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グラマン J4F ゴスリング/ウィジョン
(エアフィックス 1/72)

by 加藤 寛之 

 再発売されたキットを組んでみた。航空情報別冊『プラモガイド1972』にも紹介されているくらいだから、少なくとも40年ほど前の製品ということになる。キットの評価はこの本で知っていたが、これまで見たことがなかった。“冴えないナ、出来が悪そうだナ”ということを掲載写真で感じていたから、それなりの覚悟で組んでみた。



 さて、今回の完成品を見て“作ってみようかな”と思った方は、要注意だ。日ごろ上質な製品を組んでいるモデラーでは、技術も精神力も自分の限界に挑戦する必要がありそうだ。エンジンナセルは幅も合わなければ左右も合わず、風防は胴体よりも1ミリほど幅が広く、しかも前部にはミリ単位の隙間が開く。もちろん上部にも開く。補助フロートの支柱はどうでも良いような形だし金型のズレもひどい。金型のズレは脚柱にもあって、太さの半分ほどがずれている。しかも左右の長さも違う。スピンナーときたら金型疲労で何かの塊みたいだ。『プラモガイド』の掲載写真は、本当はがんばって作っていたのだ。
それでも似ていれば良いが、風防付近の造形は別機の様相だし、垂直尾翼は側面形も胴体からの立ち上がり方も、全然実機らしくない。艦体形状など信じがたいほど食い違っている。キットの箱絵や塗装図がよく描けているものだから、その似てなさが丸見え。もう、どうしようもないキットなのだ。…じっと堪えて完成を目指すのみ。


 ところが出来上がってみれば、“あら、すてき❤”。実機には似ていないけれど、それなりにイイ感じ。手のひらに載るほど小さい飛行艇って、お洒落ですね。似ているとか似ていないとかなんて、もうどうでもよい感じです。これだからエアフィックスはやめられません。








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Vol221 2010 October.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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