実機は 1930年代のイギリス双発爆撃機の3羽ガラスと唄われたウエリントン、ハンプデン、ホイットレーの中の一つです。食べ残しの魚の骨のようなハンプデンや、どこから見ても美しいとは言えないホイットレーのような奇怪な形をした機体でなく、比較的素直な形がこのウエリントンといえるでしょう。平面形はわが一式陸上攻撃機とほぼ同じシルエットバランスですが、機首の形がまるで「カバ」のように無骨です。
ところが、外形のオーソドックスさとは裏腹に 機体の骨組み構造は 一般の貫通桁と楕円枠を使用する構造と違い、軽量かつ頑丈な大圏式構造といわれる大胆な設計構造を採用しています。斜めに組み合わせた構造材で竹籠細工のように編み、そこに外板をかぶせてあるのです。そのため、胴体と主翼にはX形の骨組みが透けて見えます。 |
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Mk.1は機首と尾部に7.7mmを2丁づつ装備していましたが射程距離が短く、また、側面に武装が無いため、側面からの攻撃に脆く、開戦初期に大きな損害を出していました。幸い機体構造が頑丈で、敵弾による損傷にも強く、なんとか基地に帰りつける機が多く、修理も簡単でした。名機とはいえないまでも、合計 11,461機が生産された大ベストセラー機で、イギリス機としてはハリケーン、スピットファイアに次ぐ大量生産機となりました。
1938年から43年まで実戦部隊で運用された後、哨戒、偵察機として使われています。Mk.1のエンジンは ハンプデンと同じペガサス18が採用されています。Mk2では液冷のマーリン、更に後期発達型ははたまたダブルワスプなどあらゆるエンジンを積んだ稀有な爆撃機でもありました。
乗員 6名
速度 410km/h
航続距離 3500km |