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米海軍現用機シリーズ No.2

F-35B  (イタレリタミヤ 1/72)

by 横田の角さん


 厚木の助さんから助っ人を頼まれた 横田の角でございます。助さんの方は小股の切れ上がった艦載機にぞっこん、それも退役した年増好きのようであります。 が、 こちとらはというと 最新鋭機か陸釣り専門。最新鋭機の中には F-32のように どうみてもブス顔で、オーディションで即却下になったようなのもおりますが、ステルス系は ぞくっとくる大人のお色気いっぱいで大好きであります。  今月のお題はというと、岩国海兵隊のVMA-542に配備されたばかりの最新鋭機 F-35Bであります。ごゆっくりとおつきあいの程を。




■ 実機について

 F-35はロッキードマーチン社製で、形態的にはF-22ラプターの流れを汲むステルス戦闘機でありまして、40,000lb級という単発戦闘機としては 世界最大の推力を持つエンジンF135ターボファンを搭載しており,海軍型CTOLのC型と海兵隊型STOLVのB型があります。
 B型は垂直離着陸も可能とするため、可変式エンジン排気口方式で、なんと排気口がグルンと真下に向けられるようになっています。また、胴体中央にリフトファンを装備し、安定したホバリングと垂直離着陸を可能としております。
 当初は2008年からの配備開始を目標に、量産試作機の開発計画が進んでおりましたが、2008年から数年間、アメリカを震源とした全世界を巻き込む大不況があり、開発計画は大幅に遅れました。
 このため、やっと、2012年に海軍向けのC型の量産が開始され、米海兵隊では2014年からハリアーに代えて垂直離着陸可能なB型の実戦配備が進んでおります。
 米海兵隊のB型の主脚は当初 A6イントルーダーのものが流用されておりましたが、STOLV型の大きな沈下率に耐えるため、新設計のものが採用されています。F-35は当初の重量見積もりが甘く、重量増加のため機能を削るなど開発に相当苦労し、結局、B型は、総ウエポン量15,000lbでC型よりも20%くらい少なくなっています。
 また、B型はイギリスでもハリアーGR5/7の後継として当初150機導入の予定でしたが、予算難と毎度おなじみの機体価格の高騰により、調達数の大幅な削減が予想されているのが残念なところです。
 
 海軍のC型の方はというと、空母着艦の必要上、アレスティングフック装備の他、主翼は面積を34%増積し、折りたたみ翼となり、外翼にもエレベーターを装備しています。水平尾翼も大型化し、高揚力装置を各所に装備し、低速安定特性を向上させています。B型に比べると一回り大型になった印象です。




■ キットについて

 フライングが得意なイタレリからモックアップを参考にデザインされたX-35 JSFが 提携しているタミヤから2001年に発売されています。小生としては空軍のA型に興味があるのですが、エンジンが真下を向いた部品しかついていないため、このキットは 実質、STOLVのB型としてしか 組めません。
 量産機のモデルはどのメーカーからも まだ発売されていないので(当たり前か)、今回はこのイタレリの試作機を使って、F-35B岩国配備機をモデリングしてみたいと思います。
 こういう試作機キットの作り方は とかく難しく、量産機との違いを明確にしておかないと、「ワシは 試作機を実戦配備機にしたんやで」といえなくなって、後々、大変後悔します。というのは、たいていは 後日、ハセガワからアカデミーあたりから量産機決定版が出現し、腰が抜けるからです。
 量産型と形態が違う箇所はしっかり残して、修正をパスしておきましょう。とかく手を入れがちですが、わかっていても辛抱する心意気が必要でございます。
 量産機では 胴体上面のSDLF用の空気取り入れ口ドアが後方ヒンジの大型1枚タイプになりましたが、イタレリは試作機をモデライズしたために、2分割された左右両開きとなっています。キットはキャノピーも1ピースになっています。
  また、イタレリのモデルでは主脚は主翼から生えていますが、量産機では胴体に主脚が収容されるようになっており、胴体下部のレイアウトが根本的に変わっています。
 ステルス性に大きな影響を持つ、インテークまわりの形状にも疑問がありますが、いまだに実機の秘密保持が厳しいため、決定的な写真が公表されておらず、判断がつきません。
  と量産型との形態的な相違点は多々ありますが、2009年時点の入手情報を元にしても仕方のないことゆえ、これら形態的な相違点は すべてパスし、塗装にのみ、集中することにいたします。




■ コクピット

■ エンジン

  キットは左右コンソールが一体となったバスタブ型に計器版を組み込むようになっています。F-35は操縦桿は無く、右側コンソール上のサイドスティック方式です。左はスロットルで、いずれもそれらしい形の部品がついていますので、テレビゲームのスティックを参考に黒く塗ってみました。計器はオールデジタルのグラスコクピットとなっていますので、四角い計器を適当に書いておきます、正面コンソール上のHUDは透明プラの部品があるので、忘れずに装備しておきましょう。
 キャノピーは量産型では2ピース型になっていますが、キットは1ピースで形状も根本的に違います。そこだけ改造しても意味がないので、パスします。
 胴体に先にエンジンを組み込むようになっていますが、このエンジンは90度曲がって、排気口が真下を向いた部品がついています。このため真後ろから見た姿はブルドッグがクソをしているようであり、お世辞にもかっこいいものではありません。




■ 胴体

■ エアインテーク

 上下貼り合わせ式になっていて、エンジン、主脚収納部、水平尾翼を組み込んで、機首のおもりをお忘れなく。こっこうな量が必要ですので、油断めさるるな。水平尾翼つけねは 隙間をポリパテで埋めてスムーズにつながるようにしっかり修正ください。
 胴体には亀甲模様のパネルラインがほどこされていますが、実は大嘘であります。実機は胴体下、主脚の間のスペースに第3艦橋とちまたで呼ばれるバルジやエアブレーキがあります。
 また、各ドアのエッジはもっと細かいギザギザになっているのが本当です。 これらの形態は知った上で、全て修正はパスします。
 しっかりと接着し、パテでスムーズにつながるようにします。
ここは全体の出来を左右するポイントであります。

ここまでやると形が見えてきました。




■ 塗装

 上面FS36270、下面FS36118で、いずれもグンゼの特色を使用しております。スミイレですが、しっかり乾いた後、ローアンバーの油彩でスミを流しておきました。
 マーキングはVMA-542 とするため、ハリアー、ホーネット、マイクロから適当に色が合うものを切り貼りしてあります。
アクセントとなるインテーク上のをWALKING LINEは ファントムのものを切ってデコレーションしておきました。
 とはいっても マーキングを施す位置には それなりの作法があるもの。何がどこに書かれているかは、現用の米海兵隊機をよく観察してみてくださいませ。小生は エーカッコCに気をとられ、うっかり 機首の22ナンバーをレドームの上に書いてしまいましたが後の祭り。実機ではレドームの上に このような文字を書いたりすることはありませんので、お気をつけ下さい。レーダーに22の文字が映ってしまうのでさー困ったです。あと、各所のELの黄色い編隊灯もお忘れなく。




■脚など

 

 脚はもう それなりですので、何もしておらず、いうことはありませんが、もう少しなんとかしたかったところではあります。脚収容部は海軍機一般と同じ白です。
外部武装はつけず クリーン状態としました。
脚カバーと胴体上面のエアインレットカバーは いもづけで組みにくいのですが、内側にプラ板の小片でのりしろを作っておくと丈夫です。
 こういう場所の接着剤はスコッチの多用途強力接着剤が 使いやすいようですので、お試しください。
てなわけで、岩国実戦配備機が完成いたしました。
もちろん、世界で一番早い完成であります。
 ウソかマコトか幻か、仮想世界に生きる21世紀人にとっては どうでもよろしいことでありましょうが、ウソの中にも 一抹の真実がある。
失礼つかまつりました。今月の担当は横田の角でございました。














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Vol.2 2009 Mar.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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