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世の中には、シングルでもリモコンでもラジコンでも、動く戦車模型を見ると「心がときめいてしまう」という人が、少なからずいると思う。
かくいう私もその一人。キャタピラをがたがたと動かして、障害物を乗り越え動く姿がメカニックでたまらない。細かいディテールがなくても、形が少々おかしくても いいのだ。
周囲からはどうも異端のようなのだが、プラモデルの戦車というと、実は私は モーターで動かないと 戦車という感じがしない。
それは幼少のころ、戦車と言えばモーターで動くものと強く刷り込まれたからに違いない。 たたみの上を座布団を乗り越えて、消しゴムの障害物やセルロイドの下敷き板の坂もなんのその。 キャタピラで乗り越えてどんどん進む。転輪が段差に合わせて上下動作する。映画で見たシーンとそっくりの体験が目の前に広がる。それが戦車。
告白すると、AFVには興味はあるのだが、そう詳しくはない。ミリタリーミニチュアシリーズは先日数えてみると、30あまり作ったが、どれもほとんどストレートのままで作っている。MMで新製品が発売されたと聞いても、あまり そそられない。
ところが、ラジコンバージョンが出ると聞けば、一度は模型屋で箱を確認したくなる。ただ、1/35で1万円前後の価格となれば ためいきをつき、結局は箱を戻すのだが。 |
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幼少のころに脳に刷り込まれた固定観念とは恐ろしいもので、ミリタリーミニチュアシリーズは正確な模型だと目ではわかっていても、歳をとるとともに 心の中では動かないので戦車という感じがしなくなってきているようなのだ。これは 脳の回路が古い層の記憶につながってきているのか、最近はやりの脳科学者に聞いてみたいものだ。
子供時代は1960年代。正月にお年玉をもらい、すぐ 小学校校門横の文具屋の欲しかったリモコン戦車の箱の前に行く。 当時は文具屋が模型屋を兼ねていたのだ。毎日 登下校にその店のショーウインドーでプラモデルを見て育ったのだから、欲しくなるのは当然である。
しかし、 ショーウインドーの前で あれこれと眺めてもなかなか決められず、最初に買ったリモコンの戦車は イマイのノンスケールのM4シャーマンだった。しかし、小5の自分にはうまく動くようには組みたてれらず、リモコンボックスの配線は店のおっちゃんに助けてもらった。
60年代後半にタミヤから1/25リモコンシリーズが発売された。中でも、パンサーは転輪にネジリばね方式のスプリングが利き、本物そっくりに上下動作するようになっていた。また、チーフテンは組み立てキャタピラの接地面にゴム板を一個一個貼るようになっており、坂になると高速から低速へ自動で切り替えが出来るすごいものだった。欲しくてたまらなかったが、2千円を越すキットは財布と相談すると買えるはずもなく、年月が過ぎ去った。
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