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連載 ソ連戦車 No.10
SU-85   (タミヤ 1/35) 

                                                     by タンクダンク
  この連載は ソビエトの戦車を 毎月1機種ずつ、楽に作れるキットを選び、できるだけストレートに製作して 12台コレクションしてみましょう!というコーナーです。  第10回目 は タミヤから 久々に再発売されたばかりの SU-85です。
 次回の再発売は いつになるか わからないので もし、店頭で見かければ ぜひ,この機会に GETしてみてください。



タミヤのキットについて

  タミヤのSU-85は ミリタリーシリーズNo.72として、名キットT-34の 足回りを流用し、車体上部と 前部部品を 新規に起こしたものである。同じバリエーションで SU-122がキット化されており、今回 このSU-85と共に 再発売になっている。
 同時期に、ウエザリングセットと抱き合わせで 復刻版が発売されたSU-100の方はというと、更に大昔のキットで、金型も違っている。記念碑的な珍品という意味で 入手しておいてもいいかもしれない。
 正確なSU-100が欲しい方には 海外メーカーから発売されたものがあるので、そちらがおすすめだ。
 
この SU-85はモールドも合いもよく、ストレートに組み立てても実感満点。前面装甲部の ゴツゴツした感じが よく表現されている。胴体後部と 車体下部転輪などは 傑作T-34と同一のもので、スムーズに何のストレスもなく組みあがる。 今回も手すりを自作した以外は素組みだが、一日で無骨だが魅力的な形になった。
 85mm砲と前面部品
車体上部部品 (SU-122と共通)

素組。とにかく 細かい部品を 全部接着してしまい、形にするのに丸1日程度。
形にすると塗装しなくとも、それなりの満足感がある。プラモの製作に どっぷり浸れる楽しい時間を すごすことができた。


実車について

 1942年から T-34のシャーシーに122mm,85mm,100mm砲を搭載した ソ連流の突撃砲戦車が計画された。
最初に登場したのが、122mm榴弾砲を搭載した SU-122と呼ばれる自走砲で、1943年夏のクルスクの戦いに 登場している。

一方 長砲身85mm砲である D-5S-85Aを搭載したSU-85は1943年12月、キエフでデビューし、パンサー、タイガーと砲を交えることになった。この85mm砲は 距離1000mで100mmの装甲板を貫通する威力があり、強力な対戦車兵器となった。
100mm砲搭載の SU-100は 1944年中盤に登場し 活躍しており、SU-85,SU-100とも 対戦車兵器に特化し、ドイツ戦車相手に 死力を尽くして戦ったのだった。

製作

車体

 車体下部と転輪、駆動輪などは T-34シリーズ共通で、丁寧に 転輪などパーティングラインを消しておくだけで 特に問題なく組みあがる。
 車体上部は 説明書の順と違い、まず、天板(D29)と前面装甲板(D28)を 上部部品に しっかり接着して 砲塔の形を作ってしまうと歪まなく製作できると思う。
 ドライバーズハッチや 上部ハッチを開けても 中はがらんどうなので、今回は閉めて製作した。
 小物部品を取り付け、手すりを 金属線で取り替えた。プラ製の部品も 細くて良い出来ではある。しかし、プラは強度が弱く、完成後にすぐ折れてしまい、補修に手間が逆にかかる。
 それで、手すりだけは いつも 金属線で取り替えるようにしている。金属線は 模型店で売っている 0.5mm~1mmくらいの径の シンチュウ線か、洋白線を使っている。製作法は 下のようにしているが、思ったよりも簡単にできるので、おすすめの付加工作である。
 付属しているキャタピラは 樹脂製のものだが、材質が塗装可能なものに変更されている?ようで Mrカラーで塗装しても、まだ剥げ落ちていない。
転輪と車体下部

 今回の手すりには 洋白線を使った。
ピンバイスで穴を開けておき、片側を曲げた線を差し込んで、現物あわせで長さをマジックインキでマークし、もう片側を先細ペンチで曲げると簡単にできる。


手すりと車体との間隔はプラ板や適当な金属片(写真はヤスリ)をさしこんで、調整して、瞬間で接着するとよい。

塗装

下塗り

 タミヤパテをグンゼシンナーで固めに溶き、溶きパテを作り、全面に塗っている。半乾きの時に、筆の先でつついて少し荒らして、ロシア戦車らしい鉄肌のガサガサの荒れを表現している。
   その後、薄めたつやけしのマホガニーで全体を塗って影付けを行う。細めの筆で車体下部も筆をつっこんでしっかりと隅まで塗っておく。
本塗装のグリーンをエアブラシしても、塗料が入らない場所には、このマホガニーが影の色として残るわけである。

上塗り塗装

車体塗装は、キット説明書の指定通り、ロシア標準のグリーン塗装とした。上塗りの塗料には グンゼ特色のロシアングリーン2を使い、エアブラシで下塗りのこげ茶がスミに残るように吹いていった。
 





ウエザリング

 ウォッシングには濃茶色のローアンバー(油彩)を薄くペトロールで溶いて 全体に筆で塗り、半乾燥の時に、ボロ布などで拭き取る。
隅に流れ込んだ濃茶色が残り、更に立体感が強調される。

 
 ドライブラシは ウォッシングの油彩がしっかり乾いてから タミヤエナメルのバフで軽くドライブラシしている。
エナメルのダークグリーンとバフを加えたもので、徐々に明度を上げていく方法もあり、各自のセンスと時間のかけ方におまかせしよう。

濃茶色のローアンバー(油彩)を薄くペトロールで溶いて筆で塗り、ぼろ布で拭き取り、ウォッシング




細部塗装

 サビヨゴレは タミヤエナメルのハルレッドとブラウンで適当に各部に書き込んでみた。スコップや予備キャタピラは黒銀で塗った後、ハルレッドなどでサビを書き込んでいる。
キャタピラは毎度同じ方法で、マホガニーに黒を混ぜて筆でぬりたくり、見える部分に 黒を加えた銀でごく軽くドライブラシをしている。
 



完成

 砲塔基部が洗練され、無骨な中にも スマートさを感じる。長砲身の85mm砲が意外と細く感じられるのは、車体がごついせいかもしれない。ソビエトAFVらしい SU-85である。


重厚な前部装甲板


後部


全体形




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Vol.17 2010 May.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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