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Big プラモデルキット作り倒し (第13回) 
T-34 (タミヤ 1/25)  

by  田口 博通 
押入れを占領するプラモデルのBigキットを作り倒し バーンとスペースを空けようというBigな連載コーナー。
1/32と限らず、巨大な箱なら なんでも取り出します。
 
 デビスモンサンにモスポールされた可哀想なBigキットが再び、皆様のお役に立ちます。
 1月下旬 タミヤから 1/25戦車シリーズのT-34が再販になりました。今回の再販では丸太パーツもサービスでついているようで、お買いになった方も多いと思います。
 このT=34キットはの最初の発売は1969年ですから、40年前ということになります。まだ実地調査そのものが珍しかったの当時、イギリスのボービントン戦車博物館の保存車両などを実地調査し、設計されています。 発売当初は前誘導輪駆動のリモコンモーターライズだったのですが、1990年代くらいから、モーターライズが省かれ、MMとして外形だけのモデルとなっています。
 1/25はさすがに大型、全長が30cm近くあります。タミヤ得意の梨地肌のつやけし表面仕上げで、大型キットのため、鋳物の表面削り跡や、溶接ラインも克明に再現されています。また、前面機銃はコイルスプリングを使用して可動式になっています。キャタピラは連結式ポリ製で2種類を交互に組み合わせて、実感が高いものになっています。
 以前に買い求めたものの、もったいなくて作れず、押入れの隅に大事に保管していたモデラーも多いことでしょう。私もその一人でしたが、今回は再販にもなったことだし、安心して 引っ張り出してきて製作してみました。完成しますと 満足感にひたれることは確実。あなたも一台お仲間に。


実車について


 T-34 は1941年登場当初 76mmを装備した優れた中戦車でしたが、砲塔が小さく、二人砲塔だったため、車長が砲手も兼ねており、照準にかかりきりになれなかったため、実戦ではドイツ軍戦車に遅れをとることが多かったようです。
 更にドイツ軍がより強力な88mm砲タイガーⅠを実戦投入したため、対抗して長大な85mm戦車砲に積み替えると同時に砲塔を大きくして3人砲塔としたのが、T-34/85です。これにより乗員は5名となりました。
 T-34/85は T-54,55の登場までソ連だけでなく、チェコ、ポーランドでも生産され、ワルシャワ条約機構の戦力となりました。輸出されたT-34/85は 朝鮮戦争でアメリカのM-24チャーフィー軽戦車を圧倒し、M4シャーマンと互角の戦いをしています。中東戦争から最近のコソボ紛争まで、未だ現役として働いている息の長い傑作戦車である。T-34シリーズ全体の生産台数は2次大戦戦後も含め、51,698台とされており、戦車の生産台数としては世界一です。 

組み立て

 車体下部の組み立て
転輪はトーションバー式になっていて コイルスプリングを組み込むようになっています。せっかくですから これを生かしたいもの。アーム軸D1にスプリングをはめ込む時は説明図のように軸のミゾが車体底面と直角になった状態でスプリングをはめ込み、それからアームを90度回転させて、アームの内側ガイドを車体にさしこみます。その後、キャップE1で固定します。
車体上部の組み立て
現代では当たり前になっていますが、ドライバーズハッチは内側まで再現されており、今の精密キットのハシリだったようです。アクセサリーパーツを取り付けてゆきますが、手すりは1mm径金属線で自作しました。


 エンジンルームカバーB9、B15,B16は別体になっています。このまま製作しましたが、やる気のある方は金網部分を切り取り、下から細かい金網を張るように改造すれば実感が増します。 エキゾーストパイプは 結構肉厚です。実車はもう少し肉が薄く先が上方に曲がっています。
筆者は戦車は専門ではないため、このまま作っていますが、太い金属パイプを入手できる方は修正されるとかなり見栄えがよくなります。



 タンク、工具箱といったアクセサリーパーツもよく出来ていますので、丁寧に作っていけば大丈夫です。 キャタピラは説明書には33組と書かれていますが、それはモーターライズの時の指定です。MMですので、現物あわせでたるみ具合をみながらもう一組追加してもいいでしょう。



誘導輪中心高さはボービントンの実車を参考にしている。
説明書のイスラエル国防博物館のT-34/85の写真では もっと高い位置につけなおされている。


砲塔のモールドも鋳造肌が再現されていて、魅力的。

塗装

 キットの表面テクスチャーは結構混ざっていますので、全面をタミヤの溶きパテでコーティングして 荒らしました。
Mrカラー42マホガニーに黒を混ぜて、つや消しを強くしたものを筆で隅々まで塗り、下塗りとしました。
 上塗りはMrカラー特色ロシア色No2を吹きつけています。
油彩でウオッシングし、タミヤエナメルのサンドやバフでドライブラシ、サビを赤茶系のエナメルで所どころ書き込んでみました。
 転輪のゴム部は手持ちの塗料をあさったところ、ドイツコクピット色のMrカラーNo.116ブラックグレーがよさそうだったので、つや消しを強くして使ってみました。
コマンダーはフィギュアの塗装が得意ではないので、省略させていただきました。
デカールは表面が梨地なので、なじみにくく、マークソフターを使いますが、どうしても気泡が抜けづらく、白く光ってしまいました。

完成

 完成しますと、さすがにインパクトのある大きさです。
作ったもの勝ちという所でしょう。
 1/35モデルではプラモデルの価値を計る尺度が商業雑誌などではディテールの細かさだけで、エッチングパーツをどれだけ大名使いしたかなどが持て囃される傾向があります。
 しかし、こうやって1/25を実際に作ってみますと、1/25という大型モデルでは精密ディテールという軸とは別の尺度があるように感じます。タイガー、パンサー、チーフテンなど 1/25でもいくつか過去に発売されていて 飛行機モデラーの筆者も押入れに大事にしまってありますので、今後も機会を見て、作ってみたいと思います。



 

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Vol.15 2010 Mar.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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