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by 田口 博通 Hiromichi Taguchi      /

Big キット作り倒し (第7回) 
一式陸上攻撃機   ハセガワ 1/72  

押入れを占領するBigキットを作り倒し バーンとスペースを空けようというBigな連載コーナー。
1/32と限らず、巨大な箱なら なんでも取り出します。
 

 デビスモンサンにモスポールされた可哀想なBigキットが再び、皆様のお役に立ちます。
 この連載 あっというまに 第7回となりました。
今月は ビッグな名キット、ハセガワ1/72の一式陸攻11型 つまり旧製品の方を取り上げてみたいと思います。このキットの発売はちょうど40年前、1969年のことで、筆者が高校生のころだったでしょうか。
 表面ディテールは 凸リベット、凸パネルラインですが、葉巻型胴体のスタイルも良く、名キットです。
 1997年にハセガワから24型が新しく発売され、MA誌の作例で作りましたが、パネルラインのみのキットで弥生式土器のごとく、すっきりとしすぎていました。個人的には 古い11型の方がいかにも一式陸攻らしくて、雰囲気大好きであります。この11型のキットは 今でも現役で プラモ店の上の方の棚に並んでいます。
 Kシリーズで箱も完成機体も大きいため、躊躇されて、ストックにお持ちの方も多いと思います。 最近は、展示会でも11型の完成品を見ることが ほとんどありませんが、時折 見かけると ガンバレ!と声をかけたくなります。
 先月も書きましたが、モノが溢れる時代にあって、プラモの楽しみ方にも もっと多様性があっていいのでははないかと思います。ディテールアップだけが、プラモの方向性では無いはず。 子供の時のように無邪気にプラモを作るのもまた楽しいのではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、今月も40年前に設計された名キットが完成品として、あなたの前に甦ります。



■11型ハセガワキットについて
 このキットですが、各部の ”はめあい”もよく、部品点数も少なく、可動部が一切ありません。プロペラが回転するだけのシンプルさで、現代の目で見ても結構な素っ気無さです。同時代のLS飛竜が可動全盛期の作品で、フラップ、エルロン、脚おりたたみと これでもかの可動キットであったのと比べ 対極にあるキットでした。60年代後半にハセガワが航空機プラモに重点を入れだして、可動を排して、組み立て易くし、スケールモデルとしてのディテールを追求しだした はしりのキットだったと思います。
 1969年当時のMA誌を読むと、『可動はなにかとスケールモデルとして問題が多いので廃止はしかたないと思うが、”作る”という点で楽しみのすくないキットであると言える。』と評されていて、せめて フラップの上げ下げなどコンバージョンにしてほしいと述べられていました。
 カウルフラップは開いた状態でモールドされているのですが、一般的に地上では閉じている場合が多いので、閉じたい場合は切り取ってプラ板で自作する必要があります。

また、爆弾倉扉は閉じたままなので、爆装にしたい時は扉を切り取り、爆弾倉内部を自作する必要があります。

各部の窓ガラスは透明度はいいのですが、厚いので、気になる方は自作ということになります。

エンジンは1枚部品になっています。カウリングの取り付けはそのままでは上向きにスラストがついてしまうので、調整が必要となります。

などなど、いろいろ考えてしまうと、完成しなくなるので、40年前のキットですので、見切りをつけるところはつけて、カウリングの取り付け向きのみ修正とし、まずは完成を目指したいところです。


■胴体 ■ 主翼
 内部全面をグンゼ特色三菱系内部色で塗り、窓ガラスのすり合わせをします。機首上面の4枚の小窓に隙間ができたので、1mmアクリル板をはめこみ、外面と面一になるよう、やすりで削りこみました。
 シートにシートベルトを追加し、操縦席を仕込んで、胴体を貼りあわせますが、大型機なので、あとでぱっくり割れると困ります。上下接着面には 補強のため、プラ板の細切りで”のりしろ”をつけておくとかなり安心できます。
 大きい翼ですので、タミヤの流し込み接着剤が便利です。後縁はできるだけ、薄く削ります。ナセルの上下あわせの接着部修正が多少やっかいですが、がまんしましょう。
上向きに4本ついている排気管は目立つので、シンチュウパイプを曲げて自作しました。

胴体と主翼の合いはいいので、流し込み接着剤を流し込みながら押し付け、接着強度をできるだけ上げます。

接着部のペーパーがけで、リベットなどが消えた部分は、カルコで打って再生しておきました。



■ 塗装
 傷隠しにグンゼ1000版サーフェーサーで下塗りしておきます。まず、下面の塗装を No35明灰色で行いました。
上塗りは後のウエザリングでどうしても暗めになってしまうため、 グンゼ No.15濃緑色にタンを混ぜて明るめにして使っています。
主翼各部の色あせ表現には、更にタンを明るめにした濃緑色をまだらに吹きつけていますが、どうしてもやりすぎてしまうので、上品な程度でやめておく加減が難しいところです。
 主翼前縁の黄橙色はグンゼ58をつや消しにして吹き、日の丸も胴体が白四角に赤丸なので結局塗装しました。
全体のウエザリングは 油彩のバーントアンバー、ローアンバーで 行いましたが、気流方向に拭き取ると凸リベットや凸パネルライン脇に残り、いい感じに仕上がったように思います。 
 
防眩塗装は強めにつや消しにしたブラック、スピンナーは半つやけし白、プロペラは表シルバー、裏ブラック。カウルフラップは開状態なので、裏側を忘れずにブラックで塗っておきます。


 




小物
 胴体上のリングアンテナを洋白線を丸めて自作し、各部アンテナ柱もシンチュウ線で自作しました。
機首下のピトー管も金属パイプと洋白線でピシッと自作しておくと、引き立ちます。機銃は保管強度を考え、シンチュウパイプで銃身を作り直しました。これで、40年前のキットもしゃきっとした完成品になったような気がします。
 主脚、尾脚もそのまま使用していますが、気になりません。

完成
 日本の代表的な一式陸上攻撃機の完成です。
防弾装備が貧弱で一式ライターといわれたそうですが、こうやってみると強そうであります。
完成してみると、凸リベット、凸パネルラインも味があり、良いものです。なんでもかんでも 凹ボリでなくてはならないという風潮も なんだかなー と思うのであります。
 
他型への改造は、緑十字終戦連絡機や輸送機型が武装をはずすだけで可能です。一式陸上練習機は胴体下面にブリスター銃塔を追加するところ以外は11型と同じ形状です。

 ぜひ あなたも 押入れにストックがあれば完成させてあげて下さい。 作れば また 楽し。 プラモの魅力はつきることがありません。


 

Vol.7 2009 August.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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