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誌上個展

LS 75 隼2型を作る (現アリイ 1/72)

by  田口博通




 様々な形でプラモデルのコレクションをされている方達がいらっしゃると思いますが、私は 旧LSエルエスの1/72クラスモデル全機種を作り倒すことを最近のささやかな目標にしています。 

 旧LSエルエスは1992年に惜しくも倒産して消滅しましたが、航空機プラモデルの多くは マイクロエースアリイ(1/72)、童友社(1/32)に受け継がれており、時々 再生産されていて 店頭でみかけることができます。と言いつつも、カタログ落ちしたなんて噂も聞きますので、入手できるうちに、作ってみたいと思っています。
 旧LSエルエスについては 2014年2月号に「LSエルエスグラフィティ」が掲載されていますので、ご参照ください。 

 今回、隼1型に続いて、1/75 隼2型が完成しましたので、残る機体は100式司偵、96陸攻となりました。
 この隼2型はスタイルがしっかりしていて、名作といわれたものです。完成してみると主翼をピンと張り、胴体の断面フォルムも素晴らしく、なにより、自分のイメージの中にある隼に近い隼らしさなのです。
 この隼2型は1960年代に隼1型より前にリリースされ、最初期はキャノピーとエルロンだけでなく、主脚も引き込み可動式だったと記憶しています。また、スタンド付でした。(下右写真箱絵)
 70年代にミニモーターで3枚プロペラが回転するように改造された時に、主脚固定式に金型が改造され、それが現アリイ版に至っているものと思われます。
 後でリリースされた隼1型の方は 主脚、キャノピー、プロペラ、エルロンに加えて、水平尾翼エレベーターと、垂直尾翼ラダーも可動で真に「オール可動」というにふさわしいものでした。



アリイ版 箱絵 旧エルエス版箱絵


 名作と言われるキットは下のように部品点数も少ない簡単なものです。エンジンとカウリングは一体です。コクピットは床板がなく、お人形さんが、横棒の上にまたがる簡単なもので、そのままでは主脚庫まで素通しになります。  キャノピーは前後に別れていて、後部が可動式になっています。
 今回作ったのはアリイ版で デカールが新しくなって第20戦隊と第25戦隊のマーキングが付属しています。最初期のエルエス版は日の丸だけでした。


製作

 できるだけ、オリジナルの雰囲気を大切にストレートに作ることとしました。
コクピットも手を入れず、そのまま作っています。胴体を貼り合わせ、主翼下面を接着し、上半角がしっかりとれるように主翼上面を接着します。これに水平尾翼をつければ、あっという間に飛行機の形になります。快感です。
 隼のイメージを左右するのは上半角で、しっかりとつけてやります。
 主翼下面と胴体の間には隙間が出来ますので、パテで埋めます。また、写真のように、主脚庫からコクピットが筒抜けになりますので、プラ板でふさいでやるといいでしょう。
 エルロンですが、隼1型と同様に、ガンダム用の1mm径スプリング線を仕込みました。これで、ダラッと垂れずに、中立を保てます。



塗装とマーキング

 塗装マーキングをあれやこれや選ぶのも楽しいものです。今回は「エアロミリタリーコレクションNo.6日本陸軍戦闘機」25ページに掲載されている 南支作戦で活動した、33戦隊、第2中隊のものとしました。尾翼戦隊マークと胴体帯は中隊色の赤で塗装されています。  銀に濃緑色のまだら迷彩は、Mrカラーをエアブラシで吹いています。その上に尾翼戦隊マーク、胴体帯、日の丸、機首反射よけ黒、主翼識別橙色などをマスキングして面相筆で書き込みました。ここで60年代雰囲気を再現?すべく 気持ち日の丸の白枠を太くしてみました。

完成へ

 プロペラや脚などをつけて、ピトー管とアンテナ柱は金属線で自作しました。翼端灯や尾灯もしっかりモールドされていますので、塗り分けて上げると男前がまします。これで、とにかくあっという間に完成します。
これが、60年代のエルエスプラモデルの楽しさかもしれません。

それでいて、フォルムはなかなかのものがあります。脚は固定式になっているので、しっかりとふんばってくれます。
キャノピー後部は少しきつめにしてやる方がよいでしょう。さもないとスルッと後部に滑っていつも開いてしまいます。




 最近感じることですが、プラモデルには 実機の正確さだけを再現して作るのではなく、心の中の心象風景を再現したいと思うことがあります。 
 それは、少年時代の記憶に残る達人の製作した素晴らしい作品であったり、雑誌の画や箱絵の印象であったりと様々です。それが再現できると手書きのマーキングが多少よれていても、本人としては大満足です。
 上写真の旧エルエス版箱絵は、精密な絵では無いかもしれませんが、青空の下、出撃する隼2型の雰囲気が見事に描きこまれています。最近、こんな作品を作りたいなと切に思うのです。
 ミスなく統一感を持って綺麗に作るのも一つの製作方法ですが、たとえストレートでも多少よれよれでも、自分のイメージに近い完成の喜びが味わえるとプラモデルも楽しくなります。

 LSのキットを在庫されている方も多いことと思います。これらも1つでも完成させて成仏させてやりたいですね。






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