、ではありますが、こと現代に至っては、やはり我々の思想こそが正しかった、と、世界の自動車産業を俯瞰してその溜飲でも下げようではありませんか。



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