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webmodelers発行人からご挨拶

月刊 webモデラーズ  創刊6周年によせて

webmodelers発行人 田口 博通

 Internet無料模型誌 月刊「webモデラーズ」 が本2015年2月号で 創刊6周年となりました。
通巻78号を数える本号まで おかげさまで休むことなく毎月続けてこられたのも 読者の皆様とボランティアライターの皆様のご支援の賜物と 心より御礼申し上げます。

 読者の皆様に支えられ、おかげさまで月刊「webモデラーズ」は、昨年一年間のページビューが100万PVを超えるレベルとなりました。また、バックナンバーコンテンツ数は遂に2000を超え、アクセス数と共に世界最大規模となりました。

 プラモデルの趣味を続けて50年余り、思い返せば そばにはいつもプラモデルがあり、趣味のクラブの仲間もおり、現在では月刊「webモデラーズ」を通した知己もでき、このプラモデルという趣味が人生を楽しい豊かなものにしてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。
 そのプラモデルへの感謝の気持ちを形にし、プラモデルの世界の楽しさを皆様にもお届けしたい、次の世代のできるだけ多くの人達に プラモデルの楽しさのたすきをつなぎたい。そういう思いを込めて、Internet模型誌の形で「webモデラーズ」を創刊したのが2009年2月のことでした。

 それゆえ、一貫して「多様なプラモデルの多様な楽しみ方」というのが「webモデラーズ」の方向性です。インデーズの無料模型誌として出発した月刊「webモデラーズ」は 商業誌とは違う立ち位置で、 さまざまなジャンルの多様なプラモデルを、 無塗装、素組から フルスクラッチまでと できるだけ幅広く掲載する方針で創刊以来 続けてまいりましたが、今後もその方向性をぶれずに行こうと思います。今後とも 皆様のご支援をお願い申し上げます。



 昨年はいくつか新しい試みを始めました。

 読者の皆様がバックナンバーのコンテンツアーカイブを検索できるようにと、バックナンバーページにグーグルの検索BOXを導入しました。
機種名、スケール、メーカー、作者など 思いついたお好きなKEYワードで検索ができますが、使い勝手はいかがでしょうか。 改善点などご意見をいただければ幸いです。

 また、2014年4月号から、株式会社酣燈社 航空情報編集部様のご許可を得まして、1960年代から1974年にかけて刊行された航空情報増刊「プラモガイド」の記事を 本誌に転載再録させていただいております。航空情報編集部様には厚く御礼申し上げます。
 この航空情報増刊「プラモガイド」は我々プラモデルファンの間でバイブルとして、半世紀の間 親しまれていたものです。しかし、50年経った現在では 一般には入手も読むことも困難になっていましたので、それが またもう一度、広く読めることは大変ありがたく感謝しております。

 2014年10月号、11月号ではフルスクラッチモデルの原点 ソリッドモデルの詳細な製作記事を掲載しましたが、その内容には 驚くような製作技術の連続で 新鮮に感じられました。今後も、全国のソリッドモデルクラブのご協力を仰ぎ、ソリッドモデル製作記事を掲載して行きます。

 一方で、無塗装、素組で 気軽に組めるプラモデルをもっと特集してみたいと思います。 昨年2014年8月号で初めてバラエティモデルを特集しましたが、まだ、取り上げきれていないジャンルがあり、城、建物、屋台シリーズ、鉄道、木工モデルなども 特集して参ります。


 今後の課題ですが、二つあります。
 一つは、Internet雑誌としての課題で、PC以外のプラットフォーム 特に、スマートホンでの可読性です。若い層を中心に PCを買わずスマホで全て済ます読者が増えています。 スマホで読みやすくするため、フォントの大きさなど これから対応が必要になると 考えています。 

 もう一つ これはプラモデルそのものについてです。 
 私共の少年時代はプラモデルが輝いており、ほぼ全員が一度は通過する趣味だったと思いますが、もう一度、プラモデルを輝かすことはできないか、 webmodelersにもできることはないか と 考えています。昨年は 店舗広告枠を 一定期間、無料でご提供させていただくことを開始しました。
 また、製作記事の中や静岡、東京で開かれるホビーショーで、プラモデルメーカーに組み立て説明書の改善の必要性を訴えてきました。

 今年は、もう一歩踏み込んで、「webモデラーズ」の中に プラモデルの組み立て説明書をアーカイブしたデータベースを作り、組み立て説明書のPDFダウンロードサービスを始めたいと考えております。

 それも可能であれば、メーカーの提供する組み立て説明書に 「webモデラーズ」で プラモデルを組み立てる初心者の助けになるように「わかりやすい部品名」と「組み立ての際の注意点や参考点」を「色字」で追記して、ご提供できればと考えています。
 組み立て説明書にも作製されたメーカーの著作権がありますので、その問題をクリアしなければなりません。それで 比較的 ハードルが低いと思える、廃業などで既にプラモデル事業を止められたメーカーの絶版キットから開始できればと構想しております。


 実は、組み立て説明書のダウンロードサービスそのものは新しいものではなく、米レベル(モノグラム)は既に そのメーカーサイトでダウンロードサービスを開始しており、発売されているレベルキットの英語組み立て説明書のPDFがダウンロード可能です。
 http://www.revell.com/support/instructions.html

組み立て説明書を英語で Instruction Plans といいますが、ユーザーがもし組み立て説明書を紛失しても、メーカーのサービス部門にお金を払ってわざわざ取り寄せしなくても、このサイトからダウンロードすれば可能となっています。 


 ここで、「プラモデル組み立て説明書のダウンロードサービス」を考えるに至った背景について、若干説明をさせていただこうと思います。

 最近の日本製プラモデルは モールド部品の合いもよく、実物の縮尺スケールモデルとしてもよく出来ているにかかわらず、一度プラモデルを手に取った層がリピーターとして育たないと頻繁に聞くようになりました。 「いざ作ってみると、作るのが難しく面倒で 楽しくない」とのことですが、 趣味の世界は楽しくなければ 続きません。

 プラモデルは モールド部品と、箱絵、組み立て説明書の3点が一体となった商品ですが、組み立て説明書には相当、ユーザーの不満が多いようです。

 そういう目で見ると 日本メーカーの説明書は 今組み立てている部品名すらなく、画だけで理解を迫るような まるで3次元パズルの説明書といったものが多いのです。 
 説明の言葉が全く無く、不親切で、プラモデル歴数十年の我々すらも読解に苦労するものが多いのが実情で、日本製プラモデルを作るには辛抱や苦痛を伴うのが正直な感想です。
 これでは ニュースや流行映画で 興味を持ち、たまたま初めてプラモデルを手に取る一般の方々に難しくて、2度と作ろうとは思わなくても仕方が無いことでしょう。

 昨年、5月の静岡ホビーショーの際の静岡県の地元新聞の記事にも、「プラモデルにはもっと、教育的側面も必要とするのではないか」と提言がありました。教育的側面を持ったプラモデルとは、エンジンの分解模型などといった「いかにもアイテム」のことではありません。


 webmodelers2014年4月号掲載の航情「プラモガイド 1965年版 第1回」
の中に YS11で有名な日本大学教授でプラモデラーでもあった木村秀政さんの「プラモのすすめ」という一文があり、その中でプラモデルがもたらす「知る楽しさ」と「調べる楽しさ」について述べておられます。
新しい知識や用語を覚えるのも趣味の世界では大変モチベーションが上がる楽しいことです。

 プラモデルを組み立てることで、部品名を知る、実機での部品の働きを知るといった基本的なことが科学技術への興味を掻き立て、夢のモチベーションになって、航空宇宙技術や、モータリゼーション社会、エレクトロニクス技術の次代をになう科学技術者を育てるといったことが 60年代以降のアメリカでは実際に多くありました。正にロケットボーイズの世界です。

 私も1960年代にプラモデルにはまった少年時代を過ごし、長じて70年代後半に社会人となり、エレクトロニクスの技術者となった一人ですが、海外工場で現地エンジニアと話すと、お互いに少年時代に作ったプラモデルの話題で盛り上がることが多くありました。彼らはレベルやモノグラムのカーモデルやジェット機のプラモデルを作ることが多かったようです。彼らの実車構造の知識は深く、プラモデルを組み立てることで、最初の知識を得たと言っていました。それが 高じて、エンジニアとなり、さらには車のメンテナンスが趣味になり、自宅のガレージにチェーンクレーンを備え付けたと話す人もいました。

 実際に レベルの当時のカーモデルを手に取ると、説明書には必ず、部品名が記載されています。実車の何処にその部品が使われ、どんな働きをするか、おぼろげながら知ることが出来ます。興味があれば、それを手がかりに 自分でもっと調べる。これこそ プラモデルを出発点とする「知る楽しさ」、「調べる楽しさ」なのでしょう。


 プラモデルは、モールド部品と、箱絵、組み立て説明書の3点が一体となった商品です。その中で、組み立て説明書は、プラモデルメーカーからユーザーへの最大の直接的なコミュニケーションの手段です。楽しくないプラモデルを売るつもりはプラモデルメーカーには無いでしょうから、メーカーさんからユーザーへのコミュニケーションが上手ではないのでは と思うのです。

 昨年2014年2月号で 既に廃業したプラモデルメーカーの名作と言われるプラモデルを「webモデラーズ」でも紹介しましたが、日本のプラモデルメーカーの中には 狭い紙面の説明書に 社員の皆で心血をそそいだ製品を、ユーザーに楽しんで無事に完成してもらおうという説明書の書き手の熱意と誠意を感じるものもあったのです。

 最近の商業誌では、プラモデル製作のマニュアル本のようなものが増えていますが、よくよく考えてみると、本来 キットに付属する組み立て説明書が初心者でも無事に組み立て可能な親切なものであれば そういったマニュアル本は不要なはずです。 
 また、メーカーの提供する組み立て説明書だけでは うまく完成しないことから、多くのプラモデル製作記事の中で 製作注意点や、説明書の間違い点などが言及されるといったことが生じている訳でもあります。 (商業誌ではメーカーさんに遠慮しつつ ライターさんが表現している苦労が垣間見れますが)

 そういった訳で メーカーの提供する組み立て説明書に 「webモデラーズ」で プラモデルを組み立てる初心者の皆様の助けになるように 基本的な「部品名」と「組み立ての際の注意点や参考点」を「色字」で追記して、ダウンロードサービスでご提供できればと構想しております。
それが、メーカーの新しく発売するキットの刷新につながり、プラモデルが再び活性化する一助になれば などと勝手に夢想しております。お手本はエアフィックスで ここ数年活性化して見事な再生を果たしました。

以上 大変 長くなりました。本来は 毎号、編集後記を書かなければならないのですが、1年分まとめて 書いたということで お許し下さい。


 一人だけの力では 到底 ここまで続けてこられなかったと思います。ご寄稿されるボランティアライターや誌上個展の作品と記事を御寄稿いただく方々と、毎号楽しみに読んでいただける読者の皆様のお力添えで 6年続けてこれました。心より お礼申し上げます。
 
 次の世代のできるだけ多くの人達に プラモデルの楽しさのたすきをつなぎたい。そういう思いを込めて、これからも プラモデルの楽しさを工作ヒントや参考になる実機の資料、資料記事も合わせて 毎月発行してまいりますので、ぜひ これまでと変わらず 月刊「webモデラーズ」をかわいがっていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
  
 読者の皆様の中で プラモデルの製作記事を書いてみたい、誌面で自分の作品を発表したいというモデラーが居られましたら、どんな形でも結構ですので、いつでも ぜひ気楽に ご投稿をお願い申し上げます。



                              2015年2月1日

            月刊 webモデラーズ [webmodelers] 発行人   田口 博通
                                


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Vol.78  2015 February     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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