メルセデス・ベンツW154は1938年から1939年のグランプリ・シーズンで実戦投入され、1938年のヨーロッパ選手権を制したグランプリ・レーシングカーである。ルドルフ・ウーレンハウトにより設計されている。
1938年シーズンは過吸なしノーマルでは排気量4500cc, スーパーチャージャー搭載は3000ccに制限するというAIACRのレギュレーション改定があり、それに合わせて W154が新設計された。
レースは興業ビジネスなので主催するAIACRの意図は 5700ccのベンツW125が強すぎ1937年シーズンのような常勝が続くとグランプリが面白くなくなり、客足もにぶってきたので、レギュレーション変更で もう一度 シャフルして活力を取り戻そうということであったようだ。 |
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W154は2963 cc M154エンジンを搭載したが、シャーシーとサスペンションはほとんどW125の流用だった。
リアサスペンションはド・ディオン式で、左右のリアホイールを平行に固定する鋼管を利用した非独立懸架式だった。
油圧式のリアダンパーはコックピットから調整可能なように設計されている。
W125の5700ccエンジンに比べて減少したパワーを補うため、W154はW125の4速MTに比べて一段多い5速のマニュアルトランスミッションを搭載した。
1939年のグランプリ・シーズンに参戦したW154はシャシー設計は1938年のものと同一だが、新開発のM163エンジンに置き換えられている。
戦績は1938年シーズンはフランスグランプリとドイツグランプリで優勝を飾った。
しかし、1939年はヨーロッパは戦雲ただよい、第2次大戦が始まり、グランプリレースも中断されてしまったのである。 |