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  神風号 (ファインモールド1/48)

by口博通 Hiromichi Taguchi
 




 11月号でファインモールドの1/48 海軍九八式陸上偵察機12型をご紹介したが、本命の神風号が11月中旬に発売されたので、さっそくご紹介したい。
 この神風号の1/48キットは半世紀以上前1960年代のマルサン1/50(絶版)以来のモデル化で、これを待っていたモデラーも多かったはず。現代のファインモールドの技術を注ぎ込んだ最新プラモデルで、適確なモールドと各部の細かいリサーチがされてリリースされている。
 尚、12月20日発売の月刊航空情報2019年2月号のNEW MODEL REVIEW「ファインモールド1/48 神風号、陸軍九七司偵Ⅰ型、Ⅱ型」として3機まとめてニューキットレビューを掲載しているので、ご興味のある方は書店でお買い求めの上ご覧いただきたい。

箱絵


 神風号のデカールには主翼上下に大きく描かれた登録記号の黒文字J-BAAIと下面翼端の旭日旗マークが再現された大判のデカールが付属している。
キットの成型色は11月号のニューキットレビューで紹介した海軍九八式陸上偵察機12型 同様のグレーで、パネルラインのスジ彫りはファインモールドらしく繊細。
共通するところが、多いので、ご参照いただきたい。

実機について

  モデル化された神風号は正式には三菱雁型通信機と称し、朝日新聞社が三菱から新偵察機キ-15の試作2号機を譲り受け、昭和12年(1937年)4月6日に立川を発ち、総飛行距離15,357kmを、所要時間94時間17分56秒を経て現地時間4月9日にロンドンへ到着。亜欧連絡航路の世界最速記録を樹立している。 搭乗は朝日新聞社の飯沼正明操縦士と塚越賢爾機関士の2名であった。原型キ-15は高速機として機体抵抗減少のためにスピナーから低いキャノピーまで全体を流線形にまとめた大変スマートな機体である。航空機開発で欧米に追い付いたと驚嘆され、国内中でこの快挙が大評判になったと伝えられている。




組み立て

胴体
 胴体はバリエーション展開のため、胴体後部と垂直尾翼が差し替えで対応するようになっている。試作2号機であった神風号と制式化された九七司偵では、キャノピーや軍用の艤装、エンジンとプロペラ、コクピット内の増加燃料タンクと無線機など違いがあるが、この辺り全てをきちんとフォローして作り分けれるようになっている。
神風号では欧州への長距離飛行のために胴体燃料タンクを増設したので、無線機の装備場所を変更している。

神風号のコクピット内部


 神風号では補助翼、方向舵にはタブがついていないので、説明書指示どおり、切り取っておこう。
 

主翼補助翼と、垂直尾翼方向舵のタブは切り取る。



エンジン
 神風号と九七司偵Ⅰ型はエンジンに94式(ハ-8)寿3型空冷星型9気筒を装備していた。エンジンのモールドは繊細で 塗り分けるだけで充分だろう。排気管部も詳細に作られているのだが 分割され部品点数が多いので、慎重に組み立てよう。
 タウネンドリングカウリングは上下分割で、上下接着してからではエンジンにかぶせることができない。
 それゆえ、まずエンジンとカウリング内側を塗装し、エンジンの外側にカウリングを接着する。接着部を整形してから、エンジンをテープでマスキングし、カウリング外面を塗装するという作り方になる。
 プロペラは形状、厚さとも良好。
エンジンとプロペラ

エンジン前面
エンジン後面


■キャノピー
 神風号のキャノピーはきちんと軍用の高さが低い形状のものが付属し、胴体後部と垂直尾翼も専用の部品が用意されている。
 透明度も良く、胴体とのすり合わせもばっちりだった。

背の低いキャノピーが再現されている。



塗装
 ブルーには Mrカラー特色No.328 FS15050(ブルーエンジェルスカラー)が指定されている。ブルーを吹き付けたら、マスキングテープでカバーし、シルバー(MrカラーNo.8シルバー)を上下面に塗っている。
デカールは少し糊が弱めなので、タミヤの「デカールのり」を併用すると良いだろう。


完成

 1960年代から半世紀 待ったモデラーには福音。さくっと素組をするだけで素晴らしい神風号が出来上がった。尾翼の「東京ーロンドン94時間」の文字は復路で書かれたものである。このデカールを貼らなければ、往路ということになる。  ピトー管も神風号独自の形態がきちんと専用部品でフォローされており、随所にファインモールドらしい旧軍機へのこだわりも感じられる。皆様にぜひ一作をお勧めしたい。




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