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懐かしのB級キット(第2回)
YAK-9D (ニチモ 1/65)

by 田口博通 
  玩具から始まったプラモデルが ギミック路線か、それとも 全く動かないけれども精密なモデルの方向に行くか メーカーによって多様性に溢れていたのが 1960年台でした。
 当時から、精密というには?がつくけれども ギミックが面白いプラモデルを日本メーカーが多く発売していました。エルロン、方向舵可動は当たり前、というか それが当たり前のトレンドの時代だったともいえます。学校前の文具店でプラモデルが売られていることも多く、箱絵が魅力的でショーウインドーに釘付けになり、学校帰りに店の前の道路で座り込んで、プラモを作った経験のある読者も多いはず。小学生の遊びの一部として当たり前にプラモデルがあり、今からは想像も出来ないプラモ黄金時代だったと思います。

 
 金型精度が追いつかず、可動部がガタガタで、細かいディテールは?が二つくらいつくが、デッサンはなんとなく実機の雰囲気を再現しているという今でも捨てがたいキットが多くありました。既に絶版になっているものが多いのですが、幸い、その中には今でも生き残って現役のプラモキットもあります。
このシリーズは そんな 懐かしいB級キットを取り上げて行こうという連載です。形状とか デイテールを求めるならば、後発の決定版を購入すればいいわけで、ディテールの修正などをせず、オリジナルの雰囲気を壊さず、完成を目指したいと思います。

 

 第2回目は ニチ モの1/65 シリーズから YAK-9Dです。
エルロンとラダーが可動で、発売当時としてはシンプルな構成でした。残念ながら絶版となっていますが、一時期 YAK-9Dというと このニチモとエアフィックスの更に古いキットしかなく、非常に貴重なキットだったのでした。
 最近、プラモショーなどでニチモから「蔵出しお宝キット」ということで、倉庫に残っていたキットを時々放出しているようですので、ひょっとしたら またどこかで再会できるかもしれません。 今回は 押入れに大切に保存してあったキットを製作しています。





 箱絵は ミハイルV.グリーブ中尉機となっており、ラダーとスピンナーがイエローでグリーンとブラウンの2色迷彩です。今月発売された世界の傑作機No.138 の94ページ,112ページにズバリの写真が掲載されています。同12ページのカラー図ではグレー2色の迷彩で、ラダーとスピンナーもグレーとされています。
 一方、プロファイルでは ラダー、スピンナーが赤、グリーン、ブラウンの2色迷彩となっています。今回の製作では、派手なプロファイル説を採用しています。
    
               箱絵
 説明書 
1枚片面で塗装図と実機解説も付属しており、シンプルながら、プラモ少年には親切なものでした。

製作

  キットは細かいディテールはなく、凸リベットラインが全面にモールドされております。しかし、実機は木製と金属の混合材料機なのでした。といっても、さすが、ニチモ。全体の形は破綻無く、良く出ていると思います。コクピット内が何も無いに等しいので、シートと頭当てをプラ板で自作し、シートベルトをつけておきました。これだけでも 多少精密に見えます。コクピット内は適当にダークグレーで塗って完了です。
エルロンとラダーは 私の工作技術ではいかんともしがたく、涙を飲んで固定しました。胴体と、主翼を組み立てれば、主要部分は完成です。


  主翼と胴体下面のエアインテークは ナイフで広げ整形しておきます。
主脚が心もとなかったので、主脚カバーを主翼下面にイモ付けして強度を稼いでいます。


塗装

下面はライトグレー。上面はブラウンとグリーン系の迷彩としました。適当にプロファイルのカラー図に似たMrカラーから選んでみました。
 マーキングは寄る年波でデカールが使えなかったため、手書きしました。
機首の金と赤星のマークも適当に書いています。それなりに見えるでしょうか。
スピンナーとラダーは赤つやけし。
脚注はシルバー。プロペラはブラックとしています。
エアインテーク内はつやけしブラックを塗りこみました。
 翼端灯は細筆で入れましたが、実機の写真をよく見ると、ガラスには色がついておらず、内部の電球に赤と青の色がついているようです。よってシルバーで塗っておいてもよかったようです。
ピトー管はシンチュウパイプと0.3mm洋白線の組み合わせ。アンテナ柱は金属線で自作しました。スピンナー先には20mm機銃を0.5mmシンチュウパイプで付け替えましたが、一段とカッコよくなった気がしました。B級キットの楽しみ方には こういう自己満足もあってもいいと思います。

完成

  風防の透明度もよく、横からのスタイルもしっかりとしているのがわかります。ラダーと胴体に隙間ができましたが、ご愛嬌ということでお許し下さい。
オリジナルの雰囲気を大切にするため、外形には一切手を加えていませんが、なかなかのスタイルだと思いませんか。
 また B級コレクションに一機加わりました。
 おつきあいいただき ありがとうございました。






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Vol.16 2010 Apr.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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