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Big プラモデルキット作り倒し (第14回) 
連山 (ハセガワ 1/72) その2 塗装編 

by   田口 博通  


 押入れを占領するプラモデルのBigキットを作り倒し バーンとスペースを空けようというBigな連載コーナー。
1/32と限らず、巨大な箱なら なんでも取り出します。

 デビスモンサンにモスポールされた可哀想なBigキットが再び、皆様のお役に立ちます。
 5月号ではハセガワの連山の組み立てまでを行いましたが、今回は塗装編です。

下面塗装から入り、上面塗装、ウエザリング、手書きマーキングへと続きます。
塗料には全てMr.カラーを使っています。




塗装

 下塗り

 塗装の前にもう一度、消えたリベット、パネルラインをチェックし、消えた場所をカルコやカッターナイフなどで再現しておきます。これはこれで楽しい作業です。
 下塗りの前にほこりと手の油分を取り除くために、台所用のレンジ用ティッシュで全面を一度拭いていますが、結構具合がいいのでお薦めです。
 下塗り前に操縦席、回転機銃座などをティッシュペーパーとマスキングテープを使って丁寧にマスキングします。吹きこぼれができるだけないように、しっかり、境目を爪楊枝などを使って押さえていくといいと思います。万一吹きこぼれがあっても、細筆で修正すればいいので、気楽に行いましょう。
 連山はかなりの大型機ですので、下塗りはMrサフェーサー1000で口径の大きいエアブラシで行っています。当然、サフェーサーは1びんでは足りませんので、あらかじめ模型店で2びんくらい仕入れておくといいでしょう。最近は塗料の値上がりで塗料代もバカになりません。それで、「こってり」では無く、膜厚薄めに吹くようにしております。省資源エコであります。
 とはいっても、快調に吹いている途中で塗料不足で中断し、模型店に走る羽目になるのは、いつものことではありますが。シンナーも大瓶で買っておくと経済的です。

 主翼と胴体の下面

 私の塗装方法ですが、主翼と胴体の下面は まず影付けのために、パネルラインの部分を MrカラーNo116ブラックグレーで塗装します。
その上に下面色である 明灰白色MrカラーNo35で パネルラインの内側にブラックグレーを残しながら、エアブラシで塗装してゆきます。写真のような具合です。
 パネルラインとのコントラストがつきすぎると、わざとらしい感じが残るので、できるだけ自然な感じになるように吹いているつもりなのですが、腕はまだまだ。


胴体上面


 塗装の終わった下面をテープでマスキングします。
タミヤのマスキングテープと全く同じ住友3Mのマスキングテープが18mm幅1巻80円程度で安くホームセンターで売られていますので、6巻入りで買っておくと経済的です。糊残りが無い非常に高品質のものです。
上面との境目はマスキングテープの上に鉛筆で下書きして、カッターナイフで切り取っています。
下の写真は 上面を MrカラーNo.15暗緑色(中島系)で エアブラシで塗装している所です。どこから吹き始めるかは 好みですが、私の場合、たいてい尾翼付近から吹き始め、機首で終わります。かたわらに ヘアードライヤーを置き、乾かしながら、全面を塗装していくのが 私の標準的な姿です。

胴体後部の上下塗り分け線は 一式陸上攻撃機を基に推定。


 主翼は暗緑色にバフを入れて、明るめにした塗料を薄く、パネルラインの上にまだらにエアブラシで吹いて、退色の表現を行っていますが、目立たない程度に上品を心がけています。
 
 写真は 上面塗装が終わり、マスキングテープを取った状態です。ここで、吹きこぼしの部分を発見してアチャーと叫ぶのはいつものことであります。心を落ち着け、はみ出した部分を細筆で丁寧に修正してゆきます。毎度の事ながら、吹きつけ塗装の成功は この修正作業で決まるといっても過言ではありません。
 
 これだけの大型機ですから、塗装のままでは、のっぺらぼうで 表面の情報量に乏しいので、全面にウエザリングを行います。
 そのウエザリングですが、塗装が充分に乾いた後、私の場合、油彩を使っています。ローアンバーの油絵の具をペトロールで薄く溶いて、筆で全面に塗ってゆきます。動翼の筋には濃い目に溶いたものを細筆で置いています。半乾きの状態の時に、ぼろ布にペトロールを薄くつけて、気流の流れを考えながら拭き取ってゆきます。

凸ライン、凸リベットですので、ウエザリングの油彩が気流の後ろ側に影となって残ります。
表面に適当にまだらに残った方が、表情がつくと思います。遠くから実機らしく見えれば 大成功としましょう。

マーキング

 日の丸は デカールの大きさを測り、マスキングシートを円コンパスカッターで抜き、白から塗装します。著者の場合、マスキングシートは画材店で売っているエアブラシ用の透明の12.5cm幅のものを使っていますが、タミヤのマスキングテープや荷造り用の幅広セロテープなど、手元にある獲物 何でも使えます。 同様に赤の円の大きさのマスキングを作り、赤を吹けば、日の丸は完成です。


 連山は4機の試作機のテスト中に終戦を迎えたので部隊配属はされていません。今回は201航空隊に配属されたとした仮想マーキングを施しました。
そのため、尾翼の部隊マークは、手書きとなりました。
マスキングゾルを塗り、寄せ集めのデカールをその上に貼り、カミソリで丁寧に切り取ります。その後、白を下塗り代わりに軽く吹き、その上に つや消し黄色をエアブラシで吹いています。
 細筆で文字の周囲を上面色の暗緑色で丁寧に修正して行きます。そう神経質にならなくとも、多少、ゆがみがあっても文字らしく見えれば 大きい機体なので気にならないと思います。「手書きの味わい」です。
 同様に主翼前縁の警戒色もテープでマスキングし、白で下塗りし、黄橙色で塗装します。白の下塗りをお忘れなく。





 風防はマスキングゾルを塗り、丁寧にカミソリで切り抜き、筆でつやけし黒で下塗りをした後、それぞれ、上面色、下面色を筆で塗装するという古来の方法で行っています。
つやけし黒の下塗りを忘れると、上面色を厚く塗っても透けてしまうので、下塗りは重要なポイントです。
塗装後、マスキングの境にもう一度カミソリで切れ目を入れれば、シャープにマスキングを剥がすことができます。
複雑な窓枠ですが、落ち着いて塗装すれば難しくありません。

完成

 プロペラは 暗褐色、先端に黄色の帯が入ります。裏は黒。
ターボチャージャーは焼け鉄色で塗った上にAFV風にウエザリングすると良いと思います。この辺りは好みです。
各脚とタイヤホイールは銀が基本で、白を混ぜたり、黒を混ぜたりして情報量を増すといいと思います。
 機銃はしんちゅうパイプで自作しました。爆弾などの小物を丁寧にとりつければ完成間近です。今回、爆弾槽扉は開けました。
 
 アンテナ支柱とアンテナ線は資料を調査中で、まだ取り付けておらず、静岡HS合同展の時も未装備のままとなってしまいました。 電探は、試作機にはもちろん取り付けられていませんでしたが、実戦配備になる際には一式陸攻のように側面と機首風防下に装備されたのではないかと予測でき、追加装備しても面白いかもしれません。
 連山の製作記事をモデルアートで初めて読んだのが 1968年4月号ですから、それから実に42年越しに、夢見ていた連山が 半世紀の時を超え、やっと完成となりました。
 出来上がってみますと、側面形は結構シャープで、英米の爆撃機には無い佇まいです。前下方向から眺めるとターボチャージャー付のエンジンカウリングも非常に魅力的に感じます。こういうことを実感できるのが飛行機モデル作りの醍醐味でしょうか。
 連山のキットは発売以来40年を超えていますから、相当な数量が売れたはずです。しかし、展示会でも完成機を見ることは稀。さて、どれだけの機数が実際に完成したことでしょうか?
 50cm近い4発大型機ゆえに苦労はありましたが、やっと完成者の仲間入りを果たしました。
現代の自分の技術で完成でき、満足至極であります。






 

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Vol.18 2010 June.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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