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モーターライズ・プラモデル (第2回)
砲塔旋廻戦車

by タンクダンク
                        
1/35 レオパルド2 タミヤ  リモコン戦車
 

左右とも バンダイ 1/24 M60A1 リモコン戦車
 

 先月は 動いてこそ戦車ということで、モーターライズリモコン戦車の魅力がテーマだったが、今月は 「モーターライズで砲塔旋廻をぶちかまそう」というお題である。

■ 1/35 キングタイガー MM 砲塔旋廻
  もう10年以上前のことであるが、1990年代半ばの静岡の合同作品展で 私が所属するクラブ展示の中で1/35キングタイガー大ジオラマというテーマがあった。 ヨーロッパの街角を再現し、そこにキングタイガーを10台くらい置きましょうという大企画だった。
 
 その中に、私の担当で出品したのは、”人寄せパンダ役”。人は”光モノ”か”動きモノ”に強く反応する性質がある。タミヤ1/35の3色迷彩のキングタイガーの砲塔が 電動で右に左に旋廻する。 すなわち 散髪屋の看板と似たようなものだ。
 タミヤの垂直ギアセットを組み込み、タイマーICとリードリレーを使った回路で モーターの回転方向を10秒ごとに切り替える簡単なものだ。もし、私が中学生の時だったら、「模型とラジオ」を参考に回転カムスイッチでモーター逆転をさせていたに違いないが。いずれにしても、自称エンジニアの私にとっては 赤子をひねるようなもの?であった。
 
 もちろん、キングタイガーはミリタリーミニチュアなので走行ギアはないから 前後には動かない。砲塔だけがグルングルンと一日中、左右に首を振っているだけである。
 それでも そのジオラマを見る子供たちは目を輝かせ、くぎ付けになっていた。  一緒に来た家族に「ワーオ、戦車のプラモデルって動くんだね、すごいね。」と キャーキャー話していた。
 
 えーと君たち、いいかい、「昔」は 戦車のプラモデルは、モーターで動くのが当たり前だったんだよ。
しかし、時代はいつのまにか動かないものになっていったのである。 ましてや、1/35で砲塔が左右に旋廻する戦車モデルなど子供達は見たこともないわけだ。子供達にとっては、身近ですごい技術を見たようなものだったのか、すごく喜んでくれた。

 その時、私は 自称エンジニアとして複雑な気持ちに陥った。身近な技術の退化を痛切に感じ、逆の意味でショックだったのだ。

 私の息子は1980年代生まれだが、中学くらいの時に、テレビでアポロの記録映像の一部を 何かの特番でたまたま見ていて、「昔は本当に月にロケットで人が行ったんだね。人が月に降りるなんて ガンダムの中の想像の話だけかと思った。」と私に話しかけたことがある。 この 「昔は」という言葉が面白い。
A long long time ago,at far space.... というのは スターウオーズの決まり文句であるが、その感覚である。
 息子が生まれてから もう30年近く経つが その間ずっと、月に人が行ったことは無い。息子がおじいちゃんになるまでにあるだろうか? 月に人が行くことなど、SWと同じ夢物語になってしまったようである。
タミヤMM 1/35 キングタイガー の砲塔にモーターとギアを仕込み、砲塔旋廻に改造
モデルはMMで 別売りプラキャタピラ使用。 下回りは全く動かず、走行はできない



砲塔旋廻用に使った タミヤの垂直ギアセット


タミヤ別売りの3chリモコン、先端は2個の4pコネクターに変更している。

 私が幼少の頃は モノはあふれてはいなかったが、モノは売られていて、買うことができた。日本は今よりも 確実に豊かで、技術は着実に進歩していった。 
 小学校の横の文具屋では モーターもギアもプラモも、当たり前に売っていた。どの街の商店街にも電子部品屋があり、「模型とラジオ」に掲載されていたラジオや電動模型に使う 可変抵抗やスイッチ、トランジスタなどの部品は ほぼ手に入った。ちょっと器用であれば 電動で動く模型など自分で簡単に作れたのだ。
 今はそんなことを望むのは ちょいと難しい。 だいいち、モノが売られていないのだ。大体にして、プラモを売っている店は小中学校の横には無く、私の住む神奈川県でさえも、遠くの横浜か本厚木まで電車か車で一時間以上かけて行かないと買えなくなった。
 また、街の商店街には電子部品屋など まず見かけなくなった。 今では、モーターやリレー、可変抵抗、ディスクリート部品など たとえ、秋葉原まで行っても、探すのが大変なのだ。

 というわけで、長い長い前置きになってしまったが、今月 取り上げるリモコン戦車プラモデルも 既に 絶版になって世の中では 売られていないので、読者の皆様には大変心苦しいのであるが、技術が今よりも進歩していた昔を振り返って、「リモコン戦車プラモデルに電動の砲塔旋廻を組み込む」というテーマで始めさせてもらいたいと思う。

1/35 レオパルド2 タミヤ 3chリモコン 砲塔旋廻 改造モデル (リモコンゲパルトから下回りを流用) 



■ 1/35 レオパルド2 タミヤ砲塔旋廻3chリモコン 
 まずは、芸が無いが、簡単なところから。
写真上の1/35 レオパルド2は 80年代に発売されていたタミヤの砲塔旋廻3chリモコン・ゲパルト(写真右)の下回りを移植したものだ。 
 砲塔内には1.2mmのプラ板で作ったベースを接着しておき、そこに 回転ギアをネジで取り付けるのだが、車体下部のギア部との中心あわせがポイント。ここさえうまく調整できれば、快調に砲塔を旋廻することができる。
 動きは、回転軸がギアで直結のため、モーターの起動で 砲塔がカクッと回りだし、モーターを止めるとカクッと止まるのが、ご愛嬌。本当は、ゆっくりと起動し、ウイーンと廻りだして欲しいのだが。、
 リモコンボックスはタミヤの工作用3chリモコンボックス(まだ売られている)の先端を4pミニコネクター2個に変更している。1個のコネクターは前後進モーター用、もう一個が砲塔旋廻モーター用である。コネクターで分離できるようにしておくと、戦車だけを飾って保管できるので、具合がいい。

 何もない中空に高射砲を虚しく廻すゲパルトよりも、仮想敵に向かって 砲塔の105mm砲をブンブン振り回すレオパルド2の方が格好いいのは当然である。 現在も3chリモコンで完動で 軽快に前後左右に動き、砲塔旋廻できるすぐれもので実感満点。時々、取り出しては 気持ちよく遊んでおります。
  リモコン版 ゲパルト(1/35 タミヤ 現在は絶版) 
車体下部をレオパルドに譲り、今はドンガラに


車体下部の砲塔旋廻ギアユニット (ゲパルトのもの)
砲塔内部にプラ板を貼り、回転ギアを2個のネジで取り付ける


■バンダイ 1/24 M60A1 リモコン戦車 砲塔旋廻 改造
 こちらは 2年ほど前に 本格的に改造したもの。
たまたま映画の帰りに歩いた海老名のショッピングセンターで、バンダイの 1/24 M60 2chリモコン版の売れ残りを見つけた。それを砲塔旋廻にしたくなり、タミヤ工作用垂直ギアセットを組み込んだ。
 全長40cmと大きく、砲塔下のスペースも広いため、工作がし易かった。 ディテールは スケールモデルとしては、物足りないが、可動モデルとしては、十分の出来だと思う。何よりも、転輪にスプリングが仕込まれていて、段差越えなど 実感にあふれる動きをするのが、魅力だ。

 砲塔旋廻は最初はタミヤのゲパルトのギアのようなものを考えたが、砲塔と回転ギアの中心軸あわせの精度が必要で工作が複雑になりすぎ すぐ放棄。 もう少し、「遊び」を増やして簡単に工作出来ないか、しばし考えた末、今回紹介するような構造になった。
 砲塔の内部にはプラ板で 写真のような隙間つきの回転用しかけを作る。隙間は回転ギアのアームの3mmネジが入るので、1cmぐらいでいいだろう。この機構ならば、隙間が遊びとなり、多少 砲塔回転ギアの中心軸が砲塔中心とずれても、また、回転軸が垂直でなくても 確実に旋廻することができる。 我々の工作には精度が望めないから このぐらいの「遊び」が必要なのだ。
 
 動作は リモコンボックスの砲塔旋廻スイッチを倒してからタイムラグがあり、しばらくして砲塔の旋廻が始まる。また、旋廻スイッチを切った後も、イナーシャーですぐ旋廻が止まらない。
ウイーン、ウイーンと実感満点に旋廻する。 いい感じである。

 (来月は、いよいよ ドンガラに別売り走行ギアを組み込み リモコン化にトライ)


バンダイ M60A1 1/24
転輪スプリングで段差越えは実感のある動きをする 



砲塔内に2枚のプラ板で回転用のしかけを作る。
プラ板の隙間は遊びになるので1cmくらいが適当だろう
垂直ギア工作セットの先端は、アームのネジがプラ板の隙間にはいる。

タミヤの4chリモコンとはコネクターで結合させる
上から砲塔旋廻用のギアを見たところ。
車体内部に木片と ホットメルトで強引に固定している。

バンダイ M60A1  1/24




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 Vol.2 2009 Mar.      www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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