“Tip of the Sword” 、CVW-5のハンガーに描かれた彼らのスローガンである。空母を守る剣の先は、彼ら自身であり、「剣の先の如く鋭くあれ」と戒めている。またそれは遠く母国を離れ、太平洋の西岸に置かれた剣の先をも意味するように思われる。海外を拠点とする米海軍唯一の空母航空団としてCVW-5が厚木基地に本拠地を置いて、35年が過ぎた。その間、飛行隊の編成や使用する航空機も大きく変わり、その年月の長さを感じさせる。もう少しで在日40年を迎えるが、そのとき彼らは、その記念日を岩国基地で迎える。
我々飛行機ファンを大いに楽しませてくれたCVW-5であるが、厚木基地での活動も残り少なくなった。これを機会に、CVW-5のこれまでを振り返ってみたい。
CVW-5とミッドウェイ機動部隊はスビック・ベイを経由してインド洋まで展開、オーストラリア、パキスタンに寄港後、11月11日から11月19日にかけて、イランの近海でイラン、パキスタン、トルコ、英国、そして米空軍が参加しての演習、”MIDLINK ‘77”に加わった。こうした敵味方に分かれての演習では、VAW-115のE-2Bが要撃管制任務に就き、上空から敵機の状況を認識し、味方戦闘機を要撃ポイントへと誘導した。”MIDLINK ‘77”が終わった後も、ミッドウェイ機動部隊とCVW-5は英国海軍、オーストラリア海軍との演習”Exercise Compass”や”Operation Indian Ocean”、”Operation South China Sea”などの訓練をこなしていった。そして”Exercise Compass” 実施中の11月25日には、ソ連のベアが2機偵察に現れ、CVW-5のF-4Jが要撃にあたるという緊張する瞬間もあった。こうした数々の演習、訓練を終えての日本への帰路、再び事故が起こった。訓練から戻ってきたVA-115のKA-6D(Bu.No.151795/ NF522)が着艦寸前にミッドウェイのランプに激突したのである。パイロットと爆撃航法士は間髪置かず脱出、着水し、荒れる海面から無事助け揚げられた。