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「異形の翼」シリーズ (その3)
F-117A Nighthawk (レベル 1/72)   

by 横田の角さん        /

知らぬ間に就役していて、退役時に下面を派手な星条旗で彩った ロッキードF-117
ラジカルすぎて、尾翼が金魚の尾びれ。


 横田の角でございます。「異形の翼」を登場させていただくことになりましたこの番組、先月はその実在も怪しげなイタレリのMIG-37でしたが、3回目は 結構まともなステルス実機 F-117でございます。
 
 さて、1990年代以降、変な翼を見慣れるようになりましたが、F-117は格別の存在。この形態で「結構まともな」 というのもはばかれるような気がいたします。
「事実は小説よりも奇なり」を地でいったようなステルス機であります。
 1989年のパナマ侵攻で幽霊のごとく、なんとなく姿を現し、 1990年の湾岸戦争の精密爆撃では、その戦闘能力を露わにして、確かに脚があり、幽霊でないことを証明しております。 精密爆撃ミッションの40%をF-117がこなしたというのですから、大したものであります。




F-117の特徴的な全面が平面で構成された形状は、レーダーの反射波を電波が来た方向に返さないためといわれております。
 驚くことに、主翼断面は「ウソ、この形状で飛ぶの?」ってなごとくカクカクとしておりまして、それまでまことしやかに信奉されていた流線翼形の流体力学や、NASA翼形などくそ食らえでありました。
 カクカク平面で構成された主翼にはドッグツースも何もありません。気流は剥がれないのでしょうか?こんな強い後退翼で翼端失速は大丈夫なのでしょうか? ジェットインテークはルーバーの奥で見えませんが、境界層分離版はあるのでしょうか?
 などなど興味はつきません。
F-117は先行試作機ハブブルーが1977年初飛行ですから、1970年代前半の基本設計ということになります。いくら コンピューターを駆使した設計とはいっても、流体力学を無視するには ご老体方の抵抗があったと思われますが、そこは 奇才ケリージョンソンの後をついだスカンクワーク社 社長ベン・R・リッチ。マッドサイエンティストぶりを多いに発揮したことでしょう。
 よく観察してみますと、胴体は、数個の平面の組み合わせで構成されるものの、全体的にはリフティングボディ形状を裏返した形状になっていて、60年代のスペース研究の成果が生かされていることがわかります。
金魚の尾びれは 上方がフライングテールになっています。
 F-117は、先月のロシアMIG-37の怪しげさと違い、正真正銘のロッキード製実機で、ネバダ州グルームレイク秘密基地でテスト飛行しております。その近くではUFOが数多く出没したとか、しないとか、、、
 公式には空軍への引渡しは1982年に開始し、1990年4月量産最終機が引き渡され、59機の生産が完了したことになっております。その他にCIAや、秘密の特殊部隊やらにご奉公した機体もあったはず。
全ては闇の中であります。



 キットは各社から出ていますが、今回作ったのはドイツレベルの1/72 F-117です。
 ものの本によりますと、『モノグラムのスナップタイトキットに胴体下面武装庫や足回りなどのパーツを追加して1994年に発売された』 のだそうであります。
 とはいっても、元スナップとは思えないほど、構成がしっかりしていて、なかなか組みよく、ハセガワ72新版よりも GOODなような気がします。
 
 塗装は、全面黒のステルス侵攻迷彩しかなく、今回は、「闇夜の夜鷹」迷彩となりました。

製作

 それでは製作へと参りましょう。このキットは機体が上下に分割されていて、コクピットは羽目殺しとなっているので、まずコクピットを製作しないことには先に進めません。
 キットのコクピットですが、たった1個のパーツで構成され、バスタブに計器板とシートが一体となっています。元スナップタイトキットの面目躍如であります。
丁寧にダークグレーとブラックで塗り分けて、シートはオリーブドラフ風で塗装しておきました。
  胴体下面の前に前脚収納庫、主脚収納庫、爆弾槽が一体となったパーツを仕込みます。
主翼をピンにさして胴体下面でモナカのようにはさめば機体は完成となりました。おもりは入れませんでしたが、3点姿勢は保ったようです。
キットの説明書では垂直尾翼は最後に接着するようになっていますが、この状態で接着することにします。すると、全てが形になり、塗装へと進めます。



 脚扉関係と誘導爆弾架は よくできています。
せっかくですので、ウエポンベイは開いた状態としました。というより、このキット、武器扉がベイ隔壁と一体になっており、開いた形にしか製作ができません。モチロン、この状態で出撃することはございません。


塗装

 今回は実機の写真があることから、安心して機体全面をつやけし黒で塗装しました。
おなじみMrカラー33番です。カクカクとした平面を強調するために、各エッジに透明クリアを吹いています。
 ウエポンベイ、脚庫内はホワイト。脚柱はホワイト。
武装のGRUはオリーブドラブとしました。
 
 デカールはネリス空軍基地(実際はトノバ)の TR 37TFWが付属しています。 
黒に白の文字で見た目には派手に見えますが、レーダーにはもちろん映りません、

完成

 さて、本物の実戦配備ステルス機の佇まいはいかがでしょうか?
 感じるにその佇まいは奇怪しごく。

怪しげなオーラをそこら中に放っているロッキードのスカンクらしい一作であります。
V字開脚のSu-47の方がよっぽどまともに見えます。
 
 F-117は、もちろん輸出などされないうちに、目出度く退役を迎えていますが、操縦性はいかがだったのでしょうか。 モデルの主翼を指でなでる度に小生にはこれが実際に飛んでいたということが信じられません。ああ、流体力学は何処に行ってしまったんだ。
 F-117は試作機の初飛行から11年、量産機の初飛行から6年、計17年も極秘のハンコの山の中に隠されておりました。すごいことであります。
  
 実機でこれだけラジカルな形態のステルス機があり、退役したからには, 当然存在するであろう 後継ステルス機がどんなスタイルかと想像しますと、それは想像を絶する形態ではないかと思うわけであります。
ピラミッド型なのか、それともヒトデ星型なのか 果たして如何に?
 後継機も必ずや極秘の闇の中に隠されているのでしょうが、姿を現すのは いつのことでしょう。
楽しみなことであります。操縦しているのは地球人でしょうか? 
つまらぬことを考えている間にお時間となりました。横田の角でございました。





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Vol.20 2010 August.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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