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懐かしのB級キット(第5回)
グラマン アベンジャー (オアシマ 1/72)

by 田口博通 
  玩具から始まったプラモデルが ギミック路線か、それとも 全く動かないけれども精密なモデルの方向に行くか メーカーによって多様性に溢れていたのが 1960年台でした。
 当時から、精密というには?がつくけれども ギミックが面白いプラモデルを日本メーカーが多く発売していました。エルロン、方向舵可動は当たり前、というか それが当たり前のトレンドの時代だったともいえます。
 学校前の文具店でプラモデルが売られていることも多く、箱絵が魅力的でショーウインドーに釘付けになり、学校帰りに店の前の道路で座り込んで、プラモを作った経験のある読者も多いはず。小学生の遊びの一部として当たり前にプラモデルがあり、今からは想像も出来ないプラモ黄金時代だったと思います。

 
 金型精度が追いつかず、可動部がガタガタで、細かいディテールは?が二つくらいつくが、デッサンはなんとなく実機の雰囲気を再現しているという今でも捨てがたいキットが多くありました。既に絶版になっているものが多いのですが、幸い、その中には今でも生き残って現役のプラモキットもあります。

 このシリーズは そんな 懐かしいB級キットを取り上げて行こうという連載です。形状とか デイテールを求めるならば、後発の決定版を購入すればいいわけで、ディテールの修正などをせず、オリジナルの雰囲気を壊さず、完成を目指したいと思います。




  先回はニチモの21型零戦でしたが いかがだったでしょうか。意外に反響が大きく、読者の皆様からメールで感想を多くいただきました。リアルタイムで作った当時のことが走馬灯のように頭をかけめぐり、遠い日を思い出されて、ノスタルジアにひたった方もおられたでしょう。
 
 さて、第5回目は アオシマ 1/72 アベンャーです。このアオシマのアベンジャーですが、1/72といっても ハセガワのアベンジャーよりかなり小さいのです。実寸は1/87くらいでしょうか。 もしかすれば、HOスケール(1/87)で書かれた外国の図面を元に設計されたのかもと 想像すれば それなりに楽しいものです。
 デッサンが充分でなく、モールドも今の目で見ると、もちろんラフすぎて 今三つということになりましょうが、アベンジャー以外の機体には見えません。
 このキットの売りですが、お約束のエルロンが可動するだけでなく、主翼が後ろに折りたためるのです。当時は、実機の天才的な折りたたみヒンジ機構がわからなかったのか、回転する折りたたみロッドを介して可動するようになっています。
 1960年代の発売当時100円の価格ながら机の上のシタジキの空母の上で主翼が後ろに折りたためる機体は、雑誌のカラーページで太平洋戦記にかぶれた中学生を魅了するには充分インパクトのあるプラモデルでありました。
  このアオシマのアベンジャー、現在も元気に現役でプラモデル店の棚に並んでおります。
 各部がガタガタなのには目をつぶっていただいて、きちんと塗装すると それなりに見られるのではないかと思います。
個人的には プラモデルの組み立てと醍醐味を味わえる、味わい深いキットとして、評価しております。







キットについて

 現役で 1/72精密シリーズとして販売されていて、なんどか箱絵のデザインが変わっていますが、現在のものは REDの帯が左側にあしらわれている、近代的なものです。
                     
箱絵

 組み立て説明書は 横長の1枚で 簡単な内容です。
 時計回りに組み立て順が記載されております。
コクピット内は何もなく、組み立て最後に上半身だけのパイロットを接着するようになっています。        
 翼は内翼、外翼を回転ロッドで結合するようになっています。この部分が、調整も必要で、技術を要するところではあります。
エンジンはカウリング前面と一体になっています。
筆者は過去、2回、このキットを組み立てていますが、この1枚の組み立て説明書でなんとか組み立てられています。

製作 


 実は、このアベンジャーは中学時代から数えると3回目の製作になります。 ああ、光陰矢のごとし。月日の経つのはいかに早いことか。
 さて、とにかく、説明書にしたがって ばりばり接着してゆきます。童心に帰って、外形の修正など考えず、部品毎に塗装してから組み立ててみようと思わない方が、プラモデルの組み立てを純粋に楽しむことができるのではないか?と思います。
 翼エルロンはピンのバリを完全にとらず、少しひっかかるくらいの方が、エルロンの重さでダラリと下がらず、具合がいいと思います。 翼折りたたみロッドはそれなりに太いので、折ることは無いと思いますが、それでも慎重な作業が必要です。
 (実機では折りたたみロッドではなく、天才的な設計者により 内翼と外翼を1本の斜めピンで結合するだけで、回転しながら、外翼を後ろに折りたためるメカニズムを実現しています。)
カウリング前面を胴体に接着すると、完全にアベンジャーの形となります。
カウリング後端下に排気管のようなモノがついていますので、塗装でごまかすことにしましょう。
脚は接着角度にだけ注意してください。
キャノピーは枠が複雑なので、胴体塗装後にとりつけることにしましょう。
パイロットは好みでお付けください。



塗装

3月号のアオシマF4Fワイルドキャット同様、1960年代雰囲気をと思い、筆塗りで3色迷彩としました。

まず、胴体内部は筆を差し込んで、黒つや消しで塗りたくっておきました。グリーンの機内色では明るすぎて、コクピットの造作が何もないのが、目立ってしまうからであります。

下面はMrカラーNo.62つや消しホワイト。
中間のインターミディエイトブルーはNo.72。
上面のNo.89青15号を使ってあります。
各色の境のぼかしは隣り合う色を混ぜて、細筆でぼかしました。

可動翼の断面と脚カバー内側は、昔の定番。Mrカラー機内色としておきました。
マーキングですが、手元の余りデカールを物色し、上矢印の有名機としました。キットのスケールは1/87くらいですから、大きさがあわない翼の矢印は切り取って小さくしています。カウリング前面のイエローはMrカラー特色を使っています。
脚注はシルバー。
プロペラはつやけしブラックで先端がイエローです。
手間のかかるのが キャノピーの枠ですが、昔ながらに グンゼマスキングゾルを使って、丁寧に枠のマスキングをカミソリで切り取って筆塗りしました。

 細部部品は、ピトー管は洋白線とシンチュウパイプをつぶして根本を作り、自作。アンテナ柱も金属線で自作して、テグスのアンテナ線を張っておきました。
胴体上の機銃は シンチュウパイプをおごってみました。
高校生の頃でしたか、モデルアートにかぶれシンチュウパイプで機銃を自作し、悦に入っていたことを懐かしく思い出しました。

各部の偵察窓は つやあり黒でびしっと決めてみました。


完成

 各部 ガタガタですが、 快調に翼が折りたためます。

下は 25年くらい前に作った第ニ作で エアフィックスのキットからデカールを流用しています。何度作ってもいいものであります。
 
 また B級キットコレクションに一機加わりました。
おつきあいいただき ありがとうございました。













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Vol.19 2010 July.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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