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連載 48JET傑作機 50選 (第5回)
F9F-2P パンサー  (トランペッター 1/48)

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi           / 

 第5回目で取り上げるのは トランペッター 1/48 F9F-2P パンサーです。先に発売された戦闘機F9F-2にデカールとパーツを追加して写真偵察機バージョンとして発売されたものです。

「F9F-2P 黒豹 戦闘偵察機」というのが、メーカーの設定です。箱絵には 朝鮮半島上を飛行する VC-62機が精緻なタッチで描かれています。翼端タンクにはフック船長のかぎ手のようなものをつけ、乗降ステップを下ろし、着艦フックも展開状態で これから正に着艦する所でしょうか? それにしては 高度が高すぎるし、空母がいる場所にしては 沿岸に近すぎる。ウーム不思議な設定です。
   箱絵
  [実機について]
 F9F-2パンサーは朝鮮戦争で活躍した米海軍の直線翼のジェット戦闘機です。一方米海軍は写真偵察機については、朝鮮戦争が勃発した1950年当時、レシプロ偵察機しか装備しておらず、低速のため 初陣でF-4U-4Pコルセアが撃墜されたのを初め、被害が増大し続けました。 このため、急遽、F9F-2パンサーをアラメダの海軍施設内で写真偵察機に改造して、50年10月から実戦投入されたのが、F9F-2Pです。
改造内容は 機首の 20mmGUN兵装の撤去。その代わりにノーズコーンにバラストと垂直用カメラ1基、斜め写真用1基を左側に装備しました。

改造機数は30機以上で、VC-61,VC-62に配備され、空母プリンストンのVC-61 分遣隊の3機のF9F-2Pが10月からさっそく実戦に参加しています。
ただ、カメラの性能から 実戦では目標上空高度5000ft以下、速度150~200ktという低空低速飛行を余儀無くされ、せっかくのジェット機の速度を生かせず、対空砲火でかなりの機数が撃墜されてしまっています。 偵察機は、濃密な対空放火のど真ん中に単機でつっこんでいくのですから、タフなミッションであったことは確かであります。




[トランペッターのパンサー]

 トランペッターの1/48パンサーは、全面にスジボリパネルラインと 画一的ながら凹リベットが彫刻されています。
 形状は先輩のモノグラムを参考にしたようで、翼断面などもそれなりに仕上がっています。フラップが別パーツで可動状態も選べるのは親切です。主翼は折りたたみ状態も再現できるように、分割され、折りたたみ断面パーツがついていますので、作例は折りたたみ状態としてみました。
 偵察型用のパーツとしては PP(VC-61)とUA(VC-62)のデカールと、窓つきノーズコーンと窓パーツが付属しています。残念ながら カメラの部品まではないので、偵察窓の中はがらんどうです。 カメラを自作するのも面倒だし、どっちみちノーズコーンの中には錘を仕込まなければならないので、作例では窓ガラス内側を黒く塗ってしまっています。
 
 さて、キットを組みたててみて 感じるのですが、中国製プラモデルの最大の弱みは ITによる金型設計は得意なのだが、残念ながら飛行機をさわったことも見たこともない人間が 商品設計をしているようだということで、そのため、理解不足からくる「ウッソー」という箇所がいくつか見られます。
 
 
 (その1)ま箱絵、翼端燃料タンクの先端になにやら曲がった管のような不思議なモノが付いています。実機はタンク先端に小さい孔が開いているだけです。離陸するまではそこに安全ピンが差し込まれていてタグがヒラヒラしています。おそらく、整備用のタンクひっかけ金具かなにかをピトー管かなにかと勘違いしたのだと思いますが、謎であります。ご存知の方がおられましたら、ご教示ください。

(その2) カラー図には偵察機の主翼下に爆弾が8発装備されて書かれていますが、偵察型に爆装されることは ありませんでした。虎の子の偵察機ですから、実戦では写真を撮ったら一目散に逃げ帰っていたのであります。
 戦闘機と写真偵察機の違いが何であるか おそらく わかっていなかったのでありましょう。しかしそういえば、箱絵には戦闘偵察機と書かれていますから、企画者が そのようにマジに理解したのかもしれません。爆弾とロケット弾はサービスパーツと考えて、また別の機会に使わせていただきましょう。

(付属のカラー図)





[製作上の注意]

  中国製プラモデルはまず、組み立て前に離型剤を洗い流さねばなりません。パッドに濃い台所用洗浄剤を入れて ランナーごと1週間ほど つけて、離型剤をとります。といっても、 なかなか とれるものでもありませんので、耐水ペーパーがけで落とすようにします。透明部品の離型剤は 筆にシンナーをつけて ごしごしやります。


コクピット

計器板用のフィルムとエッチングパーツも付属していて彫刻もこまかく、いい感じの部品がついています。
当時のコクピット内部色インテリアグリーンで塗ってサイドパネルは適当に塗り分けます。

(写真1) コクピット部品 

シート部品は4つに分かれています。座席はシートベルトを板鉛などで追加しておきましょう。

(写真2) シート部品

胴体、翼

塗装 

 胴体はコクピット、前脚庫、ジェットノズル、着艦フックを仕込んで、左右接着します。ノーズコーンのおもりはつり用錘を目いっぱい詰め込んでおけば安心です。機首と胴体の間に若干食い違いがでますので、丁寧に整形しておきましょう。
 また、主翼付け根はエアインテークパーツを胴体側に接着し、隙間の整形をパテで行っておきます。別部品の主翼外翼は爆装用の孔はあける必要はなく、それぞれ上下をしっかり接着し、主翼、尾翼とも後縁が厚いので、できるだけ薄く削るのもお約束です。
 標準塗装はグロスシーブルーです。
グンゼ 1000サーフェーサーで下塗りし、表面を1500番のペーパーで平滑にします。その上にグンゼ71番ミッドナイトブルーに5番ブルーを少し加えて、塗装しました。
翼前縁はマスキングゾルで塗り分けてグンゼのシルバー8番で塗っています。

 脚庫はホワイトもしくは、ジンクロですが、面倒でもエッジをテープでマスキングして塗り分けると仕上がりがきれいです。
また、写真を見ると脚柱はシーブルーの機体が一般的だったようです。ホイルはシルバーとしました。

デカールは薄くて印刷もよく、感心しました。デカールを貼った後は、グロスクリアを保護のために吹いておきます。
 胴体

主翼と尾翼


脚庫の塗り分けにはエッジをテープでマスキングするとよい。


完成

 

 今回は翼折りたたみ状態を再現しました。たまには 翼折りたたみも良いものであります。
 パンサーは後ろ姿もきれいで 50年代の直線翼ジェット機の魅力を再認識しました。 


全体塗装完了 







Vol.7 2009 August.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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