Home > グラビア> Big プラモデルキット作り倒し (第11回)ウェリントン Mk.1C(トランペッター1/72)  

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi      /

Big プラモデルキット作り倒し (第11回) 
ウェリントン Mk.1C    (トランペッター1/72) 
 Vickers-Armstromgs Wellimgton



押入れを占領するプラモデルのBigキットを作り倒し バーンとスペースを空けようというBigな連載コーナー。
1/32と限らず、巨大な箱なら なんでも取り出します。

 デビスモンサンにモスポールされた可哀想なBigキットが再び、皆様のお役に立ちます。
 さて 今回は 竹籠細工のような大圏式構造の胴体骨組みを特徴とする イギリス双発爆撃機 ウェリントン を取り上げてみます。翼幅約30cm弱で、一式陸用攻撃機より少し大きめといったところでしょうか。その昔 エアフィックスから出来栄えもあまりパッとしない1/72があっただけでしたが、近年、トランペッターから1/48キットと、そのスケールダウンである1/72キットが後を追うように発売されました。
 モールドも構成もなかなか良く、一つは押さえておかなければと 飛びついて購入された読者も多いことでしょう。 しかし、そこは大型の爆撃機の事。すぐ作るにはちょっとネーとばかり、安心して 押入れの奥に そんな諸兄も多かったのでは。実は展示会でも完成機をまず見ない地味な機種なのであります。 そんな訳で今回は地味なイギリス双発爆撃機ウェリントンを作ってみました。



実機について

 実機は 1930年代のイギリス双発爆撃機の3羽ガラスと唄われたウエリントン、ハンプデン、ホイットレーの中の一つです。食べ残しの魚の骨のようなハンプデンや、どこから見ても美しいとは言えないホイットレーのような奇怪な形をした機体でなく、比較的素直な形がこのウエリントンといえるでしょう。平面形はわが一式陸上攻撃機とほぼ同じシルエットバランスですが、機首の形がまるで「カバ」のように無骨です。
 ところが、外形のオーソドックスさとは裏腹に 機体の骨組み構造は 一般の貫通桁と楕円枠を使用する構造と違い、軽量かつ頑丈な大圏式構造といわれる大胆な設計構造を採用しています。斜めに組み合わせた構造材で竹籠細工のように編み、そこに外板をかぶせてあるのです。そのため、胴体と主翼にはX形の骨組みが透けて見えます。
  Mk.1は機首と尾部に7.7mmを2丁づつ装備していましたが射程距離が短く、また、側面に武装が無いため、側面からの攻撃に脆く、開戦初期に大きな損害を出していました。幸い機体構造が頑丈で、敵弾による損傷にも強く、なんとか基地に帰りつける機が多く、修理も簡単でした。名機とはいえないまでも、合計 11,461機が生産された大ベストセラー機で、イギリス機としてはハリケーン、スピットファイアに次ぐ大量生産機となりました。
 1938年から43年まで実戦部隊で運用された後、哨戒、偵察機として使われています。Mk.1のエンジンは ハンプデンと同じペガサス18が採用されています。Mk2では液冷のマーリン、更に後期発達型ははたまたダブルワスプなどあらゆるエンジンを積んだ稀有な爆撃機でもありました。
乗員 6名
速度 410km/h
航続距離 3500km




 このトランペッターの1/72キットは 先に発売された1/48キットのスケールダウンキットです。
 最近はCAD設計が普及しているため、スケールダウンで金型を起こすことは、非常に簡単のようです。 
1/48を元にしているため、スタイルも破綻がなく、モールドも部品構成もなかなか組み立てやすくなっています。
魅力的なのが、胴体側面と、翼の表面彫刻。大圏式の骨組みが透けてみえるようなデコボコが強調された表面仕上げです。これだけでも かなり価値があるのではないかと思います。

製作

 コクピットは 床と壁隔、3人分の座席があるのですが、不思議な構成です。
 操縦ハンドルとフットペダルが主パイロットと副パイロットの2人分並んでいているが、主パイロットシートしかありません。副パイロットのシートはどこへいったの? その副操縦席部分には機首銃座への通路?のつもりなのか穴が開いております。
 訳がわからず、とりあえず無視して作ってあります。
 シートは肘掛も着いていますので、シートベルトを板鉛を細く切って追加しておきました。
 
 胴体中央床は爆弾層も兼ねるような構成です。中央床の後部にトイレ以外には見えない部品がついていて、その凝り様には苦笑させられます。
 胴体内部および爆弾層はキットの塗装指示ではシルバーとされていますが、完全に無視して、 Mr.カラー特色364 グレーグリーンで塗装しています。
 胴体内に各種パネルやボンベなどをそれらしく塗って取り付けておきます。もっとも 完成すると、外からは見えません。
 機首と尾部の動力銃座は可動に組み立てる場合は、胴体左右接着前に銃座を完成させて組み込まなければなりません。  それでは後々、大変なので、可動をさらっとあきらめ、最後に銃座を組み込むようにしました。銃座を回して遊ぶ訳でもありませんので。
キットの組み立て説明書はあっちこっち飛んで非常に理解しにくいのですが、とにかく胴体だけに集中して作ってしまいましょう。大型機ですので、主翼の重みで胴体の割れが生じるやすいので、しっかりと左右接着した後、瞬間接着剤で補強しておくとよいでしょう。
 
 双発機でいつも問題になる主翼の主脚部は脚収容部をユニットにして組むように設計が工夫されていますが、これはこれで一つの解だと思います。ただ組み立て易いとは言えないので、もう一工夫が望まれる所ではあります。
 主翼はエルロンが可動ですが、あまり意味がないので、固定しました。主翼と胴体の接着は補強部品が入っていて強固に結合できるようになっています。
 エンジンとカウリングは主翼を説明書の指示を無視して、胴体に接合後、前から垂直に見えるように最後に組むほうがいいでしょう。そうしないと主翼には上半角がついていますので、左右のエンジンが不ぞろいの角度がついていたりして、後で泣きを見る羽目に。



塗装
 塗装は筆塗りにすることにしました。
上面はグンゼ特色イギリス機SETの中のダークブラウンと 特色No331のダークグリーンを使っています。雲形迷彩の境目のぼかしは2色を混合して面相筆でなぞってぼかしています。
 ダークブラウンとダークグリーンは通常色にも昔からありますが、色気が発売当初から違うまま40年過ぎさっています。小生はというと発売当初に1度買っただけで、それ以後使ったことがありません。特色セットで発売しているわけですから、通常色も使えない色を売り続けずに、ぜひ改定してもらいたいものです。そうすればこの2色の売り上げも上がると思うのですが 皆様 いかがお考えになるでしょうか。

 下面はつやけし黒にダークグレーを混ぜて、ナイト風にして塗装してみました。ヘコミの底とエッジで色に差をつけてデコボコを視覚的に強調してみました。で、効果はというと ?であります。
 
 
カウリング先端の排気集合部外側は銅色。排気管は焼け鉄色を作り塗った後、パステルなどでそれらしく汚しておきました。

 さて、ここで、スミイレを油彩で行いますが、爆弾槽内は撮影時は未完成状態。後日、爆弾を他キットから流用してきて装備するつもりでいます。

 デカールは印刷も良いものでしたが、胴体コードレターが白となっています。コードレターが灰色の機体を作りたい場合は、自分でバンバンするなど工夫する必要があります。

 胴体の透明窓を接着する前に 斜めの胴体枠を内部色で塗るのをお忘れになりませんように。
この部分ですが、胴体外面色の黒で塗るというのも有りです。そうすると かなりにシックな(地味な)仕上がりになります。


 胴体上下のアンテナ、可動翼のマスバランス、翼下面サーチライトなどを丁寧にとりつけてゆきます。
プロペラとスピンナーは黒。
爆弾槽扉は出撃前状態としてはずしてありますが、取り付けてもいいでしょう。
完成してみると ジョンブルの無骨さ丸出しの個性的な仕上がりになりました。直線と曲線が入り混じった不思議な形状であります。 ダムバスターと共通するイギリスらしさが醸し出されています。蛇の目機の魅力に嵌るとなかなか抜け出せないとか。
なるほどと うなずけます。

 

Home > グラビア> Big プラモデルキット作り倒し (第11回)ウェリントン Mk.1C(トランペッター1/72)

Vol.11 2009 Dec.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

製作記事

TOTAL PAGE