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模型作りの為の電子工作入門 (その1)

by   いえなが    /
 
  <http://ienaga.blog66.fc2.com/>  

 ・はじめに
 模型屋さんに行くとほとんどのお店で電子回路のキット(主にLED等の電飾の回路)が販売されているのを目にします.
しかし,実際に電子回路のキットを組み込んでいる作品というのは,さほど無い様な気がします.

 恐らくは電子回路のキットがあっても自分の作品に使いたいモノが無いと言うのが理由だと思います.

実際,自分も使いたいと思う(要求に見合った)電子回路のキットを模型屋さんで見たことがありません.
 
 そこで,本連載コラムでは自作の模型用電子回路を作るための基礎知識を数回に分けてご紹介します.


・そんなに難しくない?!模型用の電子回路
 電子回路を作ると言うと難しいと思われる方も多いと思います.ですが,模型用の電子回路キットに多いLEDの制御というのは電子工作の世界では「最初の一歩」として扱われることが非常に多いです.
 つまり,電子工作に対して全くの素人でも基礎知識さえ身につければ,市販の電子回路のキットに相当するモノが作れてしまうのです! 
 
 近年は電子工作に使用する部品が非常に安く,個人でも入手しやすくなっています(地方の方でも通販で購入可能です).また,青色LEDの登場から十数年経ち,LEDの種類も豊富になり,模型を電飾で光らせるには最適な時代になってきたと思います(笑).
 更に,模型をやっている人は手先が起用なので,半田付けさえ掴んでしまえばサクサクと電子工作ができてしまします.


・電子工作に必要な工具
 実は模型をやっている人は電子工作に必要な工具をほとんど持っているのです(笑)
電子工作に最低限必要な工具及び計測器は以下の通りです.

 ・半田ゴテ
 ・コテ台
 ・ニッパー
 ・ラジオペンチ
 ・ピンセット
 ・デジタルマルチテスタ

 

 ご覧の通り,半田ゴテ,コテ台とデジタルマルチテスタさえ買えば電子工作に必要な機材がそろってしまいます.
実際,自分も昔から模型をやっていたので楽に工具をそろえることができました.
(工具一式)


・LED点灯の基礎
 さて,前置きが長くなりましたが,実際にLEDを点灯する方法について説明します.
 
Light Emitting Diode(LED)は,簡単に言えば光るダイオード(整流器)です.ダイオードの特性上,片方向にしか電流が流れません.(つまり,電源を逆につなぐと点灯しない.)


 

LEDを点灯させるには順方向電圧以上の電圧をかけ,抵抗で電流を調整する必要があります.
 LED点灯回路は回路図では以下の様になります.

(回路図1)



電源電圧(VDD)からLEDの順方向電圧(VD)をひいた電圧が抵抗にかかります.この抵抗値(R)を調整することによってLEDに流れる電流(ID)を調整することができます.これらは以下の式で表すことができます.

 ID=(VDD-VD)/R

 上記で出てくる「順方向電圧」はLEDによって異なります.この値はお店やLEDの袋に記載されているので,良くチェックしておきましょう.
 LEDに印加される電圧は「順方向電圧」であるため,ほとんど一定です(実際は指数曲線).なので,明るさを調整する場合は,電流IDを変化させる必要があります.
 どのくらいの明るさになるかはモノによって異なるので,実際に抵抗値を調整して試してみるのが良いと思います.

 なお,この際に電流値が絶対最大定格(順方向電圧と同じくお店か袋に記載されています.)を超えないように注意してください.これを超えた状態で使用するとLEDを破壊する可能性があります.



・LEDを点灯させるための電源
 「LED点灯の基礎」で出てきている電源について少し詳しく紹介します.

 電源は大きく分けると電池とコンセントを使用するACアダプタの二種類があります.
 
 電池はお手軽なのですが消耗してしまう為,長時間動作には向きません.
 対して,ACアダプタは電池の様に消耗することはありません.しかし,コンセントを使用しなければならないため場所の制約が発生してしまいます.

 電池を使用するか,電源アダプタを使用するかは,作品の要求に照らし合わせて適宜使い分けるのが良いですね.

 電池を使用する場合は充電式電池「エネループ」をお勧めします.エネループは自己放電が少ないので,他の充電式電池よりも長時間動作させることができます.

 エネループでLEDを点灯させる場合,先に述べた通り,LEDの順方向電圧よりも大きい電圧をかける必要があるので,少なくとも電池を三本(4.5V)使いましょう.個人的には四本使用(6 V)するのをお勧めします.

 ACアダプタでLEDを点灯させる場合は,直流5 VのACアダプタがお勧めです.今回使用しているACアダプタは電流を1 Aまで流すことができるので,最大50個のLEDを点灯させることができます.
(電源)


・実際に点灯してみよう!
 さて,なんだか難しそうな話が続きましたが,実際にやってみるとそんなに難しくはありません.
それを示すために上記の基礎知識を用いて実際にLEDを点灯させてみます.

 *警告*
 配線はショートしないように十分気をつけてください.電池やACアダプタが発熱,発火する危険性があります!


 今回は白色LEDを2個使って使ってカーモデルのヘッドライトにしてみます.
 使用する部品(電池,ACアダプタで使用する部品を両方載せてあります):

 ・超高輝度白色LEDx2(順方向電圧3.2 V 絶対最大定格20 mA)
 ・抵抗x2 (300 Ω)
 ・ACアダプタ(5 V)
 ・電源ジャック(メス,メス各1つ)
 ・トグルスイッチ
 ・単三電池x4 電池ボックス(6 V)
 ・熱収縮チューブ
 ・ビニール線


(使用部品)


白色LEDの順方向電圧が3.2Vで,電源が5 V(ACアダプタ)もしくは6 V(電池ボックス)となるので,大きい方である電池ボックスの電圧を基に抵抗値を決めます.
また,超高輝度LEDなので,絶対最大定格ギリギリの電流を流さないでも十分明るいので,最大定格の半分の10 mA程度流す事にします.
 これらの条件より,以下の式より抵抗値(R)が求まります.

R=(VDD-VD)/ID=(6 V-3.2 V)/10 mA=280Ω
 これで,必要な計算は終わりです(笑).ゴチャゴチャ書いた割に,実際に使うのはこれだけなのです.

280Ωの抵抗が手元に無いので,代用として300 Ωの抵抗を使用しました.抵抗が大きい分にはLEDは壊れないので,ちょうどの値の抵抗が無い場合は大きめモノを選びましょう.

 後は下記の回路図の通りに配線すればLED点灯回路は完成します.

(回路図2)


ここで,注意する点は極性です.LEDは足が長い方を電池もしくはACアダプタの+側に接続する必要があります.

(ダイオード極性)




(ACアダプタの極性)


実際に配線したところを示します.


 (点灯回路)
 これをプラモに組み込めばオリジナルの電飾回路搭載のプラモが完成です!

(ヘッドライト点灯)

今回使用した部品は総額で600円程度です.これだけでも市販のLED電飾キットより安く,明るいモノができます.
簡単な回路ですが,電飾を組み込んで光らせるのは楽しいものです.
 皆さんも是非,ご自分の作品に自作の電飾を組み込んでみてください!


・部品の購入について
 本コラムでご紹介した部品は全て秋葉原でそろいます.また,秋月電子さん や マルツさん の通販サイトでも入手することができるので,「遠方の為,秋葉原で買い物ができない」という方も是非チャレンジしてみてください!
・次回予告
 今回はLED点灯の基礎を紹介しました.次回はセンサに連動して点灯するLED電飾の作り方をご紹介します.

*ご質問,ご要望がある場合は,  <http://ienaga.blog66.fc2.com/>にてご連絡ください.

Vol.9 2009 Oct..        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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